あらすじ
恋をした相手は人形だった。だが、人形はエキセントリックな天才作家自らの手で破壊されてしまう。修復を進める僕の目の前に、人形に生き写しの女優・聖(ひじり)が現れた。人形と女優が競演を果たすとき、僕らは? 日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を開く、初めての長編ミステリー。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
ここ数年の読書の中で一番のお気に入りです。
まさかの展開に度肝を抜かれた記憶があります。
加納朋子さんっぽくない作品ですが、そこがまた良かった。
Posted by ブクログ
球体関節人形は以前中野ブロードウェイのショーウィンドーでカスタム前のものを見たけど、
人の形を追求するのではなく、本当に理想をありったけ詰めこんだ造形物なんだなと感じた。
目の色や髪形・髪色、服装など自分の思うままに作れるのは面白いだろうけれども畏れ多い。
おこがましいというか。
あと、ハマったら抜けられなくなりそうな気がものすごーくします。ああいった趣味は。
読みながらこういう話好きだわーと思うほど私のツボにハマりました。
想いの矢印が色んな方向に行き交ってすれ違ってしまった切ない話だった。
皇なつきの絵で勝手に脳内再生された。
黒猫の三角漫画版での練ちゃんが聖のイメージとつながったのかと。
多分聖は練ちゃんみたいなびらびら服ではなくシンプルな服を着るんだとは思うけど。
油断していたのでミスリードにまんまと引っ掛かった。
まゆらが連れてきた若い男性=草太で、了と年恰好が似ている→二人の描写が混在しているのは分かったけど、
まさか了=おじさまだとは思いもしなかった。時系列もバラバラになっていたとは。
Posted by ブクログ
二度読み。
登場人物全員が人形に様々な形で翻弄される。
人形を作った本人でさえも。
男性たちがもっと、周りに目を向けられていたらと何度も思うような展開で、はがゆい。
了も創也も人形のことが第一で周りが見えていないがために大事なものを見失い、壊れてゆく。
人形の魅力にとりつかれた男たち。
愛情、嫉妬、憎しみ…紙一重。
人形を中心に様々な感情が入り乱れる。
好きな表現などもろもろ。
p41-3
人間と人形の差などないと思う了の考え
p68-10
了の人形に対する思い
p140-13
聖に対しての彼の望み
p163
聖に対しての渇望
p194-12
まゆらが思う子供の本質
p215
p244-12
p250-16
p251
p259-8(p195)
愛しかたの齟齬、乖離
p256~p257
女性側から見た男性の姿
何故感じとれないか…。
p260~p261
人形について
p265
見る角度によって景色は変わる
p291の後ろ3~p292
了が初めて知る人付き合いのルールについて
p309
まゆらという人間
創也にはずっとわからないであろうこと
p322-3
人形を見るときの人間の勝手な願望、心のうち
p345
聖の思いと了という人間について
p346-11
歪な関係の例え
p346-12~p347-1
聖の感情が強く出ているところ
p350
子供から大人へ
p360
成長
Posted by ブクログ
世界観もストーリーもとても好みだった一冊。
美しい人形や、ダークな雰囲気が好きな人にオススメ。
はまる人ははまるんじゃないかな。
読み終わって、満足して、もいちど読み返して気付いた。
騙された!
終わりまで読んだ後再読すると、新たな発見がある本です。
Posted by ブクログ
聖子
高校在籍時から劇団に所属している。高校卒業後、お金持ちのパトロンを見つける。聖と名乗る。
あやこ
聖子と遠い親戚で同い年の女の子。聖子が訪ねておよそ一年後に病気で死んだ。
了
三つの頃、押し入ってきた強盗に両親が殺された。親戚の家に引き取られる。高校を卒業した年、養父母はヨーロッパへ旅立ち、飛行機事故で亡くなる。
薫子
聖子の姉。二十歳になった途端、付き合ってた彼氏と結婚した。二年後に実家に戻ってくる。一人娘を保育園に預け、ホステスとして働いている。
桜子
聖子の姉。したたかな女。
聖子の父
自分が作った家庭の中に自分が望む幻想が存在しないと知るや、逃げるように去っていった。、
聖子の母
父が出て行った後、ホステスになった。
安藤零
聖子の劇団の座長兼脚本兼役者。
美保
聖子より年下の劇団員。ストレートヘアの和風美女だけど、見かけと違って中身は相当な跳ねっ返り。
佐久間
聖子の遠い親戚。あやこの母。あやこが亡くなった後、あやこが可愛がっていた人形に子供の名前をつけて生きているように振る舞っている。
如月まゆら
人形師。
牧原
創作人形の講師。
小野寺
聖子のパトロン。
創也の祖父
岩槻の雛人形職人。頭部のみを作る専門職。頭師。信頼する衣装師が亡くなったのを機に、人形作りを辞めた。
創也の母
創也の父
裕福な宝石商。
三好創也
有名な宝石店のオーナー。まゆらドールを販売する会社「創也企画」を起こす。
ハルノマユコ
春野真由子。創也が病院で知り合った。自傷癖があり精神科に通っている。天性の人形師。如月まゆら。
田倉
精神科の医師。
しょぼくれた老人
アンティークショップと喫茶店を兼ねたような店の主人。
草太
まゆらの子。
創也企画唯一の従業員
Posted by ブクログ
これはゆっくり読んではいけないやつだった。もう頭がこんがらがった。
「ゲーム」と分かった時はその意図が分からず、読者を騙したかっただけならそりゃないわ…と思ったけど、後になって理由が判明。
事件後が長く感じたけど、ラストは良かった。
でも共感できる主人公ではなかったな。
Posted by ブクログ
耽美的な人形奇譚、芸術家の狂気の物語を期待した向きは、第三部が始まった時点で梯子を外されることになる。「孤高の芸術家」も人間嫌いの少年も市井の幸せみたいなものを求めていた、と明かされるわけで。ほとんどの登場人物が何らかの形で肯定される中で、具眼の士を気取って、凡俗を嫌ったパトロンだけがとことん否定されて終るのも象徴的。
Posted by ブクログ
人物のみでなく時系列までがごちゃまぜ…しっかり騙されました。
ストーリー自体にはそれほど惹かれなかった、まゆらドール自体の凄みとかがもっと伝わってくるとよかったと思う。
Posted by ブクログ
幻の人形、まゆらドールをとりまく物語。
まゆら人形に魅せられた了。
まゆらドールを生み出させる創也。
人形のような美貌の女優、聖。
人形を作り続ける、まゆら。
それぞれの視点と時間軸が交差して、悲劇が起きる。
バレエの「コッペリア」を題材にしている。
このごろバレエついているのでなんだかうれしくて手にとったけれど。
あまりにも入り組んで絡まるので、だんだんと混乱してくる。
そこが罠なわけだけど、絡まりすぎかなあ。
とにかく聖が可愛いかった。
最後は彼女のがんばりのおかげか納まるところにおさまった。
「みーんなそうなんだから。恋愛ごっこ、恋人ごっこ、家族ごっこ、仲良しごっこ…みんなそうやって、観客をだましているだけなのよ。」
だとすれば、これまでの僕はルールをしらないままでゲームに参加していたことになる。