【感想・ネタバレ】地域再生の経済学 豊かさを問い直すのレビュー

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Posted by ブクログ

正直言って、特に税の部分は不得手であるので、難しかった。
が、今の地方創生に通ずる。ていうか、そのものであった。
10年以上も前に書かれている。さすがは、神野先生だ。

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2015年09月18日

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財政学的な視点から地域再生を論じた一冊。
地域財政の自立が、税制度によって妨げられている一面があることによって、その地域の特色を汲んだ政策が困難となり、国の「誘導的な」政策を受け入れざるを得ないという現実がある。
結果、画一的で非効率な政策の実施につながり、地域から文化や生活機能が消失していく。

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2012年05月01日

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ヨーロッパの地域社会の再生には「サスティナブル・シティ」がキーワードに進められているそうです。本当に豊かな生活とは何かということに考えさせられます。

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2009年10月04日

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第一に欲望かニーズかの問いかけ。第二に社会資本という言葉の意味が現在の日本でどのように捉えられているのかということについて。

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2014年08月17日

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 序章の「人間生活を問いなおす」で、「地域社会再生のシナリオ」は二つに分岐しているとして、「市場主義」によるシナリオと「市場主義にもとづかないヨーロッパ型の地域再生の道」(4p)と書く。
 工業社会から情報社会へと転換するエポックに発生する地域社会の変貌で、」工業都市は衰退し、地方都市は荒廃する」とする(5p)。
 「環境と文化による地方都市再生」(6p)のうえに、「人間の生活の場を創造する」(16p)と展望を示す。

 「工業社会の苦悩」を再生するには、「情報・知識社会への転換に、地域社会がいかに転換するかにかかっていてる」(32p)が、「工業社会の行き詰まりは、世界経済の限界を物語っている」(37p)として、「工業社会と市場経済はメダルの表と裏」ともする。「不可分」ということかも。

 著者を承知したのは財政学の読解をすすめた著書を通じてであった。その領域ではワグナー(1835-1917年 独)を紹介し、(1)市場経済の外側にある非市場経済も考察の対象、(2)コミュニティ=地域共同体を重視することを紹介(48p)、
 政府機能を「法律または権力目的分野」と「文化または福祉国家目的」分野に分類している、とする(52p)。そのうえで「文化または福祉国家目的」とする政府機能が拡大すれば、地方分権を推進せざるをえない(54p)と論を展開。

 耐久消費財の登場で「社会システムの市場化が飛躍的に推進」(59p)とは、産業機能の代替が進行し、家族の破たん、「共有しなければいけない価値や信念を培養するため実施されていた教育訓練が不可能」(となったと指摘する。

 「地域社会の崩壊と食料自給率」の項目で、「文化に誇りがあれば、食生活も地域に根付く」(83p 食生活が画一的で大量生産される食物へと激変して「食生活に文化がなくなり」とも述べる)。
 
 本書の読後に思った。
 戦後、アメリカ社会への追従を急ぎ、伝統的蓄積を変革する国是を選んだように思える。結果、自動車は購入してくれるアメリカから、我が国は食料輸入でこたえる仕組みができあがったのでは、と。
 

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2012年07月12日

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世の中が、「工業社会」から「知識社会」に変貌を遂げる中、地方からの工場流出が止まらず、地域社会は衰退の一途を辿っている。そのような流れに歯止めをかけ、それぞれに個性が輝く地域再生はいかにすれば達成されるかを論じた著作。
重要なのは「持続可能性」。フランスのストラスブールが自動車立ち入り禁止区域をもうけ、公共交通機関の利用を促進した。
自動車でないと行けないような画一型ショッピングセンターではなく、地域に根をはった商店が人々の生活の場として息づく。
地域の事は中央政府に決められるのではなく、地域自身で決める。(地方に財源を!という筆者のかねてからの主張)
これからの日本社会はどうあるべきか、という命題に1つのヒントを与えてくれる。僕自身、地方出身者として今後地方の発展に何らかの形で貢献したいと思っているので、自分の将来に向けても1つの示唆を与えてくれる作品だった。

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2012年04月01日

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ネタバレ

[ 内容 ]
地方自治体は膨大な財政赤字を抱え、地方の都市は均一化して特色を失い、公共事業以外に雇用がない…。
地域社会は生活の場としても労働の場としても魅力を失い荒廃している。
本書ではその再生に成功したヨーロッパの事例を紹介しながら、中心的な産業や重視する公共サービスなどがそれぞれ異なる、めざすべき将来像を提示する。
そして日本型の生活重視スタイルを財政・政策面からどのように構築するかを提言する。

[ 目次 ]
序章 人間生活を問い直す
第1章 工業社会の苦悩
第2章 市場社会の限界
第3章 財政の意味
第4章 日本の地域社会の崩壊
第5章 財政から再生させる地域社会
第6章 税制改革のシナリオ
第7章 知識社会に向けた地域再生
終章 地域社会は再生できるか

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年04月03日

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ヨーロッパの都市をモデルとした日本の地方の活性化を目指すという視点は非常によかった。ただ具体的な方策などには言及していなかった。

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2009年10月04日

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ネタバレ

財政学が専門の教授の本ということで、財政学色の強い本だった。
財政学についての、教養はもちろん、基礎的な知識や概念を押さえることもでき、さらに財政学の重要性をわかった上で、日本において、どのように地域再生をすべきかを学ぶことができた。
財政力とは、財政需要と課税力で決まること、地方自治体は、出入りが自由なために、所得再分配を実施するのは、出入りが不自由な国家(中央政府)となること、などが財政学の基本的な知識として役に立った。
とりわけ、「公共財を民営化すれば、市場で供給することになる。つまり、そのサービスは購買力に応じて分配されることになってしまう。したがって、民営化するか否かは、それが欲望かニーズかが決定の基準となる。」(158頁より抜粋)
これは、公共団体がいかに市民に寄り添うべきかを明確に示しているとともに、公共財、民営化が如何なるものかを表すまとまった明快な文章だと思う。
地域の自然(環境)と文化の再生を軸にした、ボトムアップ型の地域社会再生の成功例として、フランスのストラスブールや、スペインのビルバオ、スウェーデン、高知市、札幌市、掛川市(静岡県)、湯布院町(大分県)などを取り上げており、その有用性と可能性を知った。上の成功例の都市に、ぜひこの本の内容を踏まえて、足を運びたいと思う。特に、ストラスブールの最新鋭の路面電車(LRT)は目を引くもので、軌道は芝生と共にいきている。ストラスブールでは、鉄道でさえ、緑と寄り添っているのだ。
また、筆者は、地域再生は地方自治体が財政の自己決定権を持つ重要性を説いており、集権的分散システムから分権的分散システムに改めるべきだとも主張している。わかりやすい表現だ。
地域で生活を完結できないから、地域は廃退していくとも書いていたが、本当にその通りだ。
ヨーロッパの元工業都市における、地域再生の過程は、日本でも応用ができる現実的かつ健全なものであった。
そして、ヨーロッパの地域再生、もっと言うなら、本書において、はずせないキーワードには、「サステイナブル・シティ」というものがあった。ヨーロッパでは、持続可能な地域社会は、市場メカニズムに依存しない、(自己決定権を持った)市民の共同経済によって創ろうとしているのだ。そこでは、「補完性の原理」も徹底されている。それは、「個人ができないことは家族が、家族ができないことは市町村が、市町村ができないことは県が、県ができないことは国が、国ができないことはEU(欧州連合)が」(本書107頁より抜粋)というものである。
つまり、「公的部門が担うべき責務は、原則として、最も市民に身近な公共団体が優先的にこれを執行するものとする」(本書107頁より抜粋)のだ。実際に、ヨーロッパで地域再生が成功している地域の自治体は、財政の自己決定権を持つ。住民に一番近い団体が、ニーズに答えてくれるため、住民の福祉水準も高い。
色々、書いたが、細かい理屈よりも、ヨーロッパの都市に習って、地域の環境に配慮をし、もっと地域の文化や、自然といった、地域のアイデンティティー(自己同一性)を振興して行かなければ、愛する地元は死んでしまうということをよく考えてみないといけないと思う。
地域再生に関心がある人には、ぜひ読んで頂きたい。

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2019年02月10日

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※メモ

【きっかけ】
地域経済について積読だったものに着手。

【概要】
地域経済の問題と財政構造について。

【感想】
古くて狭い。
かつ、ヨーロッパ礼賛信仰の域を出られず。

ネット社会の進展の大幅な進歩があったことは、出版時と現状の違いではある。
それは織り込まれていないとしても、官・政を変革の責任者として置いている点は、今の目から見ると果たしてそれでどうなのという印象になる。
空間としての都市については、付け焼刃で論じている印象をぬぐえず。

地方財政の構造と中央との関係の入門にはなった。

時代的に、反郵政民営化の論調を感じる。

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2016年09月04日

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ポスト工業社会を知識社会と位置づけ、崩壊する地域社会を再生するための方策を考察している。そのためには、地域社会の共同経済たる「財政」に係る自己決定権を付与するべきとする。言わば、地域再生を目指すためにはまず地方分権を進め、地域のことを地域が決められるようにするべきということか。
本書が書かれたのは2002年だから、この時には機関委任事務は廃止されていたはずだが、さらに自己決定権を高めよということなのだろうけど、具体的にどのような面の自己決定権を高めればよいのか、必ずしも明らかではなかったかなと思う。もちろん読み飛ばしてしまったかもしれないが…
社会史というんですかね、日本の経済や社会の変遷について学べたのは良かった。まさに工業社会から知識社会へと変わった今、過去を振り返り将来を考えるという意味では、読んでよかったと思われるところである。

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2014年08月11日

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1990年代以降、企業の工場は人件費が低いアジアへと拠点を移動しました。
それに伴い、日本自体は工業が衰退、商店街も空洞化になったことから、財政危機、破綻という地域社会において、深刻な問題となっています。

そういった背景から本書は地域社会を再生するための策を記されています。
地域再生のための2つのシナリオになると著者は説いています。1つは市場主義に基づく米国型のシナリオ。もう1つは財政によって、人間の生活する「場」としての再生を目指す欧州型のシナリオで、自然環境の再生が優先される。

日本は欧州の地域社会再生に学び、人間の生活の「場」として機能させることを重視すべきだと著者は説いてます。地方分権を進め、地方自治体が財政的自己決定権を強めることなど、そのために必要な環境作りが必須ということです。

ただ、本書は10年前の本であり、やや今の背景とは異なると思います。
「人が歩きたくなる」という街づくりという意味では、どのような社会を形成していけばよいのでしょうか?

僕自身は、地方分権を進めるのは必要であると感じてます。より、地域自身の強さというものを日本にアピールというよりも、世界にアピールする、そういった舞台が必要です。政府もそれに対して、権限を与え、支援できるような「場」を提供すべきであると考えてます。

地域には、とても重要な資産がたくさんあります。人、文化、歴史、そういったものがあるからこそ、世界へ発信する。
そういった道筋こそ、今後の成長の鍵であると僕は感じています。

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2012年05月06日

Posted by ブクログ

 財源の話の部分は少し難しかったけど、なかなか面白い本だった。地域経済を維持するには、地域住民の我慢も必要だと感じた。スウェーデンのある田舎町では、近くの大都市に買い物に行かず、住民は「田舎だから物価が高い」と文句を言いながらも地元の商店を利用している。自分たちが年老いた時、地元に商店がないと困るから…。こういう発想が日本人には足りない気がする。

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2012年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地方再生に対してヨーロッパの社会経済的手法を参考に述べられている。
これからのインフラは教育・福祉・医療が中心になっていくがそれを地方財源での公共サービスにしていく必要がある。また、高度情報化により人の移動が必要なくなるため継続的な人間関係が描かれるためコミュニティ機能はますます重要になってくるとのこと。
コミュニティは確かに大事だが、情報化社会により継続的な人間関係を描くという仮定はどうだろうか。一度に多数の、世界中の人にアクセスできるような仕組みができた今、継続的でクローズドな人間関係が希薄になっていく可能性は高い。
税制度に対するアレルギーを再認識できたので、地方財源に対する理解を深めたいところ。

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2011年12月26日

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