【感想・ネタバレ】キレイゴトぬきの農業論のレビュー

あらすじ

誤解(1)「有機農法なら安全で美味しい」、誤解(2)「農家は清貧な弱者である」、誤解(3)「農業にはガッツが必要だ」――日本の農業に関する議論は、誤解に基づいた神話に満ちている。脱サラで就農した著者は、年間五十品目の有機野菜を栽培。セオリーを超えた独自のゲリラ戦略で全国にファンを獲得している。キレイゴトもタブーも一切無し。新参者が畑で徹底的に考え抜いたからこそ書けた、目からウロコの知的農業論。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

著者ご自身がおっしゃっている、「口から先に生まれた」が故か、ものすごくわかりやすい。農業界には、このように誰にでもわかりやすい言葉で説明できる人が少ないとのこと。帝人という繊維メーカーを経験した筆者だからこその、生産管理、営業、販売…と分けた「農業経営」をされている

・今の農業は、職人に偏り過ぎている(農業者同士で集まっても栽培のことばかり)。農協は何もしてくれない、とそもそも販売は他者をあてにしている。
・東日本大震災後、お客さんが離れていった絶望の中で自分が好きなのは「作業」だときづいた
・作業の合理化を徹底。「女性に機械は操作できない」は本当か?むしろ、体力の弱い女性を機械作業に回し、体力のある男性に体力仕事を担当させるなど、小さなところから合理化を。
・農家は、制度によって資産が守られ過ぎている(土地税制ー農家であれば宅地課税も優遇)。また、代々農家であれば、設備や土地もある。農業で「ビジネス」をする人が少ないのは、むしろガツガツしなくても食べていけるからではないか。
・「弱い農家像」により得をする人たち(公共事業ー土木関係者)がいることを覚えておいてほしい
・(東日本大震災後の)風評被害は、社会全体のコストを上げてしまう。仕方のないことではあるが。(ふぐについては、毒があると知っていても食べる人がいて、亡くなる人もいる。それでも美味しいから食べられている・・・。

職業観・人生観も交えつつ。

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2019年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もっと上から目線の本かと思っていましたが、とても親近感のわく本でした。
憶えておきたい内容をメモしておきます。

・ヒトの1日許容摂取量(ADI)=「仮にある農薬が、関連するすべての農産物に基準値上限まで残留していたとする。それを一生涯にわたって毎日、国民平均の100倍食べ続けたとしても、動物実験で健康に影響が出ない範囲に収まる」

・野菜の味を決める大きな要素=栽培時期(旬)、品種、鮮度

・野菜は自然なものではなく、人が手をかけなければ自然界では生きていけない、いわば植物の奇形

・日本の農家約200万戸のうち7%にすぎない販売金額1,000万円以上の農家による売上が、全生産額の6割を占める

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2015年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<畑に論理を持ち込んだ久松農園の今後に期待>
◆この本を読んで、野菜の有機非有機よりも、旬と鮮度にこだわる様になった。新鮮な有機野菜は高いから、見切り品のを買うとか、愚かな行為なのかも知れない。

◆要約。野菜の味は、旬、品種、鮮度で決まる。農薬とか化学肥料とか、役所が厳しく規制していて(ある農薬が残留基準上限に達しており、それを一生涯毎日、国民平均の100倍食べても動物実験上では影響がないレベル)今やそんなに危険ではない。それに、コメ作りの初期の雑草除去のために紙マルチと呼ばれる有機栽培法があるが、これは他の栽培方法と比べて突出して二酸化炭素排出量が大きく、必ずしも有機農業が環境に優しいとも言えない。有機が美味しい、安全、環境に優しいと妄信するのは論理的に妥当ではない。
ただ、有機野菜は「健康」ではあると思われる。理由は、畑の生物多様性が確保されている事と、不健康な野菜は虫に食われたり天候の影響を受けてダメになってしまうから。

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2014年05月23日

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