【感想・ネタバレ】グーグルに勝つ広告モデル~マスメディアは必要か~のレビュー

あらすじ

ネットに押され、テレビ、新聞など既存メディアの広告費は下がる一方。このような状況で、どう広告モデルを変えればいいのか? その道筋を明確かつ具体的に提示する。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

久々に良いものを読んだ.
メディアとマーケティングについて,分かり切っていることも含めて,大変詳しく説明してくれている.
著者の主張もその根拠も非常に明確である.
大変参考になった.

0
2014年10月06日

Posted by ブクログ

Web側にいると、どうしても「マスメディア崩壊論」、「インターネット万能論」という論調を聞く機会が多いような気がしますが、この本の著者はそれを肯定していません。たしかに、既存4マスメディアの広告費は下がる一方ですが、その中で非常に客観的な論点からどう広告モデルを確立していったらよいかということを論じていて、インターネットとマスメディアの比較の方法が面白いなと思いました。
特に、テレビや新聞などのメディア・コンテンツビジネスは限られた“時間”を奪い合うということと、過去(の名作)と競合するビジネスであるという見方に興味を持ちました。時間は限られている中でコンテンツは増え続け、人口が減り、さらに過去のコンテンツと競合したりオンデマンドになることよって、当然ながら広告への接触率はどんどん下がるわけです。同業との競争ではない部分でコンテンツが食われているという認識は必要だと思います。
それから、副題にある「マスメディアは必要か」という部分については、民主主義形成に重要であるという点、言論機関には偶発接触性が求められるという点、価値観の共有という点においての説得力が大きいです。
インターネットが他媒体を侵食するなかで、マスメディアの重要性を再認識することができると思いますし、メディアに携わる人は読んでおいて損はないと思います。

0
2010年06月29日

Posted by ブクログ

マスメディアの環境変化を解説した良本です。

TVはアテンションを売り、グーグルはインタレストを売る、というまとめ方は、その差をうまく表現しています。マスメディアは、アテンションビジネスを継続することができるのか、というのが本書のテーマになっています。
また、グーグルはコンテンツを整理することで「時間を供給している」のに対して、マスメディアはコンテンツを提供して「時間を消費している」という対比も成り立ちます。同じ広告モデルを指向するマスメディアとグーグルですが、その成立基盤は大きく違っているというのが分かります。

で、グーグルが出てくるのはこの辺りまでで、本題はマスメディアの将来についてです。やはりタイトルには偽りありというところでしょう。マーケティング的な理由なのかと思いますが、副題くらいで止めておいた方がよかったかと思います。本書にも出てくる通り、メディアのコンピテンシーは、情報の信頼性の提供にあるのかもしれないのですから。

内容ですが、現代メディア論として、よくまとまった議論になっています。現在の傾向が続く場合、「コンテンツを量産するために最適化された装置産業」であるマスメディア産業は、アテンションの低下による資産効率低下のために現状維持が難しくなり、経営学的な理由から何らかの合従連衡が不可避になると指摘しています。TVについて、技術的にもタイムシフトと編成権というユーザニーズを満たすことができる条件が揃いつつある中で、マスメディアは「まさに変曲点に直面している」という認識です。

では、どうするべきかについては、著者も具体的な提案を持っておらず、過去の事例から、「新しいコンテンツのあり方は、市場の文脈の中で生まれる」として、結局先になってみないと何が成功するか分からないとしています。ただし、前に進むことと、そのタイミングが重要だとしています(マスコミの人材は優秀なのでそれができる、ともしています)。

やはりタイトルが残念。

0
2009年12月26日

Posted by ブクログ

結局のところ「グーグルに勝つ広告モデル」はあるのかないのかがしっくりこなかった。
ただ、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌の既存4大メディアがどのような役割を果たし、どのような状況にあるか、非常によくまとまっており、秀逸な本であった。

0
2013年02月18日

Posted by ブクログ

広告代理店出身で、現在はメディア関連の研究所を主宰している岡本氏の著作。インターネット、とりわけグーグルを筆頭にしたネットメディアの普及と、それに伴う四大メディアへの影響等につき、著者独自の視点から考察をしている。特にテレビの今後については非常に興味深い持論が展開されており、テレビコンテンツが消費者のタイムシフトと編集権のニーズに対応するかたちで部分的に消費されるようになるだろうという予測は非常に優れている。一方、マスメディア崩壊と民主主義の崩壊の関係性や、ネットにおける共感的メディアの欠如といった指摘は、必ずしもそうではないと思われた。いずれにせよ、今後のマスメディアの展開について多くのヒントを与えてくれる良著であることは間違いない。一読をおすすめする。

0
2012年02月02日

Posted by ブクログ

「メディアの戦略が詰まった一冊」
・インタレスト(能動的な興味関心)ビジネスモデル←→アテンション
・マスメディアの売り上げはアテンションの数に比例する
・視聴者のニーズは、タイムシフト(好きなときに見たい)編成権(好きな部分だけみたい)
・プロダクトプレースメント=番組内で商品の紹介 これはコストが高くなる。
・一般週刊誌→ちょっとした時に読む物 だから携帯でのゲームやネットで喰われる
・雑誌にはモビリィティがある→すぐに読める しかし携帯ではモビリティも持ち合わせる
・週刊誌の速報は、ネットよりどうしても速報性が劣る

・その中でもビジネス誌は好調である
①ネットでは手に入らない情報があるから
 「LEON」高年収男性がターゲット 0.1%の層になる
 しかし実際は、その層へ憧れる層が雑誌を購買している。
②拡大しつつある格差幻想を刺激する

・ウィキ みんなが代価を払って育んだ知恵の塊である。
・民主主義の基本→自由な言論と集会
・マスメディアはこの二つを生む。ネットだけであると知識が偏り議論に消極的になる。
・議論には、偶発接触性が求められる。

マスメディアに対しての情報が多く、マーケティングの実例を知りたい時に読む一冊。

0
2012年02月02日

Posted by ブクログ

ララァからの引用で好感を抱く。
解決策を提示するという姿勢にも好感。ネットの優勢が余計に感じられる部分もあるが。
山本常朝からの引用も良い。

0
2012年01月14日

Posted by ブクログ

まず、タイトルと実際の内容に乖離がある。
グーグルについてはほとんど触れられず、既存の4マスメディアの特徴についてかなりのページが割かれている。

ただ、4マスの分析についてはかなりロジカルに分析されていて、勉強になった。

0
2011年12月06日

Posted by ブクログ

「テレビCM崩壊」「ネットに飲み込まれるテレビ」
「新聞の役割は終わった」「広告代理店は生き残れない」など、
マスメディアにおけるビジネスモデルの危機が喧伝されている。
実際、2007年にはインターネットの広告費が雑誌の広告費を
抜いた。
加えてテレビ、新聞、雑誌、ラジオのマスコミ4媒体広告費が
ずれも前年割れしたのに対して、インターネットの広告費は
124.4%の伸びを示した。
このような状況で、既存のメディアはどうビジネスモデルを
変えればいいのか?
またインターネットを有効活用するには?
新進気鋭のコンサルタントが、その道筋を明確かつ具体的に
提示する。



専門用語が多くて読みにくいですが、
かーなーりおもしろい本です。

特にグーグルとヤフーの違い。
グーグルはインタレストを売ってるから単価が高い=儲かってる。
一方ヤフーが売ってるのはアテンションだから単価が低い。
やっぱグーグルは発想が違います。

今はアテンションを奪い合うゼロサムゲーム化になっていますが、
「ゲームの単位を増やす」か「ゲームの単位を変える」ことを
すれば、非ゼロサム化=市場の拡大は可能だと思いました。

そして今後は「不特定多数にウケるのではなく、ターゲットを
しぼった広告や商品」が重要なのだと分かりました。
そのほうが単価を高く設定しても買ってくれる可能性が高く
なるからです。


これからメディア業界を目指す人以外にも
ぜひ読んでほしい、ビジネスヒントがいっぱいの
一冊です。

0
2010年10月06日

Posted by ブクログ

まとめ:マスコミ・IT関係の人にお勧め!

概要は、「テレビ・ラジオ・新聞という既往のマスメディアにネットはどのように入り込むか」というテーマを、経営コンサルタントらしく綺麗に整理したもの。
テレビはラジオに食われる等々・・・一般的に世の中で言われているが実はちゃんと説明できないことが、スッキリと書いてあってとても面白い。マスコミ関係の人は是非読んで頂きたい。またIT関係の人はどのように既存マスメディアを食べるかという視点で面白いと思う。

0
2010年06月06日

Posted by ブクログ

53年前、我が国で一番人気のあった就職先は鉱山会社であった。
経営環境の大きな変化が、多くは30~40年周期で訪れる。

そんなつかみから始まり、メディアの変遷について非常に
わかりやすく解説した上で、この先の予測をするという流れ。

従来のメディア(ヤフーなどのインターネットビジネスも含む)は
テンション・ビジネスであるのに対してグーグルは
インタレスト・ビジネスであり、購買までのステップが短く、
高い広告効率を保証できる。

コンテンツ・ビジネスは過去のストックとの競合である。
検索によって過去の名作と簡単に出会えるようになったことが
現代のコンテンツのクリエイターには厳しい状況になる原因。

明らかに既存のマスメディアのビジネスは縮小するが、
それらが不要というわけではない。

民主主義には健全なマスメディアが必要。

時代に即した変化をしていけばチャンスはある。

0
2010年03月28日

Posted by ブクログ

我々のビジネスパーソンとしての活動期間は40年程度です。ですから、40年たつと業界の人材は100%ターンオーバーし、しかもその間同じ状況が続けば編曲店を経験した人材はほとんど存在しなくなり、それが永遠に続くと考えてしまいがちです。しかし、多くの調査研究は、経営環境の大きな変化が通常 30~40年周期で訪れることを示唆しています。

世を長憫に思ひて打ち怠りつつ、先づ、差し当たりたる、目の前のことにのみ紛れて、月日を送れば、事々成す事なくして、身は老いぬ。兼好法師『徒然草』

テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4マスメディアのビジネスモデルの本質は、大衆の注目の卸売りです。英語でいうアテンションを集めて卸売りしている、アテンション・エコノミー。これが20世紀型マスメディアの本質です。
一方、近年騒がれている21世紀メディアとしてのグーグルが依拠する経済は、インタレスト(能動的な興味・関心)です。グーグルは、アテンションではなくインタレストの卸売りをするビジネスモデルです。
ヤフーとグーグルは両方ともインターネットを利用した検索サービスですが、ヤフーは情報の流通経路にインターネットを使っているだけで、依拠しているのはアテンション・エコノミーです。だから、人がたくさん集まるトップページに、バナー広告やテキスト広告をベタベタ貼り付けています。理由は単純で、アテンションが一番集まる場所だからです。そういう意味では、ヤフーは20世紀的なメディアなのです。

消費者の態度変容プロセスの枠組みとしてよく使われる「AIDMA」は、アテンション→インタレスト→デザイア→メモリ→アクションを略したものです。ここで、インタレストはアテンションよりも一段購買に近いステップにあります。

グーグルは、対象者をインタレストに絞っているので、購買までのステップが短く、必然的に広告効果が高くなり、その結果、広告単価を高く設定できるわけです。

テレビも含めたメディア/コンテンツ産業が、他の産業と大きく異なる点の一つとして、「過去のストックが競合になる」という点が挙げられます。

グーグルというのは不思議な会社で、何も新しいコンテンツをクリエイションしません。彼らは自分たちのミッションを「世の中の情報を整理しつくす」と定義してますが、本当にそのとおり、整理するだけで何も生み出していないのです。

社会学者のリチャード・フロリダは、クリエイティブ・クラスという知識労働階級の出現を指摘した上で、彼らにとっては時間がもっとも貴重な資源となるであろうことを予言しています。
この考え方になぞらえれば、グーグルはクリエイティブ・クラスの人々に「時間を売っている」ということになるのです。そして、その時間が貴重であればあるほど、集積としてグーグルの時価総額は高まるわけです。コンテンツそのものよりもコンテンツを整理してくれること、整理にかける時間が削減できることに価値が見出される社会になりつつあるということです。

今日存ずるとも明日もと思ふことなかれ。死の至ってちかくあやふきこと脚下にあり。狐雲懐奘『正法眼蔵随聞記』

ゼロサムゲームを脱却するキーポイントは、「ゲームの単位を変える」と「サムの総量を増やす」の二つです。

知ることがむつかしいのではない。いかにその知っていることに身を処するかがむつかしいのだ。司馬遷『老子・韓非列伝』

インターネットとマスメディアの代替性
①情報提供
②情報の消費シチュエーション
③アクセススタイル

インターネットは、情緒訴求とセグメンテーションを両立させられる歴史上はじめてのメディアになりつつある。

地上波テレビというビジネスが生き残るには、どのような方向性が考えられるでしょうか?
いろいろな打ち手が考えられるのですが、一つには視聴率を伸ばすという方向から視聴率の単価を上げる、という方向に舵を切る、というのがあるのではないかと筆者は考えています。

2011年に予定されている地上波デジタル放送への移行は、成熟期から衰退期に差し掛かっている装置産業に莫大な追加設備投資を行うということですから、いかにリスクの高いものであるかがわかると思います。

新しい秩序を打ち立てるということくらい難しい営みはないということをしっかり頭に入れておかなければならない。なぜならその責任を負う人物は、現体制でおいしい思いをしている人をすべて敵に回す一方で、新体制で甘い汁を吸うことになる人からは手ぬるい支援しか得られないからである。マキャヴェッリ『君主論』

狭い島国に大量の人がいて、その人口に合わせた大量生産型マスマーケティングが行われ、その結果、社会全体的に多様性の許容度が低くなってしまっているのが今の日本の状況です。
人口減少悲観論を垂れ流す人は、人口が日本よりはるかに少ないドイツやフランス、イギリスといった国が、グローバルなポジションを確保しつつ、本質的に豊かな生活(一人あたりGDPといったマクロ経済指標ではなく)を実現していることを、ぜひ考えてほしいと思います。

必要に迫られた際に大胆で果敢であることは、思慮に富むのと同じことである。マキャヴェッリ『フィレンツェ史』

情報のコモディティ化(日用品化=差別化できない状態)が進み、市民の情報に対する価格感度が高まった

今はムーアの法則(半導体の集積度が18ヶ月で倍になるという経験則)が働く世の中です。数年前にやったけどうまくいかなかった、ということが、現在やってみてうまくいかないことの理由にまったくならない、という点を肝に銘じておくべきでしょう。

物流というのはネットワークを維持するのに莫大な固定費がかかるけれども、そのネットワークに乗せる荷物の数が増えれば増えるほど、どんどん利益が増えていって、一度損益分岐点を超えてしまえば、限界売り上げは、ほぼイコール限界利益になる。

最近の検索エンジンにおける検索ワードの検索数の推移を見てみると、事件当日から日をへるごとに等比級数的に現象していき、3日後には当日の100分の1程度になってしまうことがわかっています。

「アイスクリーム屋の誤謬」
誰もが人の多いところに店を構えようとすると、客数はそれほど増えずに、価格競争が起こります。本当は分散して店を置き、価格を比較できないようにして市場を住み分けるのが得策なのですが、皆が市場分析すると、同じところに店を出すことになってしまうというジレンマの話です。

テレビというのはもっとも視聴率の高い時間帯でも、全局の合計視聴率が60%程度しかない。

自由な言論と集会なしには議論が不毛になる。自由の最大の敵は消極的な国民である。キャス・サンスティーン『インターネットは民主主義の敵か』

言論機関には偶発接触性が求められます。たまたまニュースに出会う、ということが必要なのです。自分が望んでいない情報にも偶発的に出会うからこそ、自分と異なる意見を持つ人が世の中に多数存在することや、意識することのなかった暗黙の規範を学ぶことができるわけです。
建設的な議論には、他者が依拠している認識の前提や規範をふまえることが必要です。自分と異なる意見の存在や暗黙の規範を知るということは、建設的な議論を社会から絶やさないための必要条件なのです。

権力が崩壊分散されたまま、新たな統治機能が回復されていないというコンテキストになぞらえれば、インターネットは民主的であるというより、アナーキーであるというべきでしょう。

英国の科学史「ネイチャー」が、(普通の百科事典としては最大規模、7万項目)のブリタニカとウィキペディアの正確性を42項目について複数の専門家に検討させた結果、ウィキペディアは間違いや抜け落ちが1項目あたり平均4つあり、ブリタニカ国際大百科事典は3つでした。そこから、同等の正確さがあると評価したことで、科学技術等の客観的事実ではおおむね信用できるとされています。

ここで注目してほしいのが、新世界の住人であるウィキペディアが「信用できる情報源」として旧世界の住人であるBBCや「ニューヨークタイムズ」を挙げている点です。彼ら自身も旧世界のマスメディアを最終的に立ち返るべき情報源として指摘しているわけです。その立ち返るべき情報源は(旧世界のシステムであり新世界で崩壊が懸念される)「知のバリューチェーン」が崩壊すれば存続できません。

どの業界でもそうだと思いますが、往々にしてハイリスク・ハイリターンを厭わない人材ほど、優秀であることが多いのです。

テレビ局のスタッフも好きで低俗な番組を作っているわけではありません。問題は彼らの作るコンテンツを評価する軸が「見た人の数=視聴率」しかないということなのです。とにかく見た人の数を増やさなければならないから「誰もが好むもの」に収斂してしまう。そしてその競争を皆が同じようにする結果、統計的にいえば「好みの中央値」に近いところでひしめき合ってしまう、という構図です。

メディアの歴史は「プラットフォームが先に作られて、市場の文脈の中でコンテンツが生まれる」という流れ。

今現在、我々が持つクリエイターのイメージは、印刷物やテレビCMや番組といった、ある規定の枠組みの中で、ルールにしたがってコンテンツを作る職人、というものです。
しかし今後は、メディアの枠組みそのものを作っていく、そしてその枠組みが市場の文脈の中でどのような利用のされ方をするか素早くセンスして、枠組みとコンテンツの両方を進化させていく、といった能力が、クリエイターには求められるようになるのではないでしょうか。

旧世界の戦略論では、一度失敗したビジネスに関してはその原因を分析して同じ轍を踏まないようにする、というのが対応策でした。しかし、ムーアの法則(半導体の集積度が18ヶ月で倍になるという経験則)が成立する現在では、事業の成否を分ける要素として、タイミングの重要性が高まってきます。
つまり、失敗の理由は「早すぎた」か「遅すぎた」かのどちらかで、早すぎた場合は次にいつ出すか、が問題になる、ということです。

何らかの新しいサービスを提供しようと考えているプレイヤーは、ビジネスモデルを成立させるための諸条件を洗い出した上で、何がボトルネックになって現状ではテイクオフしていないのか、そのボトルネックはいつごろ解消できそうなのか、を見きわめて、ボトルネックが解消し次第ファーストエントリーを取ることが重要です。

wisdom of crowd(不特定多数の知恵)という言い方をされることもありますが、要するにミンナが寄り集まって出した知恵だったり意見だったりというのは、それが不特定多数になればなるほど、実は意外と間違いが少なくなってくる、というコンセプトのことです。

2006年にトヨタ自動車が某主力車種の販促において、テレビ広告をほとんど行わなかったにもかかわらず、販売量に変化がなかったことが、一時期業界の話題となりました。このことをきっかけに、こと自動車に関してはテレビ広告が実はほとんど効いていないのではないかということが、すでに競合自動車メーカー内でも重要な問題として提起されており、大幅なメディアミックスの見直しが行われている最中なのです。

消費者というのは、我々が思っている以上に精度の高い感度を有していて、提灯記事を掲載したブログなどはすぐに見破られてしまいます。消費者が獲得しつつあるこの感度の鋭さに対する認識について、マーケッターは肝に銘じておくべきでしょう。

実は不満や要望というのは非常に無意識的なものであって、ある生活文脈の中でしか顕在化しないことが多いのです。平たくいえば「不満はあるけど今聞かれても具体的に思い出せない」というケースが多いのです。

成功事例の共通点
①インターネットを情報をプッシュ(一方通行)するための第五のマスメディアと思わないこと。協創メディア。
②情報の協創はただ待っていても起きない。「場」作りが重要。
③「企業 対 個」ではなく、「個 対 個」。担当者の顔が見えるように。

0
2010年02月28日

Posted by ブクログ

■ヤフーはアテンションのビジネスモデル
グーグルはインタレスト(能動)のビジネスモデル
AIDMAで、アテンションよりインタレストの方がより購買に近いため、
グーグルの方が広告効果が高くなる。
■検索が可能になり、従来のコンテンツが新たに生み出されるコンテンツの脅威となっている
■茶器でゲームの単位を変えた信長
■取引が煩雑になり普及しないプロダクトプレースメント
■LEONのターゲッティング戦略
■Wikipediaとブリタニカの正確性
■インターネットでは知のバリューチェーンが閉じてしまい、いずれ崩壊するだろう
■クリエイターに対価が払われない
■その人の情報のシェアにより、信頼度が変わる

0
2010年01月11日

Posted by ブクログ

ネット登場以降のマスメディアの動向について、メディア=広告媒体としての考察。おおよそそのとおりと思えるし、私自身が会社説明会で(ウェブメディアに所属する視点から)話をしている内容と同一。しかしながら、新聞に関する項目については、楽観的すぎやしないかと思う。

確かに、新聞というメディアにも、今後発展していく余地は、可能性として多々残されているが、それを客観的になぞっていてもしかたがない。その客観的な戦略をとることができない最大の理由−−−新聞社の「感情論」にむちょっと踏み込まないと正確な推論にならないと思う。

そういう道が残っていても、感情的にそこを選択できないのが現在の大新聞社の姿であって、そして感情的に誤った選択をするというのが、歴史を見てみるに、一大勢力の没落の最大原因なのである。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

IT化によりTV・新聞などメディアのおかれた状況を俯瞰できる良書。
今後の変容の方向性と進化に向けた可能性を示唆。全体感を持つには最適。

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

メディアの基本的なインフラを勉強するのに役に立つが、タイトルの核心へ到達するまで「引っ張りすぎ」感。でも、自分としてはインフラの勉強になったので、4つ星かな。岡本一郎の本は、相変わらず読みやすいなー。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

グーグルに勝つというよりネットに勝つ、である。
タイトル釣り。

4マスがネットに勝つ広告媒体になるには・・・を説いていて、
鋭く考察されている。
雑誌に関してはあまり言及されてないが、
よく書かれていて、中身は非常に充実している。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

マスメディアとYahoo!がアテンションを獲得するための広告ツールであるのに対し、Googleがインタレストを獲得する広告ツールであるため競争の土台が違うことおよび、アテンションの獲得を狙うマス広告は既にゼロサム的な全体の総量が広がらない状況に陥っていること既に多くの書が、そのトーンの好き嫌いは別として語っているがそれを冷静に整理している点は良い。
ただ、タイトルの『グーグルに勝つ広告モデル』が現在のテレビのみを対象として考察されており、違う提案を期待していた読書には物足りないと感じられる。
いまだにテレビがそれなりのパワーを維持していることはわかっているが、世の中の総PVが伸び悩んでいる現状に鑑み、『グーグルに勝つ』Webサービスを期待して損したという感じ。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

今までマーケティングフォーラムやアカデミズムの場で提案されていた次世代マーケティング論が、ある程度の具体性を持って書籍に、新書にまでなり始めた一例。タイトルの「googleに勝つ〜」はキャッチのための表題にとどまるか。「googleを前にして既存4マスが互角に戦うには」論を各媒体毎に展開する。最後にマスメディア必要論やクリエイター・コンテンツ論を展開して、クリエイターたちへの応援歌となっている。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

グーグル云々というより、今後のIT業界の潮流を見据えた上で、現行の国内メディアビジネスの限界を記述した一冊。

2008年なので、スマートフォンやタブレットなどが普及する前なので、今から見るとその点で多少粗が見えるが、全体的には流れを捉えていて勉強になった。

0
2014年08月31日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
「テレビCM崩壊」「ネットに飲み込まれるテレビ」「新聞の役割は終わった」「広告代理店は生き残れない」など、マスメディアにおけるビジネスモデルの危機が喧伝されている。
実際、2007年にはインターネットの広告費が雑誌の広告費を抜いた。
加えてテレビ、新聞、雑誌、ラジオのマスコミ4媒体広告費がいずれも前年割れしたのに対して、インターネットの広告費は124・4%の伸びを示した。
このような状況で、既存のメディアはどうビジネスモデルを変えればいいのか?
またインターネットを有効活用するには?
新進気鋭のコンサルタントが、その道筋を明確かつ具体的に提示する。

[ 目次 ]
マスメディアの本質は「注目=アテンション」の卸売業
アテンションのゼロサムゲームから脱却できるか?
マスメディアの競合としてのインターネットメディア分析
4マスメディアvs.インターネット
テレビvs.インターネット
オンデマンドポイントキャスト事業の提言
ターゲットメディアとしてのラジオの確立
情報のコモディティ商戦から新聞は抜け出せるか
ネットとの差別化に特化する雑誌
合従連衡によってプレイヤーの数を減らす
なぜ、それでもマスメディアは必要なのか
コンテンツ論
マーケッターに求められるパラダイムシフト

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

0
2011年04月08日

Posted by ブクログ

マスメディアが戦場にする注目市場(視聴率のようなもの)の絶対数は増えないため、単純に人口の減少している日本では各メディアの注目つまりアテンションは減るため、マスメディアの売り上げが減っていく。

0
2011年03月01日

Posted by ブクログ

タイトルと内容が大幅に乖離している

主な内容はマスメディアの現状分析と、今後について。

・視聴者のニーズにあわせてターゲティングの制度をあげ、アテンション、ひいては広告単価を上げるオンデマンドポイントキャスト
・過去コンテンツの利用
・シニアをターゲットとして捉え直すAMラジオ
などなどマスメディアコンテンツの方向性に関しての提言は示唆に富んでいる。

雑誌LEONの事例(ターゲットと読者層をあえてずらすマーケティング戦略)は非常に興味深かった。

ただ、終盤のマスメディア存続論は多少強引に感じる。インターネットが民主的というより、アナーキーであることは同意できるが、一方的に情報を押し付けるマスメディアが民主的であるとは言えないだろう。

マスメディアの重要性がインターネットなどのソーシャルメディアの台頭により低下しているのは事実であるが、今後はいかに、補完的な関係を気づいていけるかが重要なのでしょうか。

0
2010年08月05日

Posted by ブクログ

メディア悲観論が多い中、マスコミ関係者への希望をと謳っている姿勢には多いに賛同。だって、特に当時者である僕たちが悲観したってしょうがないし、必要なのは改革でしょ?

が、しかし、最終的なオチがいまいちなのですね・・・着眼点とかはとても面白いんだけど、総花的なオチか、ウェブ2.0関連の書物で既に述べられていることばっか。まあ、見る方向がウェブをあがめ奉っているあっち側じゃないのはいいことなのですが・・・。

ただし、前段のメディアとは、コンテンツとはってところがとても面白くて、ここは良いです。

●グーグルは、アテンションではなくインタレストの卸売りをするビジネスモデル。
●メディアに回せるアテンションの潜在量は1日平均5時間。
●メディア/コンテンツビジネスは「過去」と競合するビジネス

広告コミュニケーションというフレームでウェブのパワーってのはそらもちろん重要なんですが、ことアテンション(気付き)の段階でのメディアの有用性をきちんと認識できる気がします。

0
2010年07月18日

Posted by ブクログ

Webは広告媒体としてすごく進展・定着してきてますが、その中でもGoogleの力は増すばかり。そんな状況でどんなモデルだったら「勝てる」のかが興味あって購入してみた。

0
2010年03月30日

Posted by ブクログ

いかにもコンサル出身者が書きましたという感じの本。個人的にはweb広告業界で働く人はやっぱり読むべきだなと思います。未だにwebがテレビを超えるなどと考えている人にとってはしっかりと釘をさしてくれる感じだと思います。
やっぱりコンサル業界出身の人は現状分析に対して非常にマクロからミクロの話しへもって行ってロジックを緻密に組んでという流れが非常にうまい。
この本は第4章(ぐらいだっけな?)の新しいメディア提案の部分以外がおもしろかった。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

マスメディアの本質をアテンションの卸売業として捉え、マスメディアはアテンションの総量の中で
確保できる領域がインターネットの発展に伴い減少してきている状態に危機感を持っている。
特にテレビにフォーカスして議論を展開している。

定義の仕方とか話の運び方はさすがコンサルと思ったけれど網羅的過ぎて結論があいまいだったのと、
マスメディアが民主主義の礎であり、インターネットのコミュニティに見られる限られたインタレストの
集団が社会に対して無関心となっているといった問題意識を持っているのに違和感を感じた。

0
2009年10月04日

「IT・コンピュータ」ランキング