あらすじ
夜の海で助けた男は「怪物」だった――。
この海はね、きれいだけど、腐っているの――
都内の中堅商社をリストラされた垂水柊一郎は、妻の故郷である暮内町に移住し、漁師として働きはじめた。しかし、妻は義父とともに釣りに出掛けたまま帰らぬ人となってしまう。
二人の死に疑念を抱きつつも何もできず、喪失感を持て余しながら漁に出ていたある夜、柊一郎は海に漂っている男を見つける。「イルナム」と名乗る北朝鮮人のその男を助けたことで、柊一郎の運命は大きく歪んでいく――。
横行する密漁、失踪した漁協事務員、悪しき因習、そして妻と義父の死の謎……。
地方の港町で一体、何が起こっているのか!?
究極の社会派ミステリー!!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
柊一郎は妻と義父の死亡に納得いかないまま、暮内町に一人住んでいた。
その暮内町漁協ではヤクザと組んだ密猟、組合費の横領、漁協の不正を掴んだ坂巻と事務員の殺害、核のゴミの最終処分場、北朝鮮の軍人イルナム、等々。
厄災の数々が暗黙のうちに町に蔓延り、柊一郎も絡めとられるように関係を深めてしまう。
元サラリーマンから漁師になった不安定さに加え、北朝鮮兵士との関わりなど、不安要素一杯の物語の結末には呆れる程の展開になり、まさに腐魚を一掃するカタルシスがあった。
面白かった。
Posted by ブクログ
リストラされた垂水柊一郎は、妻の故郷である暮内町に移住し、漁師として働くが、ある日妻と義父が釣りに出たまま帰らぬ人になり…。
二人の死に疑念を持ちつつ、だが何もできないまま漁にに出かけたある夜、イルナムと名乗る北朝鮮人を助ける。
だが彼を助けたことで…。
彼の正体は…。
腐敗した港町で起きていた密漁、その後に失踪した漁協事務員…。
妻と義父の死の真相がわかったときには、この町の将来は嫌な方向へと向かっていたのだろう。
陰湿な家父長制が、日本社会に今も根強く残っていることに驚くのだが、漁協に町議会、県議会、そして政府と遡れるが、家長の決めたことは絶対なのか…と。
逆らう者は意図も容易く排除されることの怖さに今更ながら驚きを隠せなかった。
Posted by ブクログ
読みながら、過去に読んだノンフィクション『対馬の海に沈む』と
『サカナとヤクザ』が頭に浮かんでいましたが、参考書籍としてこの2冊があげられていたので、納得しました。
ノンフィクションを読んだ後に、これを小説で読みたいなと思うことがよくありますが、まさに実現していただいた感。
ラストの怪物との死闘は大迫力でもはやホラーかと。