あらすじ
川沿いの澪通りの木戸番夫婦は、人に言えない苦労の末に、深川に流れて来たと噂されている。思い通りにならない暮らしに苦しむ人々は、この2人を訪れて知恵を借り、生きる力を取りもどしてゆく。傷つきながらも、まっとうに生きようとつとめる市井の男女を、こまやかに暖かく描く、泉鏡花賞受賞の名作集。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
宇江佐作品を読み終わってしまった後、市井人情ものロスになる前に、エエの探しとことと思い、評判の高いこのシリーズを手に取った。
正解!
木戸番笑兵衛と、小間物屋を営むその妻お捨。彼ら夫婦と交わる江戸の人々にはそれぞれ生活者としての悩みがある。
それを大上段に解決するのではなく、等身大で受けて時間とともにゆんわりじんわり解決していく。
そうそう、こういう人情話を時々継続して読みたくなるのである。心が風呂に使ったようなじんわり溶きほぐれる感じを、たまに味わっておくのは、気持ちいいし必要なこと。
葉室作品では道徳部分が強すぎるし、伊藤潤では志が高すぎる…。いいシリーズに巡り合えた。非常に残念なことに、このシリーズも新作は期待できないのだが(別の作家が書き継ぐってのは別にして)まだまだ未読は残っている。大いに期待して追いかける事にしよう。