【感想・ネタバレ】むかしのはなしのレビュー

あらすじ

三カ月後に隕石がぶつかって地球が滅亡し、抽選で選ばれた人だけが脱出ロケットに乗れると決まったとき、人はヤケになって暴行や殺人に走るだろうか。それともモモちゃんのように「死ぬことは、生まれたときから決まってたじゃないか」と諦観できるだろうか。今「昔話」が生まれるとしたら、をテーマに直木賞作家が描く衝撃の本格小説集!!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

昔話をオマージュしてる面白い構成。SFチックなのがストライク。
世界が終わる時にどんな行動を取るか、に焦点が当てられた話も多くて興味深かった。
特に「懐かしき町のかわべりの物語をせよ」は、なぜ主人公がその選択を取ったのかを綺麗に回収していって一番好きだったかも。ラブレスも結構好きで、最後の話と繋がってるのも綺麗に作られてるなと。
比喩表現も綺麗で大好きな一冊。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

桃太郎やかぐや姫などの昔話をそこはかとなくベースにした短編集。ホストの男性、普通の高校生、好きでもない人と結婚した女性などが主人公。生きることや生きることを選択することなど、深いテーマが根底にありながらライトに描写している。

実は連作でもあり、各話で伏線が回収されている。最初はイマイチ内容のない話だなと思っていたが、後半に入るにつれ、伏線が回収されなかなか壮大なテーマであることがわかるとぐんと面白くなる。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

隕石が地球に衝突する発表後、脱出して生き残った生存者が「昔話」として残す地球のものがたり。7編の短編が少しずつ絡み合って、長編になっている。

「人は二種類に分かれるようだ。これまでどおりの日常を堅持しようとする人と、思い切り好きなことをやって火花のように散ろうとする人」と、語る。きっと、死を宣告された病人や戦争時の兵士も同じかもしれない。ただ、「決定的な終末が三カ月後に迫ってみると、案外どうしていいのかわからない」と、語るように、普段通りに過ごす人が多そうな気がする。花火のように散っても…。ただ、その前に、死を選ぶ人も多いかも。

三カ月後に必ず死ぬとわかっていても、それまでは生活を続けていかなきゃならない。そして、きっと、生き続けることは、死ぬことよりも辛いかもしれない。常に三カ月後を想像してしまうから。
「隕石がぶつかるってわかってから、どうせ死ぬなら…って考えても仕方がない。死ぬことは、生まれたときから決まっていた」それを諦めと呼ぶのか、達観と呼ぶのか。ただ、「これまでどおりの日常を堅持しようとする人」のみが物語を残していくのは事実だ。それが、”むかしのはなし”になっていく。

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2022年10月28日

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ネタバレ

よかった。
話の設定から(隕石が……ってところで)、伊坂幸太郎さんの「終末のフール」を思い出しました。
昔話を元に…ということだけど、話によってはほとんど原型をとどめていないのもあった。
だけど、それが逆に「すごい!」と思った。
例えば「かぐや姫」、例えば「桃太郎」という話で、あそこまで想像(この人の場合、妄想?)を膨らますことができるとは!私がもし同じことをしたら、きっと元の話に忠実に、だけどちょっと現代風にアレンジした話しか書けないだろう。
あとがきを読んで、納得。
昔の話をしたくなるときは、確かにこんなときかもなぁ。

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2023年08月30日

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ネタバレ

昔話の概略や教訓を、現代の話にパロディー風に盛り込んでいて読み応えがあった。繋がっていないようで繋がっていて、隕石が衝突するということが分かってからよりこの本全体の深みが増して、昔の話として物語る人たちの背景に苦しくなった。個人的にたどりつくまでが特に良かった。

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2025年05月17日

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ネタバレ

三浦氏の小説は久しぶりです。『まほろ駅前多田便利軒』を読んで以来。あれは子どもが生まれる前後だったか。ざっと20年ぶりであります。

・・・
本作は昔話にちなんだ短編集。

「ラブレス」「ロケットの思い出」「ディスタンス」「入江は緑」「たどりつくまで」「花」「懐かしき川べりの街の物語せよ」の計7篇。最後の一篇が101頁の中篇で後は短篇。

そのうち「入江は緑」以降の4篇は連作となっています。ただ言葉の端々から他もモチーフが関連しているようにも見えます。

・・・
内容ですが、いやあ、どれも面白かった!

で、ふと思ったのは伊坂幸太郎氏の作品に似ている?ということ。これは、「入江は緑」以降特に、地球滅亡(隕石が数か月後に衝突する)という筋が通底しており、それを受けての人間ドラマが各篇で独立して描かれており、伊坂氏の『終末のフール』を彷彿とさせるところがあったことが大きいかと思います。

また、泥棒の半生を独白形式で描く「ロケットの思い出」のシュールな設定(犬との思い出、変態同級生の部屋に泥棒で入ってしまった事等)や軽妙な語りもまた、伊坂氏の『ラッシュライフ』を思わせるところもありました。

・・・
他方、ノワールなものも才能ありますね。ただキレイに仕上げる方です。

冒頭作の「ラブレス」はホストが知らずにヤクザの女に手を出し、殺される間際にケータイからダイイングメッセージを打っている話ですし、「ディスタンス」は叔父に恋をしてしまった女子高生が、離れてしまった叔父の心に気づかず、熱く思いを語るもの。

こうしてみると中村文則氏の作品にも似てるかもって思い始めますが、「最近読んだものにメッチャ引っ張られてるだけじゃん」と気づきました。ブルブルブル。

改めて彼女の特徴を考えると、三浦氏の本作を読んでいて感じるのは、「癖のなさ」「平明さ」のようなもの。

どれもさっぱりとスラスラと読めるのです。ホストの話「ラブレス」はノワールというよりどこかコミカルさを感じますし、近親相姦を描く「ディスタンス」もグロくなく、さっぱりと描くのです。

これは彼女ならでは、と感じた次第です。

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ということで、ほぼ初めましてというくらい久しぶりな三浦氏の作品でした。

他の作品も徐々に渉猟してまいりたいと思います。

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2024年07月11日

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ネタバレ

たまにはミステリ以外も読みたくなるねと選んだけどこれ何年前かに読んだことあったね。忘れてたけどラブレスでん〜既視感〜?と思いロケットの思い出でおお〜?となりディスタンスで完全に再読だこれ〜と確信したね…でもほぼ記憶なくてまた面白く読めた。隕石でぐっとSF感が出るのが好き。

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2023年11月05日

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ネタバレ

隕石衝突辺りから、連作短編の様相を呈してきた。
が、実は最初の話から流ればできていた。ももちゃんはホスト男の息子だったか…。
むかしのはなしいうものの、さられと流れる記憶に残らぬものばかり。

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2022年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょっとオイラには難しかった。帯に〝かぐやひめ、花咲か爺、天女の羽衣、浦島太郎、鉢かづき、猿婿入り、桃太郎……。日本昔話は、昔の話なんかじゃない。今、ここで起こりつつある物語なのだ〟って書いてあるから〝現代版 かぐや姫〟とかになっていると思っていた。もちろん、そういう風になっているんだろうけど、オイラは元の話の記憶も怪しいものだからなんだかまったく別の物語を読んでいるみたいだった。いちばん読みやすかったのは「懐かしき川べりの町の物語せよ」。桃太郎のことは考えないで読めたから。

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2022年04月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔話をモチーフに現代に置き換えたお話で始まったと思ったら、隕石が3か月後に地球に衝突するという事件が語られ、7つのお話が結びついていく。昔話がモチーフ、が主題ではなくて、未来から見た現代が「むかしのはなし」だった。

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2021年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連作短編集、ということになるんだろうか。
昔話に題材をとった現代の話、なのかと思いきや。

最後は何だか辛い感じで。
モモちゃんはすべて知っている。
モモちゃんはどんな気持ちで、、、と言われると、いたたまれない気持ちになる。
こんな復讐する資格ないだろ、田山。

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2020年10月28日

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