【感想・ネタバレ】ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版]のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

非常に面白かった。立派な人がいたんだなぁ、と思う。人を、現場を、大切にする人。大統領との対話で作られた信頼関係があってルワンダのため、ルワンダ人のための仕事をしているのは最高のモチベーションになっていると思う。仕事というのはかくあるべし、と思う。

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Posted by ブクログ 2024年01月29日

服部氏の日銀総裁や世界銀行での経験からすれば端から可能なことだったかもしれないが、アフリカ内陸にあり経済的条件も良くない土地で、通貨改革や中央銀行、金融の組織化をやりきった姿を、仕事人として尊敬する。

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Posted by ブクログ 2023年10月29日

子どもが面白いから絶対読んだ方がいいと薦めてくれて読みました。めちゃくちゃ面白かった。

Noblesse obligeとしか言いようがない。
こんなにすごい日本人がいたなんて感動しました。

そしてもっと経済について勉強しないと、とも思いました。

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Posted by ブクログ 2023年08月19日

めちゃくちゃ面白かった。

中央銀行総裁の立場ではあるが、コンサルのような印象を受けた。
国を相手にしてさまざまな領域からアプローチできるのは非常に魅力的な仕事だったろうと思う。

他方で、現代社会の日本と照らし合わせると、当時のルワンダのように明確で規模の大きい課題が少ないのは当然のことということ...続きを読むも理解しておきたい。

とにかく読んでいて、現在の仕組みを理解した上で、仕組みの外側から解決策を持ってくることに非常に長けていると感じた。

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Posted by ブクログ 2023年02月28日

ルワンダの中央銀行総裁として着任した服部総裁の記録。財政や国際収支の赤字や未熟な組織、物理的条件の不利など困難を極める中でルワンダ国民のために経済改革を行った。 人間としてとてもかっこいい。

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Posted by ブクログ 2022年08月21日

平積みになり、まさにリバイバルという形で、手に取ってみたら、やはりなかなかよかった。6年間で行った数々の規格が、今も生きているということだろう。人ができることは、大きく一国を変えていくこともあるということがわかる。良い仕事には愛情が伴うものだと思う。

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Posted by ブクログ 2022年08月15日

約50年も前のお仕事について書かれた本ではあるが、情報あふれるこの時代に示唆的な内容であると感じた。

著者の方は、日本中央銀行で約20年、その後も国際的金融機関で輝かしいキャリアを積まれた方だが、人から聞いた話を鵜呑みにせず、ヨレヨレのランニングシャツを着たようなアフリカ小国の名もなき一般人とも直...続きを読む接お話をされる方であったようだ。ご本人の卓越した経験、スキルの力もあるだろうが、結果的に今まで誰もなし得なかった一国の経済を立て直す大仕事を成功されている。

翻って今日の日本、自分が触れている情報は信用に足るものだろうか。人から聞いた、教えてもらった情報や考え方を鵜呑みにしてはいないだろうか。そっと我が身を振り返った。

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Posted by ブクログ 2022年08月15日

ルワンダ経済再建の舞台裏を垣間見る事ができる貴重な本です
経済の成長も阻害も人次第、そういう人材を育成する大切さを再確認させられました

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Posted by ブクログ 2022年06月26日

自分の頭で考え行動するというビジネスの基本動作(仮説検証)を確実にやっている。言うは易しでなかなか出来ないことだが、それを1965年のルワンダという想像だにできない環境下で実施していることに頭が下がる。
「毎日なにかを学び、学んだことを実施に移す生活、反射的な行動は許されず、たれも相談する相手もなく...続きを読む、一人だけで考え、行動する生活。」これが1965年のルワンダ中央銀行で総裁のポジションに就いた人の思考かと思うと身震いする思いだが、自分の日々の仕事にも、ほんの少しでもこの思考を持ち込んでみたい。

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Posted by ブクログ 2022年05月19日

自分自身で情報を掴みに行って、事実を確認する。
理論値にこだわらない。現状からのなだらかな移行を考慮することも忘れてはいけない。
経済のテクニカルな部分ははっきり理解できないところが多い。
ただ、おおまかでも、何のためにどんなことをやろうとしているのか、それが理解できれば読み進めることができる。

...続きを読む当時、1965年当時、宗主国ベルギーから独立したばかりのルワンダの財政は混乱していた。国際通貨基金からルワンダの中央銀行総裁をやってくれと依頼される。
服部氏は日銀に長く勤め、パリにも3年ほどいて各地在留経験がある、語学堪能。

中央銀行総裁といっても、日本銀行のそれとは違い見なければならないところ、改善しなければならないところが多い。
通貨為替が二重になっていた。自由相場と固定相場の2つがあったのを固定相場1本にする。この通貨改革はいつやるのか、相場はいくらで実行するのか。


税制を見直す。関税やら人頭税やら。
貿易もルワンダの発展が進むようにしなければならない。主な農産業はコーヒー。
錫の掘削も主な輸出品だが、これは技術的に外国資本の力が必要。そこは融通をきかせる。
国際通貨基金以外にも外国各国に資金援助を頼まないといけない。真摯に助力を請わねばならない。
国内の市場の活性化も必要だ。市場銀行は1つでいいのか。金利はどうするのか。国債の発行はどうするのか。
国内の商売で不当な利益を得ている外国人、それにも対処しなければならない。外国人だけが得られる優遇を廃止する。そして、ルワンダ人がもっと商売できるようにしなければならない。
国内の公共交通インフラ、バスももっと走らせた方がいい。

とにかく、やることがたくさんで、実行した詳細はいろんなサイトで見られるでそこを見れば良い。
服部氏は自分で現場を見ることを重視し、それをもとに自分自身で判断した。
そして、理論から改善策を出すが、盲目的にはそれを実効しなかった。どこかで現場の人達が・現状がそれになじむように融通を利かせることを忘れなかった。
無理に外国資本をいきなり全部排斥することはできないのだ。
結局、公平な制度にすれば、特権待遇に甘んじた高慢怠惰な外国人を退席し、懸命な人々がそれにとって代わる。その健全な競争はルワンダ人にチャンスを与えることになる。

ルワンダの人達をバカにする、他の外国人とは一線を画し、実際のルワンダ人がどのような人達なのか、常に対等につきあった。これは服部氏が帰国する際に外国人が語った「服部氏は、ノーと言ってもルワンダ人と友人になれることを外国人に教えてくれた」という言葉にもある。これは媚びず蔑まずということだろう。

なんでも独立させればいいという考えはよく聞かれるが、
なんでも早く独立させればいいというわけではないのではないか、ともある。
独立というと聞こえはいいが、独立前は宗主国の責任下にある。
未成熟なままの独立では、結局宗主国をはじめ外国人にカモられる。しかし、独立しているので責任は対応出来ない独立国そのものにある。こういうことを言いたいのだろうか。


服部氏は海軍の情報部出身で、阿川弘之氏の上官だったという。
あらためて軍部情報部のインテリジェンスのすごさを思い知った。

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Posted by ブクログ 2022年05月08日

読み終わって、他の方の感想で知ったのですが、この本は金融というお堅い業界のノンフィクションなのに、一部で「異世界転生モノ」として評判になってたんですね。
ははは。分かる!
私も読みながら、「これは…完全にRPG!」と思っていたので、みんな考えることは同じなんだな、と笑った。

1965年、ルワンダの...続きを読む中央銀行総裁に就任した日銀マン・服部さんは、今となっては懐かしい瓶底めがねとコテコテの日の丸マインドを装備して、持ち前の知恵と勇気とちょっとした狡猾さを武器に、あちこちにひそむモンスターを退治しながら着々と仲間を増やしていく。
時に大小のボスキャラに遭遇するも、見事な弁舌で一網打尽にし、異世界ルワンダの政財界を鮮やかにクエストする姿はまさに勇者。

本屋でタイトルを見て、ルワンダ中央銀行の総裁を日本人が就任、という珍しいシチュエーションに飛びついた私ですが、読み始めてそれが1965年の話と知って、「そんな古い昔語りを今読む意味あるのかな」と一瞬不安に思った。
でも、最初の1ページからもう、とんでもなくおもしろくて、そんなことどうでもよくなった。

語られる話は、すべてがまるで奇跡のようだと思った。
まず、登場するルワンダの政府要人たちが非常に清廉で純粋なことに驚く。国を建て直したい、ルワンダ国民を幸せにしたい、というシンプルだけど切実な思いを共有している。
しかも勉強熱心で、若くて意欲的。
そんな政権、アフリカでは、いや、世界でも奇跡だと思った。
彼らの方も素早く服部さんの人柄を見抜き、信頼を寄せる。

そして、ルワンダ国民の勤勉さ。
当時のルワンダは再建の見込みなし、とまで当時言われていたらしいが、ふとしたところに勤勉な国民性が垣間見えることを鋭く見抜いた服部さんは、それを頼みにして再建計画を立て、なんとその期待どおりに彼らは変化を遂げていく。これもまさに奇跡。

服部さんの本質を見るまなざしもまた、奇跡のひとつ。
日本の銀行の「お偉いさん像」とは一味違う。必要とあらば、倉庫の整備やバスの輸入まで手掛けてしまう。どう考えても中央銀行の総裁の仕事としては異例ずくめだと、素人の私でも思う。
量的緩和とか質的どーたらとかの中央銀行の一般的な業務の効果などは私は全然理解できないけれども、倉庫の整備もバス会社の立て直しも当時のルワンダ国民にとってはインパクト大の、非常に重要かつ経済効果大なものだということは簡単に想像できる。おそらくきっと服部さんじゃなければ、そこまでは手をつけられていなかったのではないかと思う。

こうして、服部さんが来たことで、さまざまな問題が取り除かれ調整された結果、政治と政策と日々の活動は美しく調和し、それが確実に結果を出し始める。
ご本人による記述なので、もちろん割り引いて読まないといけない部分はあるだろうけれども、役割を終えて日本に帰るまでの展開は、終始夢のようだった。
読んでいてとても幸せな気持ちになった。
国づくりの、ひとつの理想の形だなぁと思った。

そして・・・増補版じゃなかったら、ここで終わっていて、夢物語のままだったんだけれど・・・

巻末に、ルワンダでその後起こったことが付記されていて、それを読んで、私の夢見心地は、ぷっしゅー ・・・と音を立ててしぼんでいったのであった。
これぞノンフィクションの醍醐味?

民族間の凄惨な殺戮の件をおいておいても、あの清廉だったカイバンダ政権も、最後の方はぐだぐだだったんですね。残念。
やっぱり人間の営みってそうなっちゃうのかなぁ、と悲しい。
(大統領ご自身は最後まで清廉だった、夫人の親戚がいけなかった、と服部さんが必死でかばっているあたり、ちょっと泣けた。信じたくないよね、やっぱり)

本筋とはそれるけれども、ルワンダ商業銀行緊急取締役会での、多国籍メンバー間の調整の描写(会話)は非常に興味深かった。
こういうのをのぞき見る機会というのは下々の者にはなかなかないから、大変におもしろい。
世界は割と国の損得だけで動かされているように見えるときがあるけれども、やっぱり各国の代表の調整力というか、カリスマ性というか、人となりというか、政治指向というか、そういうものってすごく重要なんだなぁと思った。
補足1で、服部さんがルワンダ内乱時の各国の対応についても激しい論調で評価していたが(この時はフランスの動きを非常に高く評価)、そういうのもニュースをぼんやり見ているだけの私にはまったく見えない部分なので、非常に興味深かった。

この本はルワンダ語に翻訳されているのだろうか。そこがとても気になった。
日本人よりも、ルワンダの人が読むべきと思う。
もう今とは経済の在り方も全然違うので、方策などは全然参考にはならないだろうけど、服部さんが貫いていたマインドみたいなものは今も非常に重要で、どんなバックグラウンドの人にも通用するものな気がする。

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Posted by ブクログ 2023年10月23日

ぃやー!
事実は小説よりも奇なり とは、よく言ったものですね!
って感じ!!
ぃやー、ノンフィクションなのに。血肉湧き踊りました。
1国を一人で(もちろん、協力者はいろいろいるので、ほんとうに一人、と言うのは語弊があるけれども)がっつり再建する、そんなドラマにあふれた1冊。
すげーっす。
この時代、...続きを読む手紙ですべてやり取りする時代ですよ?
そこでいきなり、ルワンダに単身渡り、一国の再建のために自身の人生をささげた彼の意気がすごい。
この時代の、ルワンダの何もなさも、すごい。

専門家の真髄を見た、って感じ。
彼ほど、良く知っていれば、本当に役にも立つよね。尊敬もされるよね。

当時の人は、政府のオーナーシップとか特段気にすることなく、もはやこの服部氏自体が中央銀行総裁だったことは、さすがに時代背景なんだろうけど、でも、すごいなぁ。。

すごい、小説読んでる気分になりました。
城戸さんとか思い出しつつ。笑 男子の本懐?笑

ちなみに、精神論は、今も全く変わっていないと思うし、今も昔も当てはまること、いっぱいあったと思う。

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Posted by ブクログ 2023年10月13日

先日初めて喜多川泰さんの講演会に行きました。
講演の中で必読の一冊と紹介があったので読みました。

日本は今、太平洋戦争以来の国家危機を迎えているのだと思います。
2度も国の存続が不可能と思われたところから立ち直り、発展を遂げてきた私たちの国の未来はどうなるのでしょうか。

喜多川さんはとても良い国...続きを読むの良い時代に生まれてきたと思うこと、伝えることの大切さを語っていました。
私には何ができるのだろう。


Although the barrier to preventing from country’s development is people, the main reason for development is people too.

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Posted by ブクログ 2023年07月29日

1965年、日本銀行員の服部(著者)は、46歳でルワンダの中央銀行総裁に突然任命される。ルワンダは遅れているアフリカ諸国のなかでも特に遅れていて、3年前にベルギーからの独立が正式に認められたばかりだ。主要産品はコーヒー(先日この本を片手に飲んでみたがとても美味しかった)だが、海から離れているため輸出...続きを読む入に1,800kmの陸上輸送が必要であり、この点も発展の足かせになっていた。

ルワンダの首都キガリに飛行機で降り立つとそこに空港ビルはなく、代わりに電話ボックスのような小屋が2つあった。それが検疫と入国管理の事務所だった。キガリの街は驚くほど静かでどこの家も小さく、ホテルは1軒しかない。中央銀行もめちゃくちゃで、財政赤字が続いて外貨も底をつき、これからコーヒーの収穫期で現金が要るというのに、中央銀行の金庫に自国通貨はほとんどなかった。前総裁は銀行家ではなく、スタッフが進言しても不要と判断されてそのままになっていたらしい。
前年の理事会の議事録読むと、金融政策の議論はされておらず、理事会と総裁はどちらが上かというくだらない議論ばかりされて、蔵相からいい加減に仕事しろと怒られる有様。副総裁は銀行のことを知らないし、職場を見てもおしゃべりしている人に居眠りしている人、どこかへ行ってしまった人と散々な状態で、帳簿もミスだらけ。いったい、どこから手をつけたものか。

通貨制度の問題として、二重為替相場制度があった。政府の取引、輸出、必需物資、外国人俸給送金など承認された取引には1ドル=50ルワンダフランの政府相場、その他の取引には1ドル=約100ルワンダフランの自由相場が適用される。これを使って外国人労働者や輸入業者が儲けることができた。給料のうち100ルワンダフランを政府相場で送金すれば2ドルになるが、それを自由相場で戻せば200ルワンダフランになる。輸入業者も本来1ドルの商品価格を2ドルと偽って輸入すれば、100ルワンダフランで政府相場で支払って、余った1ドルを自由相場で戻せばタダで輸入できる。そんなの、めちゃくちゃだよ。

大統領に通貨制度の改革を進言するのだが、通貨制度の改革は、財政改革とセットでなければ結局うまくいかない。それならば、ということで、服部は経済再建計画の答申作成も任されることとなった。しかも外国や他の大臣などに邪魔されないように、これは1人で極秘でやるようにとのことだった。こうして、中央銀行総裁の仕事にとどまらず、人口300万人の一国の再建を任されてしまう。

さまざまな困難に直面するが、相互理解を深めながら少しずつ仲間を増やし、国を再生していく。本書は初版が1972年であるにも関わらず、近年「異世界転生モノの現実版」としてSNSでも話題になったそうだが、それも頷ける内容だ。




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Posted by ブクログ 2023年06月23日

新書で教養を深めたい、政治や経済について知識が欲しいなと思ったときに、書店で見かけて手に取った。「日記」とあるので著者の私生活や感情の動きも書かれてると、普通の経済の本より読みやすいのでは…と期待して買ってみた。期待通り、面白く読めた。通貨の理屈や国際機関の色々は完全に理解できたわけではないけど、服...続きを読む部さんの熱意と信念でルワンダの経済再建を進めて行く様子は読んでいて爽快だった

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Posted by ブクログ 2023年03月18日

行きつけの店で買ったルワンダのコーヒー豆の味に感動していた時期に書店でルワンダという題に目にとまり読んでみました。貧困や独立、内戦といったうっすらとしたワードの知識しかなかったので50年以上前にルワンダにわたり経済発展を牽引した日本人がいたことに驚きました。金融や為替など普段馴染みのないジャンルなの...続きを読むで読むのに時間がかかりましたが著者が不屈の精神でルワンダの再建そして発展に導く姿勢にひきこまれました。

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Posted by ブクログ 2023年02月21日

テーマは堅いのかな思っていたが、どちらかというと難問に立ち向かう冒険ストーリーのよう。わくわくしながら読める。

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Posted by ブクログ 2022年12月20日

国をめぐる経済再生ノンフィクション。

「ホテル・ルワンダ」で知ったルワンダの前史。
こんな日本人がいたのだな。実力ある清廉さ。

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Posted by ブクログ 2022年10月14日

日銀で20年勤めた銀行マンが、国際通貨基金の頼みでルワンダの中央銀行総裁になり、国の経済を立て直すノンフィクション

ノンフィクションにもかかわらず、異世界ものの内政チート俺TUEEE小説に思えてくる不思議
大統領との会話とか、特にそう感じる


IMFからはルワンダの通貨の安定化を指示されていたが...続きを読む、赴任してみると通貨の安定どころか、国家財政の赤字、コーヒーに依存した外貨獲得構造の崩壊、そもそも国に物がない、外国人が優遇されすぎていて国民には重税等々、本来の仕事よりも手を付けなければいけない事が満載

世界的にコーヒーが過剰供給されている中で、産業の中心はコーヒーが主流だが原産続き
内陸国のために輸出には輸送費がかかり、他地域よりも不利という状況

通貨の平価切下げに関して、関係者は自分の利益の事のみ考え、本質的な問題に関しては一切知識がない
二重為替相場制度という宗主国から押し付けられたような歪な制度の是正が必要だが、平価切下げだけで全てうまくいくようなものではない
国内の経済の安定のため、自らの職権をフルに活用して取り組む服部さんの自叙伝



平価切下げの何たるかがわからない大統領
外国人顧問からのアドバイスを聞いても、切り下げが本当にルワンダのためになるか分からない

「それは顧問が間違っています。達成すべき目的、つまり政治は、門番を屋根にのせることです。この方法が技術で、梯子で上がるか、飛び上がるか、ヘリコプターで上げるか、木に登って飛びうつるかは技術なのです。屋根に飛び上がれというのはすでに命令者が不可能な技術をとることを指定していることになるのです」

「通貨は空気みたいなものです。それがなくては人間は生きていられません。空気がよごれておれば人間は衰弱します。しかし空気をきれいにしても、人間の健康が回復するとはかぎりません。空気は人間に必要なものであっても、栄養ではなく、人間が生きるためにはさらに食物をとり水を飲むことが必要なのです。通貨改革をすることは空気をきれいにすることです。財政を均衡させることは生きていくに足る栄養をとることです。しかし健康を回復するためには、栄養の内容が重要になってきます。経済でいえば財政の均衡の内容とその基礎になっている経済条件が、国民の発展に合うようになっていなければならないのです」


経済に明るくない大統領へのわかりやすい説明に、同じく経済について知らない私も納得

まぁ、そんな事で信頼を得たがゆえに、大統領からは「全面的に信頼するし実行するのは自分なので、経済再建計画の立案は任せた」(意訳)と丸投げされるんですけどね
そして後には政治家達も「日本人が作ったから」という理由で納得して帰っていくというね

外国人に話を聞けば、有能な外国人が無能で怠惰なルワンダ人を導いてやっているという感覚
そして、給与で得た資金を二重相場を利用して増やして本国に送金しするというのがまかり通っている

そんな中、服部さんはルワンダの人と直接話をして実態を掴み始める
実際のところ、外国人たちは既存の制度に乗っかってバックにある資本で儲けていて
ルワンダ人も実は合理的な判断力を持っている
しかし、現在の安定しない経済事情がルワンダ人の自給的生活を余儀なくされているだけである事を認識する


ルワンダの恒久的発展には、ルワンダ人の手によるものでなければならないという信念


ルワンダ人商人に対する評価のズレも同様
ルワンダ人には商売はできないと言う外国人達の方が先が見えてなかったというエピソードもよい

インド人商人によるトラフィプロ(スイスの生協のようなもの)との値下げ競争は正になろうでありそうな展開だと思う

商業銀行、市中銀行との交渉も実になろうっぽい
何故、現在こうなっているのか?よりも、今後どうするのか?を重視することで、過去の事は追求しないので今後は協力しろという言葉が見え隠れ
何ならこっちでやってもいいんだぜとハッタリを効かせるあたりもね


服部さんの成果の一部
・二重為替相場制度の廃止
・平価切り下げ
・外国人優遇税制の是正
・市中銀行の誘致
・物価統制の廃止
・輸出用倉庫の建設
・必要な物資のための流通ルールの整備
・ルワンダ人商人の育成
・バス会社の設立援助

中には「はたして中銀行の総裁がすべき仕事なのか?」と疑問に思う事もあるけれども
国内の経済の安定化のためには必要な事だし、その影響力も説明されれば納得できる

困難な状況で、自分の任務をどう果たすかという使命を果たした人なんでしょうね

なので、正論だけではなく清濁併せ呑む側面もある
理論値や理想論を前提とするだけでなく、目的のためには目をつぶったり情報を公表しない必要性もあるのも理解できる


途上国の発展が遅い理由をこう分析している
富を持ったものが富の再生産ではなく消費に使うのと、既得権者による競争の阻害が最大の要因
国内で生産された富は外国人の手によって国外に流出する
昔の日本は貧乏な家の子でも勉強して一流大学に入学でき、一流の大学ほど学費が安い

現代社会において、明確な身分はないけれども、富めるものは次代も富みやすい構造になっているなぁと思い返す

「努力すれば幸福を手に入られれるようにする」ことが政治の正しい役割
現代の日本でも同じことが言えるはずなんですけどね

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Posted by ブクログ 2022年09月10日

すごい!自分自身は国際経済、開発経済学の知識は無いし、そもそもあまり興味がない分野だし、海外での業務経験も無いにも関わらず、著者の凄さは圧倒的に感じたし、様々な人がいる組織の中でお互いを理解し、働くという点では多くの学びがあった。

著者のすごいところは、もちろん元々の知識量の多さもあるのだろうが、...続きを読むそれよりも、知識を机上の空論にせず、ルワンダ人と会話を重ねながら、外国人技術者達が作り上げた不平等かつ複雑怪奇なルールを撤廃し、ルワンダの現状に合ったルールをゼロベースで作り上げていく点にある。膨大な知識がベースにあっての、持続可能なシンプルなアウトプットというのが最強なんだと思う。
トラックの値決めや車種の選択一つ取っても、実際にルワンダ商人と会話し、彼らの行動や行動原理を理解しないことには、持続可能なルールづくりはできなかっただろう。それは、今までルワンダで、誰もできていなかったことだった。
また、彼の毅然とした態度も格好いい。ルワンダ大統領にも、ルワンダ商業銀行のバックにいる欧米のトップ銀行のお偉方相手にも、外国人技術者にも、インド人商人にも、ルワンダ商人にも、ルワンダ農民にも、「ルワンダ人によるルワンダの持続的な発展にとってプラスとなることをすべきである」という強い信念を持ち、同じスタンスで接し、辛抱強く説明し、理解してもらい、信頼を得る。ただ優しく接して「仲良しになる」のはもっと簡単だろうが、見知らぬ環境の中で、自分の信念を貫き、結果を出し、現地の人々から信頼を得ることはとんでもなく偉大なことだと思う。
また、初期の段階からかなり著者に権限が集中しており、割と独断的に行った政策も多い中で、その結果に対する責任は重い。使命感の強い著者だから尚更、一人で背負うプレッシャーはものすごいものだったと思う。それでも、外国人技術者らに頼り切り、ルワンダ人自身すら信じていなかったルワンダ人大衆の潜在的な力を信じ、強い信念と自信を持ち続け、改革を実現できたのは、著者の将としての器の大きさだろう。
本の結びには、著者が信じる「戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さである」という言葉が載せられている。
こんな日本人が、戦後間もない中で存在し、遠い異国の発展を主導したということが、同じ日本人として嬉しく誇らしく感じた。

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Posted by ブクログ 2022年07月12日

内容は難解だが、もの凄いことを成し遂げた話であることは良く分かる。
理論と実践が見事に噛み合い、アフリカの貧しい小国の近代化を、中央銀行総裁として日本から派遣された日銀マンが現地民の懐に飛び込んで様々な障害を乗り越え進めていく。何が凄いって、国の実状を把握し、経済学の諸理論を駆使して具体的な施策を立...続きを読む案し、これを実施して行くところ。その施策はこれまで当然にように国際機関や海外からの技術者や行ってきた物とは大きく異なり、現地ルワンダ人の能力を信じ、彼らの努力を引き出し、自らの力によって国内経済の基礎を築き、発展させてゆく。
日本人らしくもあり、日本人の底力を感じる。

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Posted by ブクログ 2022年05月21日

話題の本だったので。

この本に書かれていることは1964年から1971年であること。
隣国のコンゴでは、直近に内乱があり白人が暴徒化した黒人に凌辱、虐殺されていること。
インターネット、携帯電話はもちろんのこと、国際電話でさえままならない時代であること。
ルワンダはこの時独立したてで、アフリカで最...続きを読むも貧しく、国土も狭く産業も育っていない国であること。

そんなルワンダの中央銀行(日本で言えば日本銀行)に総裁として世界通貨基金の要請で派遣されることになった。

独立しても旧宗主国に搾取され続ける仕組み。
理解できないことがあっても人に聞くと「それがアフリカですから」ですまされることが多い中、服部氏はある意味「郷に入っては郷に従わなかった」人である。

将来の夢が「ユーチューバー」とか、「eスポーツプレイヤー」とかインドア系をめざす人、新しいことにチャレンジできない人には是非読んでほしい。

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Posted by ブクログ 2022年05月07日

ルワンダで中央銀行総裁となった服部氏がルワンダそのものを立て直していく自叙伝。中央銀行職員の仕事が世の中にどう繋がるのか勉強になった。またルワンダで起こる服部氏目線の諸問題は、今自分の住むインドネシアの役人から見ても同じ気持ちになるんだろうなと想像する。

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Posted by ブクログ 2022年03月23日

日銀マンの奮闘記。植民地残滓の経済(外国商人支配)を通貨改革と農業中心経済再建でルワンダ経済成長の先鞭をつけた。外貨不足と財政赤字に伴う平価切下げ&二重為替制度一本化の話は経済音痴には難しかった。マクロな統計分析とルワンダ現地の農民・商人・政治家との交流の2つを組み合わせてルワンダのグランド...続きを読むデザインを描いていたのは正直すごい。
通貨改革についてはルワンダに銀行が一行しかなかったことが逆にやりやすかったんだろうなと思った。
農業開発を通じて農民を貨幣市場に戻す試みは流通機構の整備や関税の調整で成功に終わった。紙数の多くを外国人商人と現地のいざこざが占めていて、先進国から見たアフリカ像が実はかなりバイアスがかかっているのではないかという疑念にかられた。地理学的なアプローチも含めて現地事情を把握した対策が大事だと思った。

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Posted by ブクログ 2023年11月16日

敗戦の記憶がまだ新しかったと思われる1968年にIMFからの要請によって、当時独立して間もないルワンダ中央銀行の総裁として赴任した日本人の著者による記録。著者自身も日銀職員であり、金融政策や実務についてはかなりの知見があることは書中にたくさん書かれている問題とそれに対する対応策に関する考察で読み取れ...続きを読むる。

本書を手に取ったきっかけは、いわゆる発展途上国とのビジネスにおいて常に悩まされる、現地人の責任意識の低さや、スピードの遅さなどについて、何かヒントはないかと思ったことである。

ルワンダは、独立前には隣国のブルンジと併せてベルギーの植民地であったため、ベルギーとの貿易が多く、かつそれに伴うベルギー企業やそれを支援するベルギーの民間銀行によるルワンダ経済への影響力が極めて大きかった事を著者は赴任した際に目の辺りにする。ルワンダの政治・経済における問題の多くはこれによるものが多く、実質的に同国の運営はベルギーからきているアドバイザー達によって行われていたということである。更に問題だったのは、ルワンダ人の政治家や役人達の経済製作や実務に対する知識が乏しく、更には意欲と責任感を欠いてる中、ベルギー人達の言いなりになっていたという事だった。

結局、こうしたアフリカ諸国が現在に至っても先進国や国連からの援助に依存しているという構図は変わっておらず、そもそもだからこそ植民地という立場に甘んじた歴史を持っているとも言える。

著者はそのような状況の中、ルワンダ中央銀行と、それにとどまらずルワンダ経済の改革を行う事となるのである。結果的に改革は成功する事になるが、その最大の理由は著者が私利私欲や出身国の日本の利害を一切排除し、ルワンダのため、ルワンダ国民のための政策を実行した事によるものである。植民地の宗主国体質が抜けないベルギーの企業や銀行では到底出来ない事であり、日本人だからこそ出来たのではないかとも言える。

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Posted by ブクログ 2022年11月20日

現代のサラリーマンとして、年収上げたいとかFireとかでは赴任する意志はないであろう。使命を感じて仕事をするって素晴らしくて憧れた印象です。ただ、やはり事務が全然馴染みがないので仕事の大変さが共感できず。

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Posted by ブクログ 2022年04月16日

ルワンダの中央銀行の総裁を日本人が担っていたという事を恥ずかしながらこの本ではじめて知った。お雇い外国人としての役割以上に、ルワンダ国民の事を思い、真摯を経済再建計画に携る姿が記録されており、正直理解が追いついていない部もあるが、興味深く読み進める事ができた。

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Posted by ブクログ 2022年02月23日

経済改革については難しくて読み飛ばしてしまったが、途上国支援において、現地の人とのコミュニケーションの重要性がよく分かった。

途上国は、先進国と比べて伸びしろが多いのに、なぜいつまでたってもなかなか追いつかないのかについて、結局先進国の成長の搾取というのが原因として大きいというのには、納得させられ...続きを読むた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年02月20日

難しかった。
商学部出身の自分が、そうそう、経済とか勉強してた時こんな感じでわけわからなくてつまんなかったなーというのを思い出した。大変大事なこととは認識しているが。
でも、実際に現地の人との生の対話をベースに仕事されてるところが素敵だと思った。
日本人が全然いない海外で仕事されたのもかっこいいな。...続きを読む
今のルワンダの大統領もクーデターの時の人なのね。知らなかった。

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Posted by ブクログ 2021年06月06日

異世界転生モノって聞いてたけど、p17「飛行場全体の感じが、戦争中にいたラバウルのヴナカナウの飛行場を思い出させた」って、そもそも面構えが違う人だった。マイクロファイナンスって言葉は出てこないけど、こーゆーことかーって全部理解した(してない)。

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