【感想・ネタバレ】鉄騎兵、跳んだのレビュー

あらすじ

オール讀物新人賞を受賞した佐々木譲さんのデビュー作『鉄騎兵、跳んだ』。モトクロスに青春を懸ける青年、貞二の挫折、恋、多感な時期の葛藤を描き、当時の選考委員にも絶賛された瑞々しい作品です。他にも『246グランプリ』『パッシング・ポイント』『ロウアウト』など全5編を収録。これが佐々木譲の原点だ!

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Posted by ブクログ

ずっと前から読みたかった作品。
モトクロス、公道レース、ボート競技、テニスなどを通じて人の心の動きを描く。
ちょっとハードボイルド。
なんてったって佐々木譲だ。

結末ははっきりしてるけど、はっきりとハッピーには終わらない。
主人公たちはこれからどこへ行くのか、わからない。
読者は彼らと一緒に競技をとおしてカタルシスを得る。
台詞回しに時代を感じるけど古臭さは感じない。
ボート競技の何が楽しいのかわからなかったが、ちょっと興味が湧いてきた。

警察小説もいいけど、こういう競技者の心を描いたものももっと書いて欲しいな。

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2012年01月07日

Posted by ブクログ

z2が出た頃cb750に乗る主人公はそのバイクに出会い、公道でレースをする。
主人公は勝負に負け、自分が率いていたバイクチームもバラバラになっていく。そこで主人公はまたz2に勝負を仕掛ける。
z2とcb750のみの観客のいないレースは主人公の勝利で幕を閉じる。
以前に負けたときにいた仲間はどうしたと問われた主人公は、あいつは死んでしまったよ。警察の取り締まりから逃れようとしてと答える。

もうチームは解散していた。
勝利ではあったが自分は何の為に戦ったのだろうと自問する主人公のみが残る。

というように全編レースを主題にした作品。
佐々木譲の処女作。
レーサー特有の焦燥感が非常に繊細に描写された作品。
一気に読める

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2010年07月10日

Posted by ブクログ

約30年振りに復刻。表題作は警察小説の名手である作者のデビュー作。バイクレースに関わる人もバイクを知らない人にもお勧めできます。

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2010年06月30日

Posted by ブクログ

佐々木譲のデビュー作短編集が文春文庫版で復刊しての登場。表題作はデビュー作にしてオール読物新人賞受賞作。「初めての応募が新人賞受賞」ではなくて「初めて書いた小説が新人賞受賞」なのだからその非凡さが伺える。後の佐々木譲小説の根幹になる「反権力」の視点こそ登場しないがもう一方の柱である「常にフェアであること」という思想は全作品に通じている。表題作こそ、「どこの新人作家だ」って感じはしますが、デビュー作掲載から8ヶ月で書き下ろしたとは思えない完成度。

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2011年08月19日

Posted by ブクログ

内容(「BOOK」データベースより)
モトクロスに人生の全てを賭ける貞二は、思うような結果が出せず、また、若い天才の出現に焦りを覚える。やがて、愛する洋子のため引退を決意し、最後の戦いに挑むが…。オール讀物新人賞受賞の表題作をはじめ、逡巡する青春の終わりの日々を瑞々しく描いた、作家・佐々木譲の原点である初期短篇五篇を収録。

バイクにはとんと関心ありませんが、佐々木譲の原点ということで興味深く読ませて頂きました。後年の作品よりも青さと古さがなかなか郷愁さそいますね。70年代の青年漫画のような雰囲気が有りますです。

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2017年07月09日

Posted by ブクログ

短編5編。
表題のモトクロスレーサーの話は作者がモトクロスを初めて見に行って面白そうだから書いた、というデビュー作。モトクロス狂だろうと思わせるような臨場感あふれるレース描写だったのに…驚き。
他は公道レース、ツーリスト、漕艇、テニスを扱った4編。
青春期にある青年の揺れる心や無謀さ、こだわりが面白い(最後のテニスの一編だけが大人の男女を扱っていて非さわやか)。
勝利にこだわっているように見えて本当は完全燃焼することを求めている青年達の思いを疾走感に乗せて書いた作品たちは三十年以上経ても鮮やか。

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2016年11月10日

Posted by ブクログ

長らく絶版となっていた佐々木譲のデビュー作が復刊とな。読み終えて30年前の作品と知るが、そんな古めかしさを感じさせないのが流石。
短編5編の中にバイクを主題にして3編。
凝縮したレースの描写がゴールに近づくに従ってどんどん加速する標題作。カワサキの男のニヒルさが渋い「246グランプリ」。ここいらは今に続く佐々木譲の文章や読者に結論を委ねる短編の締め方にもそのまま続いているような。
3つ目の「パッシング・ポイント」は主人公のぼくの甘さが残念。次にある大学のボート競技を題材にしてストレートな青春を切り取った「ロウアウト」の慎一の潔さと比べると差が歴然(余談ながら、この前、朝日レガッタ見たけど、ボート競技って確かに見ててもちっとも面白くないんだな、これが)。
最後に置かれた「雪辱戦」だけは少し毛色が変わって二組の夫婦の物語。幾分時代を感じさせる山中湖畔のテニスコートでの賭けの結末は思わぬ形で戦慄を呼ぶ。ここもまたミステリー作家としての面目躍如といったところ。

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2015年08月23日

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