あらすじ
「許せないなら別れる」――彼氏が元彼女を居候させると言い出した。愛してるのは君だけ、と彼は言うけど……。週刊誌連載中から痛快なラストが話題を呼んだ表題作。そして、併録の「亜美ちゃんは美人」は、美人の親友が隣にいるせいでいつも“二番”に甘んじるしかない女子の複雑感情に「あるある!」と思わず頷いてしまう傑作。綿矢流の黒いユーモアと観察眼が光る恋愛小説。第6回(2012年)大江健三郎賞受賞作。
...続きを読む
花火大会が混雑するように、岡本太郎が「芸術は爆発だ!」と言ったように、爆発とは人を惹きつけてやまないもの。近年の綿矢りさ作品は、穏やかな日常から、突如爆発する。例えば、心優しい幼馴染が変貌する「トイレの懺悔室」(『憤死』収録)、想い人の恋人に嫉妬するあまり衝撃の行動に出る『ひらいて』など。確かに、かつての芥川賞受賞作『蹴りたい背中』も「蹴りたい」という欲求がテーマだった。そこから年月を経て描かれている作品群は、いわば「背中を蹴り飛ばし踏みにじってやる!」だなと思う。
この作品は主人公の恋人が、未練たらたらのだらしない元カノを居候させるところから始まる。とんでもないようで、恋愛に関してのとんでもない出来事というのは意外と世の中に溢れているわけで。理性的に考えれば、「別れる」以外の選択肢はないはずだが、主人公はとにかく耐え続ける。しかし溜まりゆくフラストレーションの先にはもちろん…。さあ、とっておきの爆発とその先の解放感を召し上がれ。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
かわいそうだね?
友達の恋バナを聞いているようでとても面白かった
アキヨと隆大には、大きなバチが当たって欲しいけど、こういう人達ってどこかにいそうだよな〜と思った
亜美ちゃんは美人
こういう女性の心理ってすごく共感できるな〜と思ったし、こちらまで少し涙ぐんでしまった、いいお話しでした、とても面白かった
Posted by ブクログ
文章の密度の濃さに圧倒されたが、それが心地よく、ガンガン読んでしまった。
『かわいそうだね?』でも『亜美ちゃんは美人』でも人のことを理解するのも難しいし、自分の本当の気持ちにも到達するのは難しいと痛感した。
どっちもとっても面白かった。
Posted by ブクログ
彼氏の自分以外に向けられた優しさに対して
良性のガンって表現しててわかる~!となりました
その優しさが自分に転移して元カノとの同棲を許し元カノと共存していこうとしている姿が滑稽で強かった