【感想・ネタバレ】なくしたものたちの国のレビュー

あらすじ

いつのまにかなくなったもの、というのが、人生にはたくさんある。たとえば、赤ん坊のときに好きだったぬいぐるみ。水玉模様のかさ。初めてできた友だち。恋とは気づけなかった幼くてまばゆい初恋……。松尾たいこの彩り豊かなイラストから角田光代が紡いだ5編の小説には、そんな愛しくてなつかしい記憶がぎっしり。人生の出会いと別れをこまやかに綴った、せつなくもあたたかい作品集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

泣いた。なくしてしまったもの、もう会えない人。それらはきっとどこかに存在し続ける。わたしとは交わらないどこかの国で。
喪失のかなしみをのりこえたいときに、オススメしたい小説。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

出会えて良かった本。読んだ後、ああよかったと思った。物語だけど、分かる、と思うことばかりだった。

過去に無くして後悔したときの記憶やこれから無くすだろう、無くなるかもしれない、という私自身の不安が、本に触れている間だけでもなぐさめられたように思う。

不思議な出来事が起こるんだけど、騒ぎ立てず、静かに受け入れているところとか、最悪のタイミングだった時の心情とか、黒い気持ちでいっぱいになって自己嫌悪するところとか、作り話だとしても分かり合える人と出会えたようで嬉しかった。

ヤギのゆきちゃんと会話できなくなった場面では、そういえば、私も飼ってた犬とそういうことがあったのを思い出した。言っても信じてもらえないと思うし犬は犬だし、と押し留めていた思い出が不意に肯定されたようで嬉しいような、最期の時を思い出してしまってすごく悲しいような気持ちになった。話の中で、ゆきちゃんがずっと優しいことも余計に寂しさを誘った。
一瞬ジブリの黒猫が浮かんだけどそれはかき消した。





〜〜↓すごくネタバレ・あらすじ↓〜〜

主人公の小さい頃〜死ぬまでの5つの話。嫌な人は出てこない。

小学生の時、ヤギのゆきちゃんと友達になってお母さんのティアラを持ち出して無くしてしまった話、

高校生の時、昔飼ってた猫のミケの記憶がある男の子と知り合って、初めて終電で帰った日におばあちゃんが亡くなってた話、

33才の時、不倫をして生き霊になってしまった話、

生き霊卒業後、結婚して子供もできたけど電車に娘を忘れてきて管理庫に探しに行く話、

最後に、今までの色々と繋がって人生の終わりに向かう話。でもそれには怖さとか暗さは全く無くて、ゆきちゃんにもまた会えたし無くしたものも見つかった。
あぁこれかぁーとか、よかった、安心した、と思えるようなハッピーエンドだった。

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2023年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とっても良かった。過去作にpresentsという短編集を出されているが、同じぐらいに好きだ。

presentsと同じように、人が生まれてから死ぬまでに得るもの・無くすものが描かれている。もちろん、タイトル通り、無くしたものにウェイトが置かれている。

主人公は雉田成子さんという名前で、生き物の声が聞こえたり、亡くなった飼い猫の生まれ変わりにであったり、生き霊になれたり不思議な出来事に出会ってはその現象に遭うことが無くなる。それをきっかけに、物ではないが得るものがあるということは、無くしたものが得たものに姿・形を変えて成子さんのもとに巡ってきたのだろうと思った。

そして成子さんが「なくしたものたちの場所」に来たということは───??
人でも物でも、今ここで一緒に存在していることが不思議に思える。人や物、何でも大切にしたくなる、そんな一冊だった。

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2018年05月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「なくす」にまつわる、とても不思議な短編連作。

ナリちゃんは大人になるに従い、その時々で色々なモノをなくし、その度に不思議な経験をし考えていく。
小さな頃、黙って持ち出したお母さんの大切なかんむりをなくしたり、男の人を好きになりすぎて自分自身をなくしたり……。

でもそれはなくしたのではない。
だ別の場所に移動しただけ。
なくして初めてそれが「あった」ことを思い知る。
なくしたモノはどこかにあって、またいつか出会えるはず。
いつかは出会えるのだから、安心して歩いて行こう!と静かに背中を押してくれるステキな物語だった。

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2017年08月19日

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