【感想・ネタバレ】ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版]のレビュー

あらすじ

一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった-。本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。

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Posted by ブクログ

めちゃくちゃよかった〜。リアルなろうとか言われてるのを見かけたので、どんなもんやね?と軽い気持ちで手に取ったけど、知性と自負を感じる文章にクラクラした!(そういう点では全然"なろう"らしくはない)

文体は読みやすく、時にユーモアがあり、正しく自信がある人にしかできない「他者に悪い評価下すこと」を惧れずやってのけ、一方で驕りを排除しようと己を律する態度に好感。

寡聞にして知らなかったのだが、当時の日本では「さん」より「君」をよりオフィシャルな敬称として使用するものらしく、本文でもほぼ全ての男の敬称が「君」でなんか良かった。
人間愛や自分がなんとかせねばという使命感・自負のために奮闘する男が、君付けで呼び合う相手と言葉で刺しあうの、インテリ臭が凄い。

色んな困難・苦難に淡々と耐え、先を見据えて手を打ち、常に目的を忘れず……そうして仕込んだ狙い通りに国が動いてゆくのは非常に爽快だが、その爽快パートすらもあっさりとした語り口で進んでいく。実りの部分をこうもサクサクと終わらせてゆくのも仕事人感。

大正生まれの方とのことで、読む前は時代による価値観の遅れなどが滲むこともあろうと想像していたが、本質的に誠実でかつ知能が高ければそうしたことは殆ど問題にならないと知れたのも収穫だった。

仕事に飽き、人生に倦んだ際に触れると、元気や勇気をもらえるかもしれない。
近頃は「仕事にやりがいなんていらない、金をくれ」的な言論が流行っていると感じるが、やはり人生の充実・手応えという意味ではやりがいも大切なんだろうと本作から間接的に感じた。素敵な人生だ。

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2025年07月04日

Posted by ブクログ

人をしっかりと見る、風説を疑う、任務に忠実であるということを徹底している人であったのだと思う。真摯に働くことの大きな力を感じた。

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2025年03月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

YouTubeで紹介されていたのを見て、久しぶりにノンフィクションの本を読んだ。
アフリカ途上国の構造、途上国民の性格や考えなど、この本から少しは感じ取ることができた。
物語のような著者の凄さを感じさせられる一冊。それだけに、その後の動乱については複雑な気持ちになる…

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

非常に面白かった。立派な人がいたんだなぁ、と思う。人を、現場を、大切にする人。大統領との対話で作られた信頼関係があってルワンダのため、ルワンダ人のための仕事をしているのは最高のモチベーションになっていると思う。仕事というのはかくあるべし、と思う。

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2024年02月06日

Posted by ブクログ

服部氏の日銀総裁や世界銀行での経験からすれば端から可能なことだったかもしれないが、アフリカ内陸にあり経済的条件も良くない土地で、通貨改革や中央銀行、金融の組織化をやりきった姿を、仕事人として尊敬する。

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2024年01月29日

Posted by ブクログ

子どもが面白いから絶対読んだ方がいいと薦めてくれて読みました。めちゃくちゃ面白かった。

Noblesse obligeとしか言いようがない。
こんなにすごい日本人がいたなんて感動しました。

そしてもっと経済について勉強しないと、とも思いました。

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ面白かった。

中央銀行総裁の立場ではあるが、コンサルのような印象を受けた。
国を相手にしてさまざまな領域からアプローチできるのは非常に魅力的な仕事だったろうと思う。

他方で、現代社会の日本と照らし合わせると、当時のルワンダのように明確で規模の大きい課題が少ないのは当然のことということも理解しておきたい。

とにかく読んでいて、現在の仕組みを理解した上で、仕組みの外側から解決策を持ってくることに非常に長けていると感じた。

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2023年08月19日

Posted by ブクログ

ルワンダの中央銀行総裁として着任した服部総裁の記録。財政や国際収支の赤字や未熟な組織、物理的条件の不利など困難を極める中でルワンダ国民のために経済改革を行った。 人間としてとてもかっこいい。

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

平積みになり、まさにリバイバルという形で、手に取ってみたら、やはりなかなかよかった。6年間で行った数々の規格が、今も生きているということだろう。人ができることは、大きく一国を変えていくこともあるということがわかる。良い仕事には愛情が伴うものだと思う。

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

約50年も前のお仕事について書かれた本ではあるが、情報あふれるこの時代に示唆的な内容であると感じた。

著者の方は、日本中央銀行で約20年、その後も国際的金融機関で輝かしいキャリアを積まれた方だが、人から聞いた話を鵜呑みにせず、ヨレヨレのランニングシャツを着たようなアフリカ小国の名もなき一般人とも直接お話をされる方であったようだ。ご本人の卓越した経験、スキルの力もあるだろうが、結果的に今まで誰もなし得なかった一国の経済を立て直す大仕事を成功されている。

翻って今日の日本、自分が触れている情報は信用に足るものだろうか。人から聞いた、教えてもらった情報や考え方を鵜呑みにしてはいないだろうか。そっと我が身を振り返った。

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2022年08月15日

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ルワンダ経済再建の舞台裏を垣間見る事ができる貴重な本です
経済の成長も阻害も人次第、そういう人材を育成する大切さを再確認させられました

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2022年08月15日

Posted by ブクログ

ぃやー!
事実は小説よりも奇なり とは、よく言ったものですね!
って感じ!!
ぃやー、ノンフィクションなのに。血肉湧き踊りました。
1国を一人で(もちろん、協力者はいろいろいるので、ほんとうに一人、と言うのは語弊があるけれども)がっつり再建する、そんなドラマにあふれた1冊。
すげーっす。
この時代、手紙ですべてやり取りする時代ですよ?
そこでいきなり、ルワンダに単身渡り、一国の再建のために自身の人生をささげた彼の意気がすごい。
この時代の、ルワンダの何もなさも、すごい。

専門家の真髄を見た、って感じ。
彼ほど、良く知っていれば、本当に役にも立つよね。尊敬もされるよね。

当時の人は、政府のオーナーシップとか特段気にすることなく、もはやこの服部氏自体が中央銀行総裁だったことは、さすがに時代背景なんだろうけど、でも、すごいなぁ。。

すごい、小説読んでる気分になりました。
城戸さんとか思い出しつつ。笑 男子の本懐?笑

ちなみに、精神論は、今も全く変わっていないと思うし、今も昔も当てはまること、いっぱいあったと思う。

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2023年10月23日

Posted by ブクログ

当時(1965年)アフリカ最貧国であったルワンダの中央銀行総裁として着任し、通貨改革、国家予算策定、農業振興、鉱業再興など八面六臂の活躍をされた服部正也氏の行動録。

経済金融制度を一からデザインするに際し、科学的エビデンスを尊ぶことから逸脱せず、旧弊を断つ仕事ぶりが超人的である。それゆえ自分事として読み進めることはかなり困難。しかし本書は、金融や経済施策のみに限定されることなく、人間観察や大衆心理についても学びとることの多い一冊だと感じる。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

ルワンダの発展の歴史に関心があり読んだ。
金融には疎いので具体的な金融政策の説明などは難しく感じたが、一人の日本人がルワンダ中央銀行の総裁としてルワンダの発展のため異文化の中で奮闘する光景が浮かんできた。
何よりも『人』が大切であるという筆者の想いを強く感じた。

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2025年01月01日

Posted by ブクログ

この小説をなろう系小説だと評価することは言いえて妙ですね。
確かに、敏腕主人公があれこれ揉まれて、愚痴をまき散らしながらも大仕事をやってのける姿は、現代で働いている私たちを勇気づけるものとなっています。
結局この主人公は銀行の総裁という役割を超えて、産業の勃興や貿易の活性化なども成し遂げてしまっているのですから、そりゃ最強系主人公と言いたくなるのも分かります(笑)

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2024年09月06日

Posted by ブクログ

どこで話題になっていたんだったか、異世界転生モノみたいで面白いと評判だったので読んでみた。
50年以上前のできごと。
「たれ」=誰という表記に時代を感じる。

ルワンダといえば1994年の大虐殺の印象がどうしても強いけど、当時の報道に対する筆者の考えも後年増補されており読み応え抜群。
終始淡々とした筆致なのに、最終章「ルワンダを去る」の締めくくりは感動的。最終ページに名言が詰まっておる…

服部氏の胆力、どこかで見覚えが…と思ったら去年読んだ(もう一年経ってた)尾身先生の「WHOをゆく」とどこか通じるものがあるなぁと。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

先日初めて喜多川泰さんの講演会に行きました。
講演の中で必読の一冊と紹介があったので読みました。

日本は今、太平洋戦争以来の国家危機を迎えているのだと思います。
2度も国の存続が不可能と思われたところから立ち直り、発展を遂げてきた私たちの国の未来はどうなるのでしょうか。

喜多川さんはとても良い国の良い時代に生まれてきたと思うこと、伝えることの大切さを語っていました。
私には何ができるのだろう。


Although the barrier to preventing from country’s development is people, the main reason for development is people too.

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2023年10月13日

Posted by ブクログ

1965年、日本銀行員の服部(著者)は、46歳でルワンダの中央銀行総裁に突然任命される。ルワンダは遅れているアフリカ諸国のなかでも特に遅れていて、3年前にベルギーからの独立が正式に認められたばかりだ。主要産品はコーヒー(先日この本を片手に飲んでみたがとても美味しかった)だが、海から離れているため輸出入に1,800kmの陸上輸送が必要であり、この点も発展の足かせになっていた。

ルワンダの首都キガリに飛行機で降り立つとそこに空港ビルはなく、代わりに電話ボックスのような小屋が2つあった。それが検疫と入国管理の事務所だった。キガリの街は驚くほど静かでどこの家も小さく、ホテルは1軒しかない。中央銀行もめちゃくちゃで、財政赤字が続いて外貨も底をつき、これからコーヒーの収穫期で現金が要るというのに、中央銀行の金庫に自国通貨はほとんどなかった。前総裁は銀行家ではなく、スタッフが進言しても不要と判断されてそのままになっていたらしい。
前年の理事会の議事録読むと、金融政策の議論はされておらず、理事会と総裁はどちらが上かというくだらない議論ばかりされて、蔵相からいい加減に仕事しろと怒られる有様。副総裁は銀行のことを知らないし、職場を見てもおしゃべりしている人に居眠りしている人、どこかへ行ってしまった人と散々な状態で、帳簿もミスだらけ。いったい、どこから手をつけたものか。

通貨制度の問題として、二重為替相場制度があった。政府の取引、輸出、必需物資、外国人俸給送金など承認された取引には1ドル=50ルワンダフランの政府相場、その他の取引には1ドル=約100ルワンダフランの自由相場が適用される。これを使って外国人労働者や輸入業者が儲けることができた。給料のうち100ルワンダフランを政府相場で送金すれば2ドルになるが、それを自由相場で戻せば200ルワンダフランになる。輸入業者も本来1ドルの商品価格を2ドルと偽って輸入すれば、100ルワンダフランで政府相場で支払って、余った1ドルを自由相場で戻せばタダで輸入できる。そんなの、めちゃくちゃだよ。

大統領に通貨制度の改革を進言するのだが、通貨制度の改革は、財政改革とセットでなければ結局うまくいかない。それならば、ということで、服部は経済再建計画の答申作成も任されることとなった。しかも外国や他の大臣などに邪魔されないように、これは1人で極秘でやるようにとのことだった。こうして、中央銀行総裁の仕事にとどまらず、人口300万人の一国の再建を任されてしまう。

さまざまな困難に直面するが、相互理解を深めながら少しずつ仲間を増やし、国を再生していく。本書は初版が1972年であるにも関わらず、近年「異世界転生モノの現実版」としてSNSでも話題になったそうだが、それも頷ける内容だ。




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2023年07月29日

Posted by ブクログ

新書で教養を深めたい、政治や経済について知識が欲しいなと思ったときに、書店で見かけて手に取った。「日記」とあるので著者の私生活や感情の動きも書かれてると、普通の経済の本より読みやすいのでは…と期待して買ってみた。期待通り、面白く読めた。通貨の理屈や国際機関の色々は完全に理解できたわけではないけど、服部さんの熱意と信念でルワンダの経済再建を進めて行く様子は読んでいて爽快だった

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2023年06月23日

Posted by ブクログ

行きつけの店で買ったルワンダのコーヒー豆の味に感動していた時期に書店でルワンダという題に目にとまり読んでみました。貧困や独立、内戦といったうっすらとしたワードの知識しかなかったので50年以上前にルワンダにわたり経済発展を牽引した日本人がいたことに驚きました。金融や為替など普段馴染みのないジャンルなので読むのに時間がかかりましたが著者が不屈の精神でルワンダの再建そして発展に導く姿勢にひきこまれました。

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2023年03月18日

Posted by ブクログ

テーマは堅いのかな思っていたが、どちらかというと難問に立ち向かう冒険ストーリーのよう。わくわくしながら読める。

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2023年02月21日

Posted by ブクログ

国をめぐる経済再生ノンフィクション。

「ホテル・ルワンダ」で知ったルワンダの前史。
こんな日本人がいたのだな。実力ある清廉さ。

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2022年12月20日

Posted by ブクログ

日銀で20年勤めた銀行マンが、国際通貨基金の頼みでルワンダの中央銀行総裁になり、国の経済を立て直すノンフィクション

ノンフィクションにもかかわらず、異世界ものの内政チート俺TUEEE小説に思えてくる不思議
大統領との会話とか、特にそう感じる


IMFからはルワンダの通貨の安定化を指示されていたが、赴任してみると通貨の安定どころか、国家財政の赤字、コーヒーに依存した外貨獲得構造の崩壊、そもそも国に物がない、外国人が優遇されすぎていて国民には重税等々、本来の仕事よりも手を付けなければいけない事が満載

世界的にコーヒーが過剰供給されている中で、産業の中心はコーヒーが主流だが原産続き
内陸国のために輸出には輸送費がかかり、他地域よりも不利という状況

通貨の平価切下げに関して、関係者は自分の利益の事のみ考え、本質的な問題に関しては一切知識がない
二重為替相場制度という宗主国から押し付けられたような歪な制度の是正が必要だが、平価切下げだけで全てうまくいくようなものではない
国内の経済の安定のため、自らの職権をフルに活用して取り組む服部さんの自叙伝



平価切下げの何たるかがわからない大統領
外国人顧問からのアドバイスを聞いても、切り下げが本当にルワンダのためになるか分からない

「それは顧問が間違っています。達成すべき目的、つまり政治は、門番を屋根にのせることです。この方法が技術で、梯子で上がるか、飛び上がるか、ヘリコプターで上げるか、木に登って飛びうつるかは技術なのです。屋根に飛び上がれというのはすでに命令者が不可能な技術をとることを指定していることになるのです」

「通貨は空気みたいなものです。それがなくては人間は生きていられません。空気がよごれておれば人間は衰弱します。しかし空気をきれいにしても、人間の健康が回復するとはかぎりません。空気は人間に必要なものであっても、栄養ではなく、人間が生きるためにはさらに食物をとり水を飲むことが必要なのです。通貨改革をすることは空気をきれいにすることです。財政を均衡させることは生きていくに足る栄養をとることです。しかし健康を回復するためには、栄養の内容が重要になってきます。経済でいえば財政の均衡の内容とその基礎になっている経済条件が、国民の発展に合うようになっていなければならないのです」


経済に明るくない大統領へのわかりやすい説明に、同じく経済について知らない私も納得

まぁ、そんな事で信頼を得たがゆえに、大統領からは「全面的に信頼するし実行するのは自分なので、経済再建計画の立案は任せた」(意訳)と丸投げされるんですけどね
そして後には政治家達も「日本人が作ったから」という理由で納得して帰っていくというね

外国人に話を聞けば、有能な外国人が無能で怠惰なルワンダ人を導いてやっているという感覚
そして、給与で得た資金を二重相場を利用して増やして本国に送金しするというのがまかり通っている

そんな中、服部さんはルワンダの人と直接話をして実態を掴み始める
実際のところ、外国人たちは既存の制度に乗っかってバックにある資本で儲けていて
ルワンダ人も実は合理的な判断力を持っている
しかし、現在の安定しない経済事情がルワンダ人の自給的生活を余儀なくされているだけである事を認識する


ルワンダの恒久的発展には、ルワンダ人の手によるものでなければならないという信念


ルワンダ人商人に対する評価のズレも同様
ルワンダ人には商売はできないと言う外国人達の方が先が見えてなかったというエピソードもよい

インド人商人によるトラフィプロ(スイスの生協のようなもの)との値下げ競争は正になろうでありそうな展開だと思う

商業銀行、市中銀行との交渉も実になろうっぽい
何故、現在こうなっているのか?よりも、今後どうするのか?を重視することで、過去の事は追求しないので今後は協力しろという言葉が見え隠れ
何ならこっちでやってもいいんだぜとハッタリを効かせるあたりもね


服部さんの成果の一部
・二重為替相場制度の廃止
・平価切り下げ
・外国人優遇税制の是正
・市中銀行の誘致
・物価統制の廃止
・輸出用倉庫の建設
・必要な物資のための流通ルールの整備
・ルワンダ人商人の育成
・バス会社の設立援助

中には「はたして中銀行の総裁がすべき仕事なのか?」と疑問に思う事もあるけれども
国内の経済の安定化のためには必要な事だし、その影響力も説明されれば納得できる

困難な状況で、自分の任務をどう果たすかという使命を果たした人なんでしょうね

なので、正論だけではなく清濁併せ呑む側面もある
理論値や理想論を前提とするだけでなく、目的のためには目をつぶったり情報を公表しない必要性もあるのも理解できる


途上国の発展が遅い理由をこう分析している
富を持ったものが富の再生産ではなく消費に使うのと、既得権者による競争の阻害が最大の要因
国内で生産された富は外国人の手によって国外に流出する
昔の日本は貧乏な家の子でも勉強して一流大学に入学でき、一流の大学ほど学費が安い

現代社会において、明確な身分はないけれども、富めるものは次代も富みやすい構造になっているなぁと思い返す

「努力すれば幸福を手に入られれるようにする」ことが政治の正しい役割
現代の日本でも同じことが言えるはずなんですけどね

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2022年10月14日

Posted by ブクログ

すごい!自分自身は国際経済、開発経済学の知識は無いし、そもそもあまり興味がない分野だし、海外での業務経験も無いにも関わらず、著者の凄さは圧倒的に感じたし、様々な人がいる組織の中でお互いを理解し、働くという点では多くの学びがあった。

著者のすごいところは、もちろん元々の知識量の多さもあるのだろうが、それよりも、知識を机上の空論にせず、ルワンダ人と会話を重ねながら、外国人技術者達が作り上げた不平等かつ複雑怪奇なルールを撤廃し、ルワンダの現状に合ったルールをゼロベースで作り上げていく点にある。膨大な知識がベースにあっての、持続可能なシンプルなアウトプットというのが最強なんだと思う。
トラックの値決めや車種の選択一つ取っても、実際にルワンダ商人と会話し、彼らの行動や行動原理を理解しないことには、持続可能なルールづくりはできなかっただろう。それは、今までルワンダで、誰もできていなかったことだった。
また、彼の毅然とした態度も格好いい。ルワンダ大統領にも、ルワンダ商業銀行のバックにいる欧米のトップ銀行のお偉方相手にも、外国人技術者にも、インド人商人にも、ルワンダ商人にも、ルワンダ農民にも、「ルワンダ人によるルワンダの持続的な発展にとってプラスとなることをすべきである」という強い信念を持ち、同じスタンスで接し、辛抱強く説明し、理解してもらい、信頼を得る。ただ優しく接して「仲良しになる」のはもっと簡単だろうが、見知らぬ環境の中で、自分の信念を貫き、結果を出し、現地の人々から信頼を得ることはとんでもなく偉大なことだと思う。
また、初期の段階からかなり著者に権限が集中しており、割と独断的に行った政策も多い中で、その結果に対する責任は重い。使命感の強い著者だから尚更、一人で背負うプレッシャーはものすごいものだったと思う。それでも、外国人技術者らに頼り切り、ルワンダ人自身すら信じていなかったルワンダ人大衆の潜在的な力を信じ、強い信念と自信を持ち続け、改革を実現できたのは、著者の将としての器の大きさだろう。
本の結びには、著者が信じる「戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さである」という言葉が載せられている。
こんな日本人が、戦後間もない中で存在し、遠い異国の発展を主導したということが、同じ日本人として嬉しく誇らしく感じた。

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2022年09月10日

Posted by ブクログ

・タイトルが勝ちすぎてる
・こんなんめっちゃ面白そうじゃん
・でも読んだら普通に難しくて半分くらいしか理解できなかった
・新書だったら金融について疎い人でも理解しやすいような解説とか乗ってるのかと思いきや、そんなことはなかった
・特に平価切下げあたりがなんのこっちゃわからんくなった
・服部さんの主義思考、なぜそのような選択をしたかについてはちゃんと書いてあるので理解できれば面白そう
・自分にはまだレベルが足りなかった
・でも急に独立直後で体制もままならない中央銀行で孤軍奮闘する服部さんの勤勉さや誠実さは凄い伝わってきたし尊敬する
・読んでいると机に向かって施策立案や電卓を叩くだけでなく、積極的にルワンダの人と交流してその文化や考え方を理解するという対人能力もある
・もう少し金融について理解を深められたらまた読み返したい

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2025年07月30日

Posted by ブクログ

日本銀行員の服部さんがIMFからの依頼でルワンダの中央銀行総裁になり、奮闘する話です。

単に中央銀行内の話にとどまらず、ルワンダ社会の発展のために様々な制度を整備します。

整備するにあたり不平、不満を言い、策謀を巡らす勢力(既得権益層)が出てきますが、根回しや制度や法律を利用し、打ちまかしどんどん進めていきます。

面白い反面、ビジョンを持ち、論理立てて周囲を納得させながら進めていく様と自分の仕事ぶりを比較して、胃がキリキリする感じがする人もいるかも。
心に余裕がある時に読んだ方がいいと思います。

読む中で感じた大事な考え方は下記の通り。
①人は利害で物事を言うのだから、
 何かをやる時は伝聞に頼るのではなく、
 直接その対象を見にいくべき。
②最終的なゴールを見据えて物事をやるべき。自分の職務はここまで、これはできないと区切るのではなく、ゴールを達成するために何をすべきか考える
③偏見や差別的な言論は無視して、
 目の前の現象から論理立てて考える。
 
当たり前のようでいてできてない人も多いと思います。私も上の3つは意識していこうと思いました。

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2024年09月23日

Posted by ブクログ

日銀のやり手銀行マンが、ある日突然ルワンダ中央銀行総裁に任命され、赴任地で大無双するというノンフィクション。ルワンダの大統領からは、金融政策のみならず国民経済全体の再建を託される。服部さんが一人でとにかく動き回り、日本銀行で培った知識をもとに破綻寸前の経済を立て直していく様子が読んでいて爽快。経済の専門知識を持たない自分でも楽しめた。

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2024年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本のここがお気に入り

「私は、過去は将来への準備以外には意味はなく、過去を語るようになったら、それは将来への意欲を失った時だ、と考えている。そして自分のした仕事について書くことは、自分の進歩の墓標を書くような気がするのである」

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2024年06月08日

Posted by ブクログ

敗戦の記憶がまだ新しかったと思われる1968年にIMFからの要請によって、当時独立して間もないルワンダ中央銀行の総裁として赴任した日本人の著者による記録。著者自身も日銀職員であり、金融政策や実務についてはかなりの知見があることは書中にたくさん書かれている問題とそれに対する対応策に関する考察で読み取れる。

本書を手に取ったきっかけは、いわゆる発展途上国とのビジネスにおいて常に悩まされる、現地人の責任意識の低さや、スピードの遅さなどについて、何かヒントはないかと思ったことである。

ルワンダは、独立前には隣国のブルンジと併せてベルギーの植民地であったため、ベルギーとの貿易が多く、かつそれに伴うベルギー企業やそれを支援するベルギーの民間銀行によるルワンダ経済への影響力が極めて大きかった。それを著者は赴任して目の当たりにする。ルワンダの政治・経済における問題の多くはこれに起因するものが多く、実質的に同国の運営はベルギーからきているアドバイザー達によって行われていたということである。更に問題だったのは、ルワンダ人の政治家や役人達の経済製作や実務に対する知識が乏しく、更には意欲と責任感を欠いてる中、ベルギー人達の言いなりになっていたという事だった。

結局、こうしたアフリカ諸国が現在に至っても先進国や国連からの援助に依存しているという構図は変わっておらず、そもそもだからこそ植民地として搾取された歴史を持っているとも言える。

著者はそのような状況の中、ルワンダ中央銀行と、それにとどまらずルワンダ経済の改革を行う事となるのである。結果的に改革は成功する事になるが、その最大の理由は著者が私利私欲や出身国の日本の利害を一切排除しルワンダのため、ルワンダ国民のための政策を実行した事によるものである。植民地の宗主国体質が抜けないベルギーの企業や銀行では到底出来ない事であり、日本人だからこそ出来たのではないかと思える。

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2023年11月16日

Posted by ブクログ

現代のサラリーマンとして、年収上げたいとかFireとかでは赴任する意志はないであろう。使命を感じて仕事をするって素晴らしくて憧れた印象です。ただ、やはり事務が全然馴染みがないので仕事の大変さが共感できず。

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2022年11月20日

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