あらすじ
千華子を人質にとられ練は、ニコと名乗る少年から危険なマヤの儀式への参加を強制された。それは生死をかけて争う苛酷なレース。刻一刻と過ぎる時間。制限時間まで残りわずか――。しかし、そのとき国全体をさらに揺るがすとんでもないことが起こった。神は二人を見捨てるのか。兄妹は再会できるのか。そして家族は? 緊迫と感動の新装版下巻。
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Posted by ブクログ
これさあ、今年No.1の小説だよ。ていうかさ、今まで読んできた小説の中で、五本の指に入れてもいい物語だ。
最後は一気に読んでしまった。
さすがにマヤ文明とか出てきて、新政府樹立とか、理想論だと思うけどさ、物語としては最高だよね。
それにしても、レンとチカ、これでもか、これでもかってくらい、逆境に陥るね。
その度になんとか這い上がる。
その過程が素晴らしい。美しいとかそういうんじゃない。泥くさいというか、泥縄?満身創痍でこれまでか?ってタイミングで道が拓ける。
すごい本読んじゃったな。
「要するに、人間は何にでも慣れるのだ。どんなひどいことにも。その時は最悪だと思っても、見方さえ変えれば最悪に底はない」
↑この小説を一言で表すとこの一文に行き着く。
BOOK・OFFって古い本は全て100円にしちゃうんだな。
これ定価で買ってもいいよ。喜んで買うよ。
星5つです!
Posted by ブクログ
昨晩上巻を読んで、今日あっという間に下巻駆け抜けました。面白い!
『成人式』が終わった朝の無邪気な少年たちの描写を見て、緊迫感がある中で生き抜いた彼らがまだ子どもということを改めて実感しました。
マヤ文明のこと全然知らなかったけれど、すごく興味が湧いたので調べてみようと思います。
あともんじゃ焼き食べたい!
Posted by ブクログ
おー、アドベンチャラス、面白い!
このお話は、結構のっけから面白かったです。
なんか宮部みゆきを思い出すような青少年ファンタジー。でもって少し(あくまで現代なんだけど)タイムスリップ感あるファンタジー。
とても面白かったと思いますー。
途中からニコと練に友情が芽生えたのもちょっと面白かったね。
しかし、この思考力・発言と行動力で、小・中学生設定というのはかなり無理があると思われました。。作者の大人感もろ出てる?(笑)
Posted by ブクログ
最後はいきなりアッサリ終わったけど、そこに至るまではハラハラして楽しめたので、疾走感味わいたいなら良い気がする。中身を求めたら山もオチも意味もないかも?
Posted by ブクログ
上巻ではヘリコプターから放り出されてジャングルに落ちた練と千華子が一緒にサバイブする様をすごいと思ったが、下巻では、さらに二人がバラバラになり、それぞれ過酷な状況で生き延びる。
練はマヤの成人の儀式と称する、ジャガーのいる巨大遺跡の中での命懸けのミッションクリアゲームに参加させられるが、途中からは、地震と噴火でその地下に張り巡らされた廊下が崩れる前に脱出を迫られる。
一方の千華子は1人で遺跡内の廊下を進み、最後は両親が探しに来て、目印として落としていった風船を頼りにジャングルを1人で進む。そして、炎が迫り来るなか、ギリギリのところで母に助けられる。
練を成人の儀式に巻き込んだ、理知的でありながら驚異の運動能力をもつニコが、実はG国のクーデター首謀者の孫だったという結論もすごい。
小中学生の兄妹に与える試練としては過酷すぎる設定だが、とにかく、展開が早くてどんどん読み進んでしまった。面白かった~。
マヤ遺跡、見に行きたい!
Posted by ブクログ
ニコが憎々しいのだけどキーパーソンであることは確かで。ラストまで楽しませてくれる。
紆余曲折のなかでハラハラドキドキのたたみかけるようなラストでは千華子のくだりに涙が溢れた。親子の情の深さに胸を打たれた。練とじいちゃんとの再会もしかり。散々くさしながらもラストまで読んでとても心打たれている自分にびっくり。
Posted by ブクログ
上巻を読み終えた時点ではね、題名の意味、全然わかりませんでしたけど、、、下巻を読み終えた今、なんとなく、なんとなくですが!分かった気がします。気がしますぞ。勘違いかもしれませんけれどもね。
「上と外」とは、それすなわち。ミスチルの曲「光の射す方へ」ってな事ですよね?ジャングルの木々が、太陽の光を求めて上へ上へと成長していくように。人が、自分の周りの小さな世界に満足できずに、外へ外へと行動範囲を広げていくように。
上へ上へと突き進むトライセラトップスのゴーイングトゥーザムーン。人は成長するべきなのだよ。未知なる世界へ漕ぎ出していこうぜブラザー&シスター。それはきっと素晴らしい事なんだぜ!ってこと?でしょう?違う?どうなんだろうなあ。わたくし、そう理解しました、この題名の意味を。それって、素敵やん?って思いましたね、読み終わって。
まあ、大冒険活劇ですね。抜群にハリウッドで映画化して欲しい。超大作になること、間違いなし!ですね。まあ、映像化するには、ちょっと途轍もない予算がかかることは、間違いない。
でも、そんな、映像化は激烈に予算天文学的な作品でも、小説ならば、あらなんと。文字だけで表せちゃう。文字を追うだけで、読者は、大冒険活劇を想像できちゃう。恩田陸さんの想像力たるや、そらもう凄いんです。
いやあ、小説家って、ホンマに凄いよね。どんな途轍もない超大作でも、文字で表現できちゃうんだもの。大尊敬です。文字って、偉大だ。いや、そらね、映像も、映画も、素晴らしいですけれどもね。
映画化しようとするならば、膨大な人数と、膨大な予算がかかるであろう作品を、たった一人で、文字で、表現しちゃう。そう考えると、小説って、マジで凄いな、って思いますです。うん。
ちなみに、超大作冒険活劇もの、という括りで考えますと、高野和明の「ジェノサイド」と似ている感じがしました。でも、凄く本音を言いますと、「ジェノサイド」の方が、圧倒的に好きです。恩田さん、ゴメン、、、でも、こっちも好きよ。ホンマよ。でも、ジェノサイドは、群を抜いている大傑作だと思うの。恩田さん、ゴメンね。と、謎の陳謝。
しっかし、上巻下巻通して、練と千華子を襲う、トコトンまでの危機、危機、危機また危機。ちょっと、あまりにも一難去ってまた十難、くらいな展開、可哀想でした。中学生と小学生(ですよね、確か)の二人には、あまりにもキッツイやんか。いやもう、ホンマ、お疲れ様でした!!!!という言葉しか、かけられへんなあ。練、千華子、あんたらは、凄い。偉い。大したもんです。凄い!と、大敬礼ですね。
ちなみに、練のお祖父ちゃんも凄いし、ニコのお祖父ちゃんも凄いし、この物語って、つまるところ、祖父は偉大なり!繋がりの二人の話なの?という気もした。お祖父ちゃんっ子は、凄い人物になるぞ、ってこと?いや、違うと思うけど。
あと、南米のG国は、モデルは「グアテマラ」だったようです。後書きで、恩田さん自身が、言っておられました。ブラジルでは、なかったのね。で、そのグアテマラで、クーデターを起こした人々の狙いが、「全ての国境と人種を超えた、ネット上での電子政府を設立することだった!」というのは、ちょっと度肝を抜かれました。これってほぼほぼ、究極の理想みたいなもんやんか。くおお、恩田陸、凄い投げかけをしたなあ。ジョン・レノンでいうならば、イマジンですよねえ。
ここ、ちょっと別の作品でも良いので、更に追求してほしいテーマですね。これからの人類にとって、ある程度、進むべき道なのではなかろうか、という気もしますし。凄く大事なテーマだと思う次第です。
Posted by ブクログ
久しぶりに、「寝る間も惜しんで読む」ということをした。
それだけ、続きが気になってしまった。
練も千華子も、どれだけ冷静で頭のいい子なんだって感じ。
中学生と小学生だなんて、嘘なんじゃないか?ってくらい物事を冷静に判断できる。
今の私が彼らと同じ状況に立たされたら、彼らと同じように行動できる自信がない。
きっと、のたれ死によ、私は。
千鶴子を、「なんだろうね、この女は」と思って見ていたけど、ラスト近くの千鶴子と千華子のシーンでは、ちょっと涙してしまったりして。
私も絶対こうする、ということを千鶴子がしてくれた気がした。
練や千華子にはなれないけど、あの瞬間の千鶴子になら、なれると思う。
母親ですから。
そしてやっぱり、ほとんど登場することはないのだけれど、練のおじいちゃんが素敵だなぁ。ああいう人、大好き。
Posted by ブクログ
父親の勤務先であるG国での休暇中にクーデターに巻き込まれた日本人家族の4人。密林を彷徨い『成人の儀式』に巻き込まれる子供たちと、密林へと消えた子供たちを探すべく奔走する大人たち。
・・・
下巻では『成人の儀式』の描写が中心。
マヤ文化の再興や伝統行事へ、なぜか日本人が巻き込まれてしまうのはやや唐突に過ぎる感もあります。が、地下に構築された遺跡で繰り広げられる『儀式』を生き延びようとする主人公錬(れん)の心理描写は手に汗を握ってしまうほどで、自然と感情移入してしまいます。
そのほか、本冊では遺跡や古代文明というモチーフが強く感じられますが、恩田氏は本作以外でも『ネクロポリス』や『MAZE』で古代遺跡を描いており、こういうの好きなのかなあ、とちょっと思いを馳せました。まあ、確かに古代遺跡って私もロマンを感じてしまいますが。
そのほか、『儀式』のリーダーであるニコと東京で再会するのはまあちょっと陳腐なドラマな雰囲気になりますが、それはそれで予定調和的なハッピーエンドはほのぼのとしてよいものだと思います。
・・・
ということで全編通してスリルとサスペンスを感じられるエンターテイメント小説であると思います。瞠目するほどの感激や驚きは私にはありませんでしたが、恩田氏らしい味のある楽しい小説であったと思います。