あらすじ
誰でも一度は「過去に戻りたい」「時間よ止まれ」「未来を知りたい」などと夢想したことはないだろうか? だが、考えてみれば、当たり前のように流れるこの時間は、いつ、どこで、どのように始まったのだろうか? そもそも、我々の目に見えない<時間>とは一体何なのか?時間の謎は、物理法則だけでは解き明かせない。くしくも、カントが「時間は内観の形式である」と述べているように、その鍵はなんと生命の<意思>にあり、「意思とは何か?」を追究していく先に答えは存在する。むろん実証されたわけではない。あくまで仮説である。そんなことが科学的にいえるかどうか考えながら読み進めていただければ幸いである。本書は、物理畑のSF作家による、―古来より多くの哲学者、科学者が探求してきた永遠のテーマ―<時の流れ>に果敢に挑む、画期的な思考実験である。
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Posted by ブクログ
時間と空間の関係性からどうして未来からの情報を観測できないか、という話につながる
あくまで仮説のみであり実証はできないものの納得の行く部分が多く楽しみながら読むことが出来た
内容まとめ
生命は脆い秩序で成り立っており、これが主体的意思を生む。
この主体的意思はすなわち目的に向かって進むことであり、生命においては生きる方向(未来)へ向く。
未来に進むと、これまで未来から向かってきていた光は自身に届くときに自身が干渉できない領域に入る。
その領域は認識ができない場所なので、観測はできない。
少し難しいけどこんな感じ。
Posted by ブクログ
タイトルでちょっと気になり、目次を見ると相対論やミンコフスキー時空の話があったので、物理学の概念を用いて時間論に対しアプローチしていそうと思い、読んでみた。著者も書いていたが科学の本というよりかはSFの本である。
実際に、数式を使わず、いくつもの重要な物理学の概念(エントロピー、相対論的時空等)をわかりやすく解説してくれる。そして、その概念を元に時間とは何かについての考察を進めていく。
著者は大学受験物理の参考書でお世話になったはっしー先生。
本書の主張ではエントロピーの増大に立ち向かうための生物の共鳴的フィードバックシステムが時間の方向性を作り出しているという。
「主体的な生命原理」という考え方は現在の自分の世界認識に近いきがした。(弱い人間原理?)