【感想・ネタバレ】福島原発事故 県民健康管理調査の闇のレビュー

あらすじ

未曾有の原発事故により放出された大量の放射能。住民の健康への影響を調べる福島県の調査の裏で、専門家、行政担当者たちは一体、何をしていたのか。秘密裏に会議を繰り返し、事前に調査結果に対する評価をすりあわせ、議事録までも改竄――。一人の記者が、“闇”に立ち向かい、調査報道でその実態を明らかにする。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

”取材を重ねる中で、よく想像したことがある。10年後か20年後か分からないが、甲状腺がんに限らず、健康被害を訴える人々がでたときにどうなるだろうかと。
そうならないのが一番良い。しかし、万が一、そのような状況になったとき、国や福島県はこの県民健康管理調査の結果を使って、「被曝との因果関係はない」と反論するのではあるまいか。そのとき、この県民健康管理調査がなんだったのか、調査内容がどう決まり、どこまで信頼できるものかが問われることになる。”

エピローグに記された言葉に、記者の一連の”秘密会”取材にかける意気込みを感じる。”秘密会”を必要とした県民健康管理調査検討委員会が何を守ろうとし結果として何を犠牲にしているのか。”科学的””客観的”であるとは何か、専門家の役割とは何かについても考えさせられる。多くの人に読んで欲しい。

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2013年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

福島県県民健康調査の検討委員会における事前協議、つまり秘密会のスクープ記事を書いた筆者の取材舞台裏と、調査のあり方に疑問を呈している。

これは安心のための調査が、不安、そして不信になっていく舞台裏でもある。いや、そもそも原案では「(放射線量の推定評価を行い)安全であるかどうかを確認」した上で「不安の解消」が目的であったのに、前者が抜けてスタートした時点で、不信を生み出していたのであろう。

検討委員会の配信映像を見ながら、納得いかないことも多くあったので、「あーーあのときの、あれか。やはりシナリオがあったんだな」と思い当たることも。

専門家たちが比較的前向きであった尿検査をやらないと主導したのは県であったことなど、どう考えても県側のスタンスは「面倒くさい」のか、「一日も早く大丈夫だということをアピールしたい」のか、彼らはどこを見て県政を担っているのか、疑問だらけである。

完全に職務怠慢であるし、県民に対する背信行為に思えるのだが。

巻末に検討委員会とオブザーバーの一覧が掲載されている。これを眺めていると、45名のうち女性はたった2名。甲状腺がんは子供を対象にした検査だというのに、これでは検討委員会に多くの母親の悲痛な叫びが想像できるはずもなかろう、と思った。

ネットが発達したこの時代、調査報道をきちんとしてくれることが既存マスコミの存在意義だとも感じた。

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2013年10月13日

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