あらすじ
リーマンショック後の二〇〇九年秋、欧米の格付け会社が、インドネシアの持続的成長能力と財政的安定を評価し、国債の格付けを引き上げた。以来、インドネシアの有望性は世界が注目するところとなる。二億四〇〇〇万近い人口と豊富な資源を背景とした潜在的な国力は、二〇〇四年、ユドヨノ政権になって以降の政治的安定によって、さらに強固な成長要因となっている。中国、インドに続く"アジアの大国"のこれからを展望する。
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Posted by ブクログ
JETROアジア経済研究所の方が書かれています。
やはり,政治,自然災害,治安問題,環境問題,金融市場など,条件と役者は,
組み合わせとタイミングが重要であると感じた.
インドネシアにおいて,これからの10年,20年がどのように変化するのか,
長期的な成長と安定にむけて,どのような努力を今インドネシアが重ねているのか,
ここに到るまで,どのような足跡があったのか.
非常に精細で,とてもよくインドネシアのいまがわかる本だったと思う.
スハルト時代のインドネシアに関する本(20年弱前のもの)を読んだ後だったので,
変化するインドネシア,という印象が非常に強く残りました.
Posted by ブクログ
現在のインドネシアについて知りたい時、この本を読めば間違いない。
中公新書だけあって中身が濃い。
インドネシアの成長条件
①人口ボーナス(2030年まで)
②政治体制の安定とフルセット主義ver2.0
インドネシアは日本に親しみを感じている。
これをうまくやればインドネシアといい関係を築けるはず。
Posted by ブクログ
日経新聞の紹介で購入。著者の佐藤百合氏は上智⇒インドネシア大⇒アジア経済研究所。
感想。日本人のビジネスマンが知りたい今のインドネシアのことをわかりやすく教えてくれました。あとがきのコメントの通りです。今までインドネシアのことは、イスラム過激派や東ティモール独立のこととかで、行くのはとても考えられないを思ってましたが、そうじゃないんだよ、と気づかせてくれる本でした。
備忘録。
・大国だ⇒人口、資源、国土(海洋も含め)、貿易拠点になりえる
・人口ボーナス⇒(生産年齢人口÷総人口)で計算される比率が上昇される局面。生産物が国の成長に充てられる成長期。でも増加する生産年齢人口が雇用と結び付かないとむしろピンチ。中国、韓国、タイは人口ボーナスがすでに終了。日本はとうの昔に終了。インドネシアは2030年まで続く。
・民主主義体制の安定:スハルトは反共を徹底し、国の開発に大注力、でもアジア通貨危機で国の経済状況は崩壊。そのあと紆余曲折あり、今のユドヨノ政権は長期安定政権となっている。汚職を排除し、国内の融和にも務めている。
・経済:現政権は全方位工業の発展(軽工業、重工業、資源加工業)を狙う。特に資源加工業は重要項目。今は内資は農業、外資は工業。資源を輸出し、加工品を輸入している。
・課題:インフラの未発達。この理由はアジア経済危機の後の対外債務圧縮によるもの。アジア危機の大打撃は、国内資本は失敗の少ない農業に注力する理由にもなっている。
・宗教:イスラム大国。でもヒンズー、キリスト教各派も共存。インドネシアの建国理由はオランダからの独立。その目的の一致が大事だった。
・対日本:今は日本文化大人気。でもかつては日本軍の侵略あり。
そんなとこ。