あらすじ
なぜ、日本企業のグローバル展開はうまくいかないのか?
その答えは、文化の「壁」にあった。
世界で戦うために、5つの谷を乗り越える
労働観の谷/組織の谷/人材育成の谷/コミュニケーションの谷/リーダーシップの谷
国内市場の成長に限界を感じて、グローバル展開を目指す日本企業が増えています。IT企業やアパレル企業など日本で大成功をおさめた会社が、英語を社内公用語にしたり、華々しく海外店舗をオープンしたりするニュースも近年話題となっています。
しかし、そうした企業の海外進出がうまくいっているかというと、必ずしもそうではないようです。現地のスタッフや企業とうまく協力関係がつくれなかったり、成果がなかなか出せなかったりして、ときには撤退を余儀なくされることも。
日本企業の海外進出がうまくいかない理由として、文化のギャップや、働き方の違いがよく言われます。アメリカ人は休んでばかりで働かない、納期を守らない、などなど……。
本書は、日本企業が海外に出たときに必ずぶつかるそうしたギャップを、「労働観」「組織」「人材育成」「コミュニケーション」「リーダーシップ」という5つの観点から、ストーリー形式をまじえて解説していきます。
・アメリカ人は働かない、は本当か?
・意思決定のプロセスの違いを知る
・T型スキルを身につける
・ディフェンダー人材とオフェンダー人材
・ポジティブとネガティブを使い分ける
・ビジョンを明文化する
・最大の武器は完成と好奇心
(本文より一部抜粋)
日本企業や日本人ビジネスマンが、異なる価値観の世界でリーダーシップを発揮し、「グローバル日本企業」そして「日本発のグローバル・リーダー」となるにはどうすればいいか。グローバルビジネスへの挑戦を目指す学生や、世界を舞台に活躍したい若いビジネスパーソンの皆さんに、ぜひ一読いただきたい一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
入門書じゃないか退屈だと読み進めていたのですが、半ば以降、文化的な違いを指数で裏付けながら論を進める辺りからグッと引き込まれ、既知の事項ながら随分と理解度が深まった。
論旨明快で平易な文章ながらエッセンスまとまりよく、良い本に出会えました。
Posted by ブクログ
日本のベンチャー企業がシリコンバレーの企業を買収し、米国市場、ならびに世界での成功を目指す過程が物語形式と客観的な解説の組み合わせで進行します。章ごとに、日本と欧米企業の労働観や組織観の違いから発生する具体的な軋轢を紹介し、両者の違いを分かりやすく解説した上で、それを乗り越えていく過程を示しています。
著者の考えとして、欧米企業のやり方を過度に礼賛するわけでもなく、我々日本人の特性を活かしながら海外企業とうまくやっていく方法を考えることを提案している点は好感が持てます。著者によるとソニーの創業者盛田氏が著者の理想とするグローバル・リーダーのようです。
近年、海外企業を買収して、海外事業を発展させようとするケースは多いと思います。その際に本書に出てくるような日本の本社と現地子会社の間での軋轢のような話は往々にして見られる現象だと思います。日本から現地に赴任して海外子会社のオペレーションを担当する駐在員、あるいは海外企業と頻繁に仕事する機会のある人にも良い書籍かもしれません。
ちなみに、グローバルと言ってもシリコンバレーの話だけですし、タイトルにあるマッキンゼーとDeNAはほぼ関係ありません。これはマーケティング上の都合でしょう^^;
Posted by ブクログ
日本、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、フィンランド、アメリカ(シリコンバレー)。
これだけバラエティーに富んだ文化の中で暮らして働いたことがある著者は、
東京とシリコンバレーは、企業文化の面で最も距離が遠い、と言います。
あえてその2つを対比させる物語を読むうちに、
自分がこれまで経験して来た職場の特徴を改めて考え直していました。
「レンガ型組織」と「石垣型組織」の対比は、
ずっと覚えておこうと思います。
事業、組織、働き方というのは、固有の文脈や背景の中で起きるものです。
抽象的なことばだけでは、実感をもって読者に迫れません。
この本は、物語形式になっていて、文脈に自然に入り込むことができました。
「日本のやり方も、シリコンバレーのやり方もない。
この会社のやり方を作るのだ」
登場人物の言葉にとても共感して、★5つとしました。