【感想・ネタバレ】クラスはよみがえる 学校教育に生かすアドラー心理学のレビュー

あらすじ

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アドラー心理学の第一人者が、数多くの実践例をあげながら、新しいクラスルーム・マネジメントのあり方、子どもの問題行動にどう対処するかなど、きわめて具体的、平易に説く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

衝撃の1冊であった。
書き振りが「挑戦的」であるのも面白く、多くの学校で行われているであろう教育の形を真っ向から否定するものであり、自身の教育のあり方についても考えさせられた。とても30年以上前に書かれた本だとは思えない。過激な内容であったといっても過言ではないと思う。

今回読んで心に残ったキーワードは、対等な関係・お願い・「なぜ」ではなく「どうすれば」の3点である。
特にお願いをするといった形で子どもに伝えることは、これまで「子どもに舐められてはいけない」という意識があり、あえて使わないようにしていた。しかし「上下関係を築くことにつながる」という内容が書かれており、一理あると感じた。全ての子どもを尊敬し信頼するとは、対等な関係であることが元になっており、教師のあり方(行動)で本当にそう思っているかどうかが子どもたちは判断する。

自身の経験を振り返ると、宿題を忘れた子どもがいたときに、なぜ宿題をやってこないのかと叱責をしたり追及をしたりしたことがある。しかし、これを本書の内容と照らし合わせると NG行為であり、子どもにとって「教師が自分よりも上にいる」という意識を与えていたことに気づいた。

自身の感情といかに上手く付き合うかが肝であることは、他の実践とも変わらない。まずは小さいことから自身の教育を改めていきたい。

(学びメモ)
・性格とは、状況に合わせて用意されている行動パターンのセット
・クラスに問題児がいるということは、クラス全体の構造に問題があるということ。
・3歳までで子どもの性格は決まらない。友だち関係の中で体験することと深く関わりがある。
・人間の最も根源的な欲求は、所属欲求。
 ↓それを得るための子どもの作戦レベル
・賞賛→注目→闘争→復讐→無能力の誇示
・問題があるクラスは集団ではあるが、組織ではない。
・ルールが守られるのは、子どもたちの自覚によって
・教師5大病 完璧病 反省病 計画病 努力病 習慣化病
・反省は、一般にあまり役に立たない。
・この世に自分ほど大切なものはないと思う時、他者もまたそう思っていることを知り、他者を大切にできるようになるbyブッダ
・対等である=相互に尊敬し合う
・信用…根拠があるからできる 信頼…無条件 → 子どもを信頼せよ。「きっと何か考えがあるに違いない」
・過去「なぜ」ではなく未来「どうすれば」に焦点化
・自分自身が好きだという自己受容は、精神的な健康の最大条件
・「問題は、何が与えられているかではなく、与えられているものをどう使うかだ」byアドラー
・教師のすること全てが子どもに影響を与える。
・伝える時はお願いの形で。協力に感謝する。横の関係。
・Iメッセージで自分の思いを伝える「〜と私は思っているのですが、あなたはどうですか?」
・共感はするが、同情はしない。
・恐怖心から行動する人間は、行動する喜びを見失う。
・例 窓ガラスが割られていたら…①後始末+どうすればよいか ②ルールづくりの提案 ③もし今後見かけたらどうするか(協力体制の確立)*犯人探しは不要。
・告げ口する子に対しては、「あなたからA君に何とかしてとお願いしてくれますか?」
・子どもに行為の結末を体験させる。
①自然の結末 … 教師が介入しなくても致命的でないときに活用。介入せずに子どもに任せる。
②社会的活用 … 適正なルールを適正に運用する。
3つの条件(全員参与・必要感・平等に課される)の下で、ルールは必要であり快適であるという意識を育てる。
・ルールゼロベースでスタートして、必要がおこるたびに、ルールを制定していくのがベスト。
・「もし犯人を見つけたらどうしますか」「先生はその犯人もきっとそうしないといけない理由(仲間はずれにされているという思い)があったのだと思います。その人もみんなの仲間だと思えるように、みんなには何ができますか?」
・論理的結末…冷静・聞く耳あり・協力体制○の条件下で 問いかけ、どうなるか考えさせる。作戦1、2の子どもにのみ使える。
・勉強することは、子どもの課題であり、教師の課題ではない。
・子どもが喜んで勉強してくれる環境をつくることが教師の課題。
・不適切な行動=共同体を破壊するような行動。(迷惑をかける)
・適切な行動=自分自身あるいは共同体に対して建設的な行動
・自分の人生の課題は、自分の責任で解決すること。
・教師の責任は、適切な授業をし、適切なクラスマネジメントをすること。
・自分の要求をはっきり言葉で伝える=必要な生活力
・察しが良すぎて先回りしすぎる=過保護
・実際の体験以上に強力な教育法はない。
・ディスカッションの活発化を目指して行うクラス議会のテーマ … 1週間を通して良い出来事 困った出来事 試してみたい改善策 ルールとしてあった方が良いこと
・クラス議会ルール 1どしどし発言 2よく聞く 3批判NG「それは違う」ではなく「私はこう思う」4結論先で理由後
・ルール…クラスの中に秩序を確立するためにの取り決め事項(強制力を伴う)。集団を円滑に運用するために必要1役割ルール 2禁止ルール
・社会的結末は、すでに存在するルールにのみ使える。
・教師は最初のはずみをつけてしまえば、あとは少し手を貸すだけ。
・人間は、自分に向かって語られるより、自分について語られる方がより耳を傾けるもの。

きっとこの先もずっと忘れない貴重な本に出会えたことに感謝。

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2023年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アドラー心理学の教育実践。「子供の目線に立って…」と恰好つける教師がいるが、それどういうことか本当にわかってるぅ?


 私の生まれた年の本だけど…まだ使える。本質を突くものは、時流を越えられる。子どもを子ども扱いする教師ばかりだが、それじゃあ社会人は育たない。子供を育てると同時に、社会人を育てているんだという意識を持つ教師にならなければいけない。そのためのこの一冊である。

 しかし、この本が生まれた背景が80年代の荒れた学校の教育方法だから、2017年の今に読むとちょっと大げさである。
 それでもなお、この本の言う民主的な教師になれていない人が多くいるのだから、日本の教育がけなされて当然である。

 自分の感覚だと、中学校教師よりも、公立の高校教師とか、中堅レベルの伝統ある高校教師にくだらない教師が多いと思う。生徒を不当に下に見る。くだらない。

 教育業界には競争がないから教員の淘汰が起きないといわれる。でも、競争原理を取り入れたからって、このアドラーに基づくような民主的な教育ができる教師ばかりになるとも思えない。もう、こういう本を読んで勉強してる教師が一人一人増えていくしかないと思う。そして、その成功例を増やして、ほかの教師にフィードバックしていくしかない。

 他人を変えることはできない。変えられるのは、自分だけ。その副産物として、周囲に変化がありうるのである。
 

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2017年09月23日

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