あらすじ
イギリス・ウェールズ北西部。彼の地の伯爵は長年「バベルの塔」建設に取り憑(つ)かれていた。60年の歳月をかけて完成した日、悪夢の惨劇が――。(表題作) 残業の夜、男は急停止したエレベーターに閉じこめられてしまう。中にはもう一人、髪の長い女が。そのビルには幽霊が出るという噂があって……。(「上下する地獄」) 鮮やかなプロットが光る単行本未収録作11編。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
一見、怪異系のホラーかと思いきや、コワイのは人間である、というスタンスの短編集。
表題作の「バベル島」で、フリューゲルの描いたバベルの塔を実際に建ててしまった伯爵が、いちばん怖かった。両親からナニーに丸投げされて、きちんと育ててもらえないまま大人になった伯爵が、子供の頃に抱いた願望を実行してしまう。子供はなんのために砂で城を作るのか…。
もう一つ、「上下する地獄」は、他と違って怪異もの。他にはない設定というわけではないけど、それがわかるのが意外と終盤で、ゾクっとした。幽霊を怖がっている人物が実はー。
ラストがあいまいだったり、話運びがわかりづらかったりもあったけど、全体的にはうっすらジワジワ怖くて、私好みであった。