あらすじ
完全無欠な人間が完全な情報を得て正しい判断をする-これが経済学の仮定する経済人である。だが、現実にはこのような人間はいない。情報はあまりに多く、買い物をしたあとでもっと安い店を知って後悔する。正しい判断がいつも実行できるわけではなく、禁煙やダイエットも失敗しがちだ。本書は、このような人間の特性に即した「行動経済学」を経済学史の中に位置づけ直し、その理論、可能性を詳しく紹介する。
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Posted by ブクログ
『行動経済学』/中公新書/★★★★☆/経済的合理人を前提とする古典派経済学の批判から生れた行動経済学とはどのような学問なのか?行動経済学での物の捉え方がよくわかると思う。個人的には喫煙行為を行動経済学で捉えたときに普通の経済学とどのように異なるのかが面白かった。数式も出てきますが、例示として簡単な例が出ているので、経済学初心者でも大丈夫と思われる。
Posted by ブクログ
行動経済学を軸として、経済学全般の紹介もしながら、行動経済学との違いを記載していくスタイル。
ライトに行動経済学を学びたい人にはオススメですが、学者が書いているためポップではない点は注意。教科書読むのとか好きじゃない人にはラリホー効果あるかも。
以下、備忘のためのまとめ
ーー
■古典経済学との違い
・人間は合理的に動くのか?
大学受験するか、正社員になるかを検討するとき、
大学に受かる可能性×効用+落ちたとき×効用と
最初から正社員になる効用を比べる。
しかし、以下の点でそう合理的には選択しない
①選択肢は与えられるものではなく生み出すもの
②可能性は一義的ではない(勉強で確率が変わる)
③可能性が低くても夢を選ぶ人もいる
④プロセス(≠効用)に満足する人もいる
・ヒューリスティクス
1.代表性 … 人へのステレオタイプによるもの
2.想起しやすさ … イメージしやすさ。Kで始まる単語と3番目がKの単語はどちらが多いか?
3.係留 … 特定情報・数字への過度な依存
・独立性公理の破綻
①45%の確率で6000円、55%でなにもなし
②90%の確率で3000円、10%でなにもなし
→②を選ぶ人が86%
①0.1%で6000円
②0.2%で3000円
→①を選ぶ人が72%
これは、上は下を単純に薄めただけ。
(アレの反例)
・プロスペクト理論
参照点を原点として、効用を考える理論
損したときの効用の下がり幅が高く
得したときの効用の上がり幅が小さい
※参照点 … 基準点
いつも180円でマヨネーズを買っている場合は
それより得か否かで効用が上がるor下がる
■ゲーム理論いろいろ
人間は利他的か、利己的か
・最後通牒ゲーム
提案者が受諾者に持ち分のいくらをあげるか、提案
受諾者はそれを受諾orNotを選ぶ
半分くらいあげることを提案することが多い
(利他的?それとも関係性を慮ってか?)
極少量のときは断るという選択を選ぶ受諾者も
・独裁者ゲーム
上記において、受諾者が拒否できない。
その際は、20%程度の分配になることが多い。
(利他的?それとも関係性を慮ってか?)
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Posted by ブクログ
人間の経済活動は感情に左右されるということを、経済学的な数式や様々な事例から解説した本。元々経済学における経済人(ホモ・エコノミクス)は効用最大化を合理的に追求することが前提になっている。
ところが、実際の人間の行動は非合理的ある。効用の最大化を四六時中考えているわけではない。その例としては、貯蓄に回すはずのお金をあっという間に消費してしまう、タバコやパチンコは損をするとわかっていながら止められない(嗜癖/アディクション)、つい食べ過ぎてダイエットに失敗してしまうといった行動に見られる。
そのことはハーバート・サイモンの「限定合理性」の説に表れています。すなわち、
①選択肢は「発見」するもの(別のお金の使い道を用意する)
②選択肢と結果との関係は固定されていない(ついお金を浪費してしまう)
③効用最大化を目指すとは限らない(ヒューリスティック=満足 を求める)
④結果にたどり着くまでの過程も重要(浪費に向かう過程に何があるだろう)
といったもの。人間は必然的に誤ることを前提とした考え方である。見たいものを見て、見たくないものには目を瞑る(いわゆる「バカの壁」)。飛行機事故は自動車事故よりずっと少ないのに大きく心配したりするのはそのいい例である。
他に興味深いと思ったのは、期待効用アノマリーである。これは自分の好みを合理的一貫性に合わせないというもの。
例えば、90%で1000円が当たるくじと45%で5000円当たるくじのうち前者を選ぶ場合、10%で1万円当たるくじと20%で5000円当たるくじでも前者を選ぶことは合理的一貫性を欠く。ですが確率的には両方とも前者を選ぶ人が一番多い。このことからも、人間は非合理的な選択をすることが多いことがわかる。
それなりに興味深かったけど、自分が求めていたものとは少し違うなあ。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
完全無欠な人間が完全な情報を得て正しい判断をする―これが経済学の仮定する経済人である。
だが、現実にはこのような人間はいない。
情報はあまりに多く、買い物をしたあとでもっと安い店を知って後悔する。
正しい判断がいつも実行できるわけではなく、禁煙やダイエットも失敗しがちだ。
本書は、このような人間の特性に即した「行動経済学」を経済学史の中に位置づけ直し、その理論、可能性を詳しく紹介する。
[ 目次 ]
第1章 行動経済学とはなにか
第2章 時間上の選択
第3章 不確実性下の選択
第4章 アディクション
第5章 ゲーム理論と利他性
第6章 行動経済学の挑戦
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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