あらすじ
貧乏大学院生で人見知りの律は、不本意ながら成金令嬢・理緒の家庭教師をすることに。科学大好き小学生の理緒は彼女を「教授」と呼んで慕ってくる……無類に楽しい、理系乙女ミステリシリーズ誕生!!
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Posted by ブクログ
大きな教授の律(理系大学院生)と小さな教授の理緒(小学生)、2人の「リケジョ」のバディもの。
墓地でカツアゲをする中学生、電波を送るストーカー、野良猫事件、大学内の殺人事件、をカガク的な立場から解決していく。電波を送るとか、気持ち悪かった・・。
ハンダゴテ、FMラジオの電波、ペットボトルのロケット、色覚の話、虹が見える条件など、興味深いエピソードもあって良かった。
個人的には主人公の理緒とビッグママ、ロケットをつくる才田くんのキャラが良いな、と思いました。あとは理緒の家の運転手の恵人。
特に才田くんは、理屈っぽい感じですが、自分の興味にまっすぐなところが良いなと思いました。そこは理緒と同じですね。
恵人と律のささやかなふれ合いの描写も良かった。これからこの2人はどうなるんだろ?って気になった。
あと、理緒の家の住み込みのトキノさんは、理緒のことを「いとはん」と呼んでいましたが、なんでかな?とずっと気になっていました。結局、その理由の描写はなく、今もちょっとモヤモヤしてます(笑)。
最後の章の「四○二号室のプロスフェール」はとても良かった。律が理緒の家庭教師になったいきさつがステキなストーリーで描かれていました。そんな接点があったから、律は家庭教師になったんですねぇ。ご都合主義的ではありますが。
律は、無事に留学に行けることになったのは良かったけど、理緒は寂しそうでした。出会いと別れですね。
この「リケジョ!」のストーリーには、「星の王子さま」と「不思議の国のトムキンス」という本が重要な存在。「星の王子さま」は読んだことがあるのですが、「不思議の国のトムキンス」は知りません。どんな本なのか、とても気になりました。
ハンダゴテを握りしめた理緒は誰よりも勇敢なヒーロー。そしてその理緒を見守る律。2人ともカッコいい「リケジョ」でした。
律が留学から帰ってきて、理緒が成長して本当の意味でのリケジョになったくらいのタイミングでの続編が読みたいな、と思いました。
伊予原作品は初めて読みましたが、面白かったです。別の作品も読んでみようと思いました。
Posted by ブクログ
天涯孤独な理系女子大学生の主人公。フランスに留学するために必要な数百万円を貯めるために、お金持ちのお嬢様(リケジョ志望)の小学生の家庭教師をやる。
・猫の毒殺事件
・警備員殺人事件
・ストーカー電波事件
など、数々の事件を理系の力を使って解決。
最後は、ミステリー定番の自分の秘密に隠された謎を解いてフィナーレ。
理系物語要素と、ミステリー要素がいい感じに混ざり合っており、またキャラも立ってるので読みやすかった。
Posted by ブクログ
人見知りで理系大学院研究生女子の主人公と彼女が家庭教師として教えている生徒理緒のコンビが理系にちなむ?日常の謎を解くミステリー連作集。
謎解きそのものはお手軽ミステリーだが、謎解きに関わる蘊蓄が少々手ごわい理系知識。ガモフが愛読書だったり、シュレディンガーの定理が「基礎」知識だったり、お手軽ミステリーを嗜もうとする文系娯楽小説好きにはハードル高すぎ(笑
と言っても、その辺は読み流して一切問題無し。ちゃんと人間味も溢れてるし、恋愛要素や人情やらもしっかり楽しめるし、特に最終篇は理系の人が主人公の人情噺です故ご安心を。
本筋と関係ないのだが、タイトルもうちょっとなんか可愛げあるのにして欲しかったなぁ。「プチ・プロフェスールの事件簿」あたりでどうだろうか?
Posted by ブクログ
投げ出し墓のバンディット
仁科律
留学で必要な百万円のため、馬淵理緒の家庭教師を引き受ける。戸川塾の中学生にリケジョとあだ名をつけられる。理緒に教授と呼ばれる。
馬淵理緒
小学四年生。リケジョになりたい。
戸川恭子
律のアルバイト先の主宰。ビッグママ。
恵人
理緒の運転手。二十歳そこそこ。
理緒の父親
仁科慎市。
トキノ
馬淵邸の住み込みの家政婦。霊感が強い。
木元康輔
戸川塾の四年生の中ではリーダー的な存在。
糸川
投げ出し墓で、足につまずいた。
鴨川
理緒の担任の先生。
リョータ
戸川塾の六年生。
木元健輔
康輔の兄。
恋するマクスウェル
律
理緒
谷本綾
懇談会に来た女子高校生。
黒瀬
天文学を専攻している修士課程の大学院生。
白倉
坊主頭。黒瀬と同じサークルのメンバー。
拓真
綾の幼なじみ。
恵人
ガラス職人の見習い。
チェシャ猫マーダーケース
大江
歯を剝いて笑うノラ猫の死体が庭に投げ込まれていた。
松野
梅庭小学校の教師。
才田
六年生。あだ名は博士。
金田
戸川塾の生徒だった。小学校レベルの計算もできず、アルファベットもろくに書けなかったが、工業高校に合格した。
館
水橋小学校で養護教諭をしている。
副部長
才田のクラブのメンバー。
虹のソノリティ
浅尾朋香
理緒にプリズムをプレゼントした。律の高校の同級生。
坂田
五十代の警備員。電気コードで首を絞められて殺された。
遠山
講師。
沼田静子
遠山の被験者をしている。
笹本拓海
朋香の恋人。警備員の遺体を発見した。
久光修平
被験者。
福澤
音楽プレーヤーを盗まれたと騒いでいた学生。
矢野
朋香の隣の鎌田研究室に所属する大学院生。
四〇二号室のプロフェスール
エクル
当時十六歳。
高村
移植コーディネーター。
馬淵綃子
理緒の母。
仁科真実子
律の母。
Posted by ブクログ
表紙の印象とは違って、しっかりした?ミステリー。
来年、コペンハーゲンに留学が決まった院生の律。
留学費用に悩んだ律に、お金持ちの令嬢、理緒の家庭教師の話が。
理緒は理科が大好きな小学生で、律を「教授」と呼んで次々と謎解きに律を誘う。
通称「投げ出し墓」に出没する足の幽霊の正体は。
大学の説明会にやってきた女子高生のストーカー事件。
近所で続く猫の不審死と怪しげな行動の少年。
大学の研究室で起きた殺人事件の犯人は。
律が幼い頃に病院で出逢った少女の秘密。
人と距離を置き、華やかな女子に疎外感を感じる律が、理緒や理緒の周りの人々との交流や、事件に巻き込まれて、だんだんと角がとれてくるのが温かい。
理緒が繰り返し言う「リケジョだからね!」最初は皮肉まじりに苦笑していたのに、だんだんと胸を張っていくような。
理系あるあるなのかも、というカタカナの難しい説明もあるけれど、言い伝えの昔話、アリス、オズの魔法使い、星の王子さまに絡めて進むので、読みやすく楽しい。
「悲しくて寂しくてどうしようもないきもちがあっても、毎日ちょっとずつ近くに寄っていって、飼いならすの。そしたら、いつかきっと、そんな気持ちとも仲よくなれる」
「遠く離れていても、会えなくても、話せなくても、科学は道しるべになる。どんな人にとっても答えが同じになるのが、科学のいいところだからね」
「リケジョを磨いときなよ!」