【感想・ネタバレ】甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯のレビュー

あらすじ

「あなたの将来を後押ししてくれる本です」――<福岡ソフトバンクホークス、小久保裕紀>天才バッティングコーチ高畠導宏の生涯を描いた傑作。小久保裕紀、田口壮などの一流プロ野球選手を育てあげた彼は高校の教師となり、高校野球の監督として甲子園での全国制覇を目指す。ところが、突然発覚した病気のために……。NHKドラマ『フルスイング』として感動を呼んだ名著が文庫化。(講談社文庫)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

高畠さんは、選手時代に輝かしい成績を長きにわたって残したわけではないっぽいのに、ずっとどこかしらのコーチをやっている人。
…この本を読むまではその程度の認識でした。
なのでプロ入団前~現役時代の話は全く知らず、読んでいてただただ驚くばかりでした。
コーチとして長く歩まれたことを思えば「災い転じて福となす」だったのかもしれないけれど、些細なケガの傷口が大きくなりすぎてしまったこと、当時のケア体制の不十分さが本当に悔やまれてならないです。
付随して、私がプロ野球を見始めたころは既にかなりの弱小だった南海の強かった時代のこと、うっすらとしか知らなかった球団ゴタゴタの話も新鮮でした。

アイディアマンと言われただけあって、この本で紹介されている練習法はどれもとても興味深かったです。
かつてスポ紙でも話題になった「●×●×ブラブラ打法」は瞬発的に関心を引くのに最高なネーミングだし、その内容もフィジカル的に理解しやすく(自分は女性なので実感はできないですが)本当に秀逸だなと改めて思いました。

「短所に目をつぶって長所を伸ばす」
言葉にすると簡単でも、指導者という立場ではなかなかできないであろうことをずっと徹底されていたその姿勢に本書で触れ、尊敬の気持ちを抱くとともに夢半ばで早逝されたことが本当に残念で自分のことのように悔しく思いました。

最後の解説文で、教え子の一人である小久保裕紀(当時は現役)が高畠コーチとの想い出を述懐した最後に
「私も遠い将来、高校野球の監督になりたい。高さんの夢と同じように。」と綴っていました。
亡くなられて数年たった後でも「高さんならどう言うだろう、どう答えてくれるだろうか」と考えるそうです。
奇しくも今年、WBC監督として若い才能を率いて世界との戦いに挑む小久保監督。どんな采配になるのか楽しみです。

0
2017年01月27日

「ノンフィクション」ランキング