あらすじ
早池峰(はやちね)山、カッパ淵、曲り家……。岩手県遠野市の里山を散策する悠々自適の退職者に見えた被害者の足どりは、一体何を意味するのか。奥軽井沢にあるM研究所のHPの掲示板に残された批判のメッセージとは。次々と起きる殺人を被害者の娘は食い止めることができるのか。現代医学の闇を衝いた十津川警部シリーズの傑作。
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Posted by ブクログ
西村の作品では、地方の文化の記述が薄いことがある。
本書は、「遠野伝説」というだけあって、遠野地方の具体的な描写が多い。
花巻からタクシーで遠野に向かう。
早池峰山に登って高山植物を摘み取って胴乱に納める。
早池峰神社の山門、参道のそばを登山道が伸びている。
福泉寺
遠野地方では、馬を飼っていた名残が曲がり家。
人間が住む家と馬を飼う部分が90度曲げて作られる。
馬と長者の娘の話。
馬の皮を抱きしめていると、みるみる天に登っていった。
豆腐とコンニャク。
道の駅。
カッパ淵。銅像、祠。
これだけ記述があるのはめずらしい。
話は、漢方薬を作るのに投じたお金がどこへ行ったか不明で、納得がいかないが、西村京太郎の興味の範囲外なのだろう。残念。
Posted by ブクログ
岩手県の深遠なる物語の世界、遠野が舞台にもなる殺人。
殺されたのは東京の隠居した元製薬会社員で、殺されたのも東京。
しかし遠野に固執していたと聞くや否や、十津川は遠野と勤め先の製薬会社の関係を探る。
もっと遠野の良さが見えてもよかった。きっかけくらいにしかなっていなかったので、その点は残念。最後の殺された元会社員の娘の犯人への同情が光る。