あらすじ
金融を原点から考え直す! 情報とは何か、信用はいかに創り出されるのかといった、金融の本質に鋭く切り込み、平明かつ簡潔に解説したロングセラー『現代の金融入門』を、金融危機の経験を総括すべく全面改訂。アメリカの金融におけるリスク取引の功罪を明らかにし、金融システムの安定に必要な規制・監督の仕組みを考察。
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Posted by ブクログ
現代の金融について、主に学術的な見地から解説した本である。
構成としては、
・金融取引
・銀行システム
・金融政策と中央銀行
・資産価格とそのバブル
・日本の企業統治
・金融機能の分解と高度化
・金融規制監督
となっている。
特徴的なのは、学術的な見地の解説も多い一方で、現実とのギャップや、そのギャップに対する解説が多いことである。実務とのズレ(世界的に共通のものもあれば、日本独特のものもある)を明確にすることに加え、それをどのように理解したらよいか、解説しているのは貴重であると感じた。
企業価値に「従業員余剰」という将来的に従業員に帰属する報酬の現在価値(数値化できない企業特殊的な技能などから発生)があり、バイアウトなどをしてこれを反故にすれば、株主価値が高まる、などといった解説は面白い視点だった。
Posted by ブクログ
世界金融危機後の現代金融の入門書。
銀行システムや現代金融政策、あるいはデリバティブなどの
金融商品について知りたい人にとっては有益だと思う。
特に現代の金融政策に関しては、中央銀行が資金を供給する段階においては、既に市場に今どれだけの資金需要があるか分かっているからこそできることであり、資金需要がないままただ資金を流し続けても意味がない。
その場合、有効な手段として名目金利の引き下げが考えられるが
現在の日本の場合、それがゼロなので下げる余地がない。
ゼロに下げでもデフレが解消しないのは自然金利がマイナスだからだ。
だが、資金需要をあげるための明確な答えはまだない。
Posted by ブクログ
債権・株式の話一つとっても他の入門書とは違った観点から、かなり本質的な議論をすすめてくれる。
名著であり、素晴らしい。
1章金融取引の意味とそこにおける金融機関の役割 第2章銀行と呼ばれるタイプの金融機関が総体として果たしている役割を説明、第3章では金融政策、第4章資産価格に関連した話題、第5章金融面からみた日本のコーポレートガバナンス、第6章デリバティブや証券化といった金融の流れ、第7章金融危機を踏まえての金融規制監督
・資金の移転が可能となることにより、時間を通じて消費水準を平準化でき、効用が改善する。有望なチャンスを持つものとそれを実行できるものが必ず十分な貯蓄を有しているとは限らず社会的にも望ましいこととなる。投資機会にアクセスしたり、実行する能力の分布と貯蓄を行う能力の分布が一致していることはありえない。資金の移転がなければ、無理に投資を行わなければならないものと、投資したくてもできないものが生じる。社会的に金融取引により、効率的な投資実現ができることとなる。
市場が本来の力を発揮できるためには
①情報が円滑に流れること
②財産権が保護されていること
③人々が約束を守ると信頼して差し支えないこと
④第三者に対する副次的影響が抑えられていること
⑤競争が促進されていること
Posted by ブクログ
・金融市場の機能は、情報生産機能と資産変換機能の2つ。
・銀行は現金準備より何倍も多くの金を貸せる。
・中央銀行の機能と金融政策
・金融規制
このへんが書かれていた。
金融システムは社会インフラであり、重要な意義を持っている。
中央銀行や規制で守って、システムが円滑に機能するように努力が行われている。
金融システムは本当に良くできている。
歴史を重ねて現在の形になったのだろうが、冗長性があって、生態系のようでもある。
ちょうど植物と草食動物と肉食動物の数がバランスして均衡を保っているように、
市場も絶妙な均衡を保って価格を決めているのだろう。
自然現象のような人工物。
不思議だ。