あらすじ
『国富論』も『資本論』もそうだったのか! 狭義の学問としてではなく、スミス、ケインズらの問題解決力に焦点を当てる。政策を知る著者ならではの、いま役に立つ読み方。
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Posted by ブクログ
経済学部出身だが今までろくに勉強をしてこなかった自分に、ちょうど良い入門書だった。アダムスミス、ケインズ、シュンペーターなど有名な経済学者の理論が、わかりやすくまとめられていて経済古典の全体像を掴むのに最適。雑学としての読み物にも良い。
経済古典は、その時代の問題解決の処方箋だったんだと、僕らが普段読んでいるビジネス書に近いものだという見方をすると、経済古典への敷居がすごく低くなった気がする。
以下はまとめ。
アダムスミス→ 自己利益追求の推進力と競争という抑制が“見えざる手”に繋がる。
マルサス→人口論が食料不足を招く。→でも結局は人は豊かになればな
るほど、子どもの数を減らすので人口増には一定の抑制がかかった。
マルクス→資本主義の崩壊を予測。→資本の高度化が進めば進むほど、労働力の価値が増し労働者は豊かに。
ケインズ→大きな政府。財政拡大政策。失業をカバーするためにGDPの大きさが不足する可能性がある。その不足を埋めるのが政府の仕事。
シュンペーター→「不況必要悪説」不況が企業を強くする。イノベーション(創造的破壊、新結合)が経済発展の原動力となる。資本主義が社会主義化を招く。
ハイエク→一貫したケインズ批判。個人が出来ないことが政府が出来るわけがない。政府ではなく市場のメカニズムに頼れ。政府を強くすることへの恐怖。政府の失敗はとてつもない犠牲を生む。
フリードマン→スタグフレーション(経済停滞+物価上昇)を説く。ケインズ政策は無意味。人間は合理的なのでマーケットも合理的と説く。
ブキャナン→政府に頼りすぎると必然的に財政赤字が発生する。
Posted by ブクログ
経済古典の背景、各経済人の時代背景、環境、経緯含めてわかりやすくしょうかいされていて非常におもしろい。
アダムスミスにはじまり、マルサス、リカード、マルクスを経て、ケインズに至るまで非常にわかりやすい流れの解説だった。シュンペーターも論理からの仮説構築力、将来予見力、インサイトが素晴らしかった。ある意味日本の現状をいいあてている。
ハイエクが一番心にささった。シンプルな論理ながらわかりやすく、政府に対する批判の論理がすごく納得感があった。
<メモ>
・経済古典の問題提起や解決策が私たちの今にどういう意味を持っているかを考える。今日的意義を考え、もんだ解決のスキルとしての経済古典を勉強する意義を探った本。
・変化や革新に対する社会的な拒絶反応があると社会主義に近いものに落ち着いてしまう。
・アダムスミス国富論では、社会秩序の問題、財政赤字の問題、アメリカという植民地の問題、重商主義政策がよいのか悪いのか、についての問題。
・利己心と道徳心の両立が経済的な秩序につながる。競争が利己心の調整力として働く とアダムスミスは考えていた。
・昔の経済学者はみなイギリスを舞台にして活躍していた。
・シュンペーターのいう「知識人による資本主義への敵対化」人の批判をする評論家がメディアに露出し、必要以上に格差を強調する。その論調が主流になり、政治の流れが創られる。それが資本主義のダイナミズムを減退させていく。
・シュンペーターは資本主義はその成功ゆえに崩壊し、世界は必然的に社会主義化すると考えた。シュンペーターが資本主義のダイナミズムが失われる要因としてあげている項目に日本はあてはまっているのではないだろか。
・ハイエクのケインズ批判。ミクロの議論なしにマクロを表すことはできない。また、個人ができないことを政府ができるはずがない。個人が合理的に行動することはないし、個人が完全な情報を持つこともあり得ない。個人が不完全な知識しか持たないがゆえに、不確実性がともなう個人の行動をコーディネートする仕組みとして唯一機能するとするとそれは政府ではなく市場である。局所判断を個人が行うことにより、全体としての調和が自律分散的に市場の中で形成される。これが市場メカニズム。
・フリードマンは積極的に自由をつくることに重きが置かれている。
・ハイエクにとっての問題は「集産主義」だった。ヒトラーやスターリン。政府が大きくなり個人主義を否定して集産主義になることに対する批判
・フリードマンにとっての問題は「スタグフレーション」メカニズムを解明し、ケインズ政策の効果がないことを証明した。教育バウチャーや負の所得税という攻めの自由主義政策を提案した。
・低成長、デフレ、財政赤字など世界の経済問題を全て背負い込んだ日本のかじ取りに世界は注目している。