あらすじ
小さな川の流れを呑みこんでしだいに大きくなっていく紀ノ川のように、男のいのちを吸収しながらたくましく生きる女たち。――家霊的で絶対の存在である祖母・花。男のような侠気があり、独立自尊の気持の強い母・文緒。そして、大学を卒業して出版社に就職した戦後世代の娘・華子。紀州和歌山の素封家を舞台に、明治・大正・昭和三代の女たちの系譜をたどった年代記的長編。
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Posted by ブクログ
「お母さん、乳房形って、どないして作るんですか?」
と訊きに来た。木綿のハンカチを扱って簡単に作り方を説明してから、
「あんた、慈尊院さんへ行くんかよし」
と尋ねると、
「ふん、まあ気休めやと思うけどの」
ぷいと立って行ってしまった。
Posted by ブクログ
花の一生、理想の女の生き様かと思えばもっと濃いもの。教養はあれどしとやかであれ、というだけに止まらず家に対する執念など。
花の死際、家の縛りから放たれ、抑圧していたものが全て解放している様は読んでいて辛い。呆けだけではなくヤケのような、
白蛇が出たのだからじきに花も死ぬのだろうが、その場面まで書かれてなくてよかった、きっと耐えられない
美っつい川。