あらすじ
分類――それはすべての煩悩を生み出す本能的働き。食事、排泄、生死からセックスまで人生は入れるか出すか。携帯電話をかけるか、かけられるかが人気のバロメーター。見られるために大枚をはたいて買う勝負パンツも、大抵の男は見ることがない。この世界の現象を二つに極めれば、人類が抱える屈託ない欲望が見えてくる。盲点をつく発想で世の常、人の常をゆるゆると解き明かした分類エッセイ。「業と煩悩はお友達」という方、これを読んだら、もう「無分別」ではいられない!
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Posted by ブクログ
一時期、話題になった『負け犬の遠吠え』の著者が書いたエッセイ。
“分けると混ざる”に始まり、“若さと若々しさ”、“馬鹿女と女馬鹿”、“清潔と不潔”など、全編にわたり世界の現象を二つに分けて捉えて考察している。
・「元気をもらう」とか、「勇気をもらう」といった言い方が、私は嫌いです。(もらう、あげる)
・大人になる前は、誰もが自分のように、他人のことを「見て」いるのだろうと思っていたのです。(見ることと見られること)
といった記述を読んでいて、著者は自分と割と似た性格・感性の持ち主のような気がした。
個人的に印象に残った部分は
・私はその友達と既に十年来の付き合いだったのだけれど、相手の方が五歳年上ということもあって、いつも敬語で話していました。するとその友達が食事をしながら、言ったのです。「そうやってずっとあなたが私に対して敬語ってことはさぁ……、なんか、いつも『自分の方には責任は無いんです』って言ってるみたいだよね」(敬語とタメ口)
というところ。まあ、著者自身の指摘ではないけど、鋭いなぁと思った。というか、そういうところを包み隠さず書けるのが、エッセイストたる所以、なのかな。
内容的には面白かったが、文章の書き方が若干気になった。個性と言えば、そうなのかもしれないけど。