あらすじ
死んでから作家となった書き手がつづる、とんでもなくもおかしい、かなしくも心いやされる物語。カバにさらわれ、始原の世紀へとさかのぼった書き手がそこで見たものは……。ありふれた「不倫話」のなかに、読者をたぶらかすさまざまな仕掛けが施される。斬新で型破り、スーザン・ソンタグやハロルド・ブルームなどの高名な批評家も高く評価する、ブラジル文学の頂点に座す作家の最高傑作。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
いわば平凡で誰にでも起こりうる不倫話。
を、超自然的な体験(諸世紀の源流)を経て死後作者となった死者(ブラス)が、
新たな視点から語りなおす。中盤からウマニチズモという思想も加えられ。
常識は疑われ悪しきは良しとされ制度への懐疑が呈される。
それは当時の作者(マシャード)が置かれていた欧米化社会へのアンチでもある。
読んでいる最中よりも思いだしているときのほうが深く感じられる不思議な読後感。
マジックリアリズムとは異なる系譜で、南米にはまだ宝がある。