あらすじ
自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進呈(ただし審査あり)。――新聞の募集広告を目にして酒場を訪れた老若男女は、奇談蒐集家を名乗る恵美酒と美貌の助手・氷坂を前に、怪奇と謎に満ちた体験談を披露する。シャンソン歌手がパリで出会った、運命を予見できる魔術師。少年探偵団の眼前で、少女の死体と入れ替わりに姿を消した魔人。冬薔薇が咲き誇る洋館に住む美しき館の主からの奇妙な申し出……。数々の奇談に喜ぶ恵美酒だが、氷坂によって不思議な謎は見事なまでに合理的に解き明かされる!安楽椅子探偵の推理が冴える連作短編集。
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Posted by ブクログ
奇談蒐集家 (創元クライム・クラブ)
題名と装丁につられて読んでみました。
奇談蒐集家を自認する恵比酒氏の所に持ち込まれた奇談をその秘書役の氷坂氏が謎解きをするという趣向の連作短編集です。自分の影に襲われる話、鏡に囚われた姫の話、様々な超能力を持つ魔術師の話、連続誘拐魔水色の魔人の話に冬に咲き乱れる薔薇の館の話、邪眼の話。それぞれの謎解きにはあまり驚きはありませんが、全ての話を飲み込む形の”すべては奇談のために”には、正直言ってやられました。こういった締め方でくるとは。。。
竹蔵の各話が関連している連作短編好きという贔屓目はありますが、とても面白く読ませてもらいました。軽めの推理好きの方は是非に。
竹蔵
Posted by ブクログ
1話目を読むと次からは先が見える安楽椅子探偵もの…と思いきや、ラスト「すべては奇談のために」で現実と奇談がぐるりとひっくり帰る仕掛け。
ラスト1話に至るまでは凡庸なのだけど。
Posted by ブクログ
自ら体験した不可思議な話、求む。高額報酬進 呈。ただし審査あり。―新聞の募集広告を目にし て酒場を訪れた客は、奇談蒐集家を名乗る男と美 貌の助手に、怪奇と謎に満ちた体験談を披露す る。鏡に宿る美しい姫君との恋、運命を予見でき る魔術師との出会い…。しかし、不可思議な謎 は、助手によって見事なまでに解き明かされてし まう。安楽椅子探偵の推理が冴える、連作短編 集。
Posted by ブクログ
【求む奇談!自分が体験した不可思議な話をしてくれた方に高額報酬進呈。ただし審査あり】
この広告を見た人々が自分の奇談を話し、それを聞いた助手(奇談収集家ではないw)がその場でその奇談のタネを解き明かす……という連作短編集。解決はその場で行われるので、安楽探偵椅子ものなのかな?すごく面白かったです。
だいたい連作短編ってひとつひとつが独立して読んでしまうんですが、これはそうしてはいけない作品なのだと最後を読んで知りました。確かにシャンソン歌手とか、全体的に時代設定はいつなのだろう……結構古いのかな~とぼんやり思っていたはいたんですけれど、甘かったです(笑)それこそがフックだったのですね。お見事です。
謎を解き明かした人たちの中で、解き明かされたからこそ不幸になってしまった人もいたこと。この辺は好みの問題でしょうが、私は微妙でした。ただまあ、そうする事で「奇談」(世にも怖い系)にすることが出来たのかもしれません。
Posted by ブクログ
「奇談蒐集家の元に持ち込まれた奇談を助手の麗人が現実的に解く」というスタンスの話。ざっくり説明するとエピローグがない安楽椅子・化石少女なので、真相ははっきりしないのだけれど、それが今作のテーマ上あるべき姿であり、幻想と現実の境界が判らなくなってしまった人々を書くために必要なのではないかな、とも思った。
奇談蒐集家というタイトルに恥じず、集められた奇談は魅力的なものばかりでとてもよい。「自分の影に刺された男」「古道具屋の姫君」等タイトルだけでもう素敵。そんでエピローグが今作の連作短編集としての価値を極限まで挙げていて素晴らしい。これぞ百物語の最終話よね。
ミステリ好きより怪奇・幻想小説好きに読んで欲しい本ですね(解説も井上雅彦だし)。というのも謎自体は大したものじゃないのでそれ目当てに読むと絶対に落胆しますもん。間違いない。乱歩で見た、とか某作で見た、とかうーん、在り来りなんだろうか。
小品の中で一番好きなのは泉鏡花っぽい「古道具屋の姫君」。ただ蒐集家の紳士が矢鱈スコッチを推してくるから呑みたくなるのがマイナス点ですね…舞台もバー(カッコイイ)だし、ずるい
Posted by ブクログ
謎を解き明かすのが主旨なので、どんな不思議な話でも種があるのは分かるが、ちょっと簡単すぎる。特に最初2つあたりは顕著。
後半はやや良くなった感じ。
Posted by ブクログ
連作短編集。
自ら体験した奇談を求むという新聞広告を目にした人達が、恵美酒 一,氷坂助手に会い話をする。
6篇までは、体験談を話しに訪れその謎が解明されて、奇談ではなくなってしまい報酬を受け取れないという顛末のものが並ぶ。
最後の1篇でこの広告自体が奇談となり、この二人を探し出し、最後にもっと謎が深まるという話。
各篇はそれなりに面白く読めたのだが、最後の一篇が納得できる展開ではなかったので、評価が低くなってしまった。
Posted by ブクログ
「strawberry hill」というバーにいる「恵美酒 一」という人物は、奇妙な話「奇談」を集めている。奇談には高額の報酬が支払われる。ただし、審査が行われる。
恵美酒のもとには様々な奇談が持ち込まれるが、助手である氷坂は「さて、どうでしょうか」という言葉の後に、意外でブラックな真相を解き明かす。奇談と思われた話に論理的な解決を与える、安楽椅子探偵ものの連作短編集である。
恵美酒のもとに持ち込まれる奇談は全部で7作。以下、各話の概要と真相を紹介する。
● 自分の影に刺された男
「自分の影」を恐れる男が、自分の影に襲われたという話。真相は、主人公が鈍感で後輩に自分の影を恐れると話していたため、後輩が「影の仕業」として主人公を襲ったというもの。
● 古道具屋の姫君
古道具屋で女性の姿が映る不思議な鏡を買った男の話。真相は、古道具屋に幽閉されていた女性が店主を殺害し、男の妻として成り代わったというもの。「性悪女に振り回されただけの話ではないか」という恵美酒の辛辣な一言が印象的。
● 不器用な魔術師
フランスで出会ったシャンソン歌手が語る、超能力者であることを奇術で隠そうとした男の話。真相は、奇術師の犯罪に巻き込まれたにすぎず、歌手は自身の成功を願って奇跡だと信じ込もうとしていた。
● 水色の魔人
主人公が小学校時代の思い出として語る、少年探偵団が「水色の魔人」を逮捕しようとした話。真相は、主人公がリーダー格のニッキとタッシに騙されていただけというもの。ブラックな結末で、作品集の中でも白眉。
● 冬薔薇の館
薔薇園のある屋敷に嫁ぎ損ねた女性の話。真相は、庭師のような主人が薔薇のために「薔薇が似合うカップル」を次々と殺害し、庭に埋めていたというもの。奇妙な味わいの作品。
● 金眼鏡銀眼鏡
バーに現れた小学生が、「邪眼の持ち主ナイコ」に誘拐された妹について語る。真相は、家族への復讐を計画していた加害者の家族を、ナイコという少年が救ったというもの。
● すべては奇談のために
これまでの6作に登場した人々の後日談が語られる。そして、時間を超えて奇談を集める男の話が語られる。それは、奇談そのものを生きることを目的とする恵美酒と氷坂の計画であり、主人公の山崎がその役目を担うことになる。全ては奇談のために。
全体としては、日常の謎系ミステリに奇妙な味を加えた構成。トータル評価は★3。奇妙な味わいが好きな人にはおすすめの一作
Posted by ブクログ
奇談蒐集家 恵美酒とその傍らに控える 氷坂。古びたバー「strawberry hill」へ奇譚が持ち込まれる連作短編集。
最後にどんでん返しということだったけど、結構最初からそういうイメージで読んでいたので普通に読み終わったかな。
奇談蒐集「家」の話です。
個人的な評価としては残念の一言
奇談蒐集家の話であり、純粋な奇談集ではないので注意が必要。
蒐集家の助手・氷坂が選定した人の話を氷坂が推理・論破する形の短編集的な構成。
最後の纏め方は賛否あると思うが、私には後味が悪く感じる。