あらすじ
本書の著者、フィリップ・シノンが勤務するニューヨーク・タイムズのオフィスの電話が鳴った。「委員会のものだが、話を聞いてもらいたい」。当時、シノンは調査報道記者として、9・11テロを調査した超党派の委員会「9・11委員会」がなぜ真相に到達できなかったかを書いた『委員会』を出版したばかりだった。だが、電話をかけてきた相手は「委員会」は「委員会」でももうひとつの歴史的委員会、ケネディ暗殺の真相を調査した「ウォーレン委員会」の人間だった――。ウォーレン委員会の元スタッフ全面協力のもと、シノンが暗殺事件を徹底的に再調査。50年の時を経て初めて明かされるケネディ暗殺の真相!
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Posted by ブクログ
当時、ウォーレン委員会の若手法律スタッフとして第一線で捜査資料を収集、検討していた人々も、50年という歳月を経て、自らの見聞や体験を冷静に振り返り、語れるようになったのがよくわかる。
今日では FBI や CIA の捜査能力や情報収集が官僚主義的な自己保身と絡まりあって、かなり杜撰であったことが広く知られるようになっているので、この書にしばしば出てくる捜査資料の杜撰さに対するスタッフの憤懣にはさほど驚かないが、 FBI や CIA がまだ神話的な伝説に包まれていた時代に、その杜撰さに直面した当時の若手スタッフはさぞ驚いたであろうし、信じられない思いだっただろう。
いろいろな陰謀を説くケネディ暗殺ものは多いが、つねにその批判の対象となったウォーレン委員会の調査の内幕を覗かせてくれた本書は、貴重な歴史の証言といえる。
Posted by ブクログ
1963年11月22日、アメリカ・テキサス州ダラス。第35代アメリカ
大統領ジョン・フィッツジェラルド・ケネディがオープンカーでの
パレードの最中に射殺された。
現職大統領、しかもアメリカが大きな期待を寄せた新時代の
大統領の暗殺はアメリカのみならず、世界に大きな衝撃を
与えた。
ケネディ亡きあと、副大統領から新大統領となったジョンソンに
よって招集されたのがこの暗殺事件を検証する為のウォーレン
委員会だ。
連邦最高裁首席判事アール・ウォーレンを委員長に、後に大統領
となるフォード、ピッグス湾事件で失脚した元CIA長官アレン・ダレス
などの6人の委員によって構成された。
実際に事件の調査にあたったのは当時の若き法律家たちだ。本書
はその元調査員が著者へコンタクトしてきたことから、当時、委員会
では何が行われていたかを綿密に追ったノンフィクションである。
マフィアによる暗殺、外国勢力による暗殺、自国の情報機関による
謀殺まで。ケネディ暗殺にまつわる陰謀論はさまざまある。
そんな陰謀論がどうして生まれたのか。本書を読むと納得がいく。
FBIは実行犯とされるオズワルドが要監視対象だったのに監視
を怠ったことを隠ぺいする為に、早々にオズワルド単独犯説で
報告書をまとめ事件を終わらせようとする。
事件が発生した地元のダラス警察は、オズワルドの犯行の実地
検分もせず、貴重な目撃者の証言も取っていない。
そもそも、瀕死の大統領が運び込まれた病院で銃弾が飛び出した
と思われる大統領の喉が気管切開されていたなんて。
若き弁護士たちは犯罪学の専門家ではないけれど、ケネディ暗殺
事件を調べるうちに徐々に解剖学や弾道学の専門知識を身に付け
ていく。
しかし、そのすべてが報われる訳ではない。様々な思惑が入り乱れ、
思うような調査が出来ないことがまま起きる。
さぁ、下巻も楽しみ~。