あらすじ
友だちは何よりも大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのだろう。人と人との距離感覚をみがいて、上手に“つながり”を築けるようになるための本。「みんな仲良く」という理念、「私を丸ごと受け入れてくれる人がきっといる」という幻想の中に真の親しさは得られない。人間関係を根本から見直す、実用的社会学の本。
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社会学者である著者(故人)が、10年以上前に書いた本。
お笑い芸人の又吉直樹さんがTVで取り上げ話題に。
日本は、他の国と比較して、「友人重視志向」の傾向が突出して高いのだそうです。
自分自身を高めたい、成功したいなどの意識よりも、親友を得たい、色々な人と付き合い人間関係を豊かにしたいという意識が高いそう。
その一方で、友達が多いのに寂しい、恋人や家族との関係が上手くいかないと悩む人も多い。
様々な悩みや疑問のヒントが書かれています。
同じでなければならないのではなく、違いを受け入れること。
親しくなければならないのではなく、適度な距離で関わること。
完全な自由ではなく、適正なルールを共有すること。
当たり前だと思っていた思い込みを捨てることで、新しい心地よい人間関係を見つけられるかも。
元々は学生向けを想定して書かれていますが、大人にもオススメの本。
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Posted by ブクログ
全ての人間関係の悩みのヒントになる本であると感じた。
脅威にも歓びにもなりうる「他者」と並存していくことで人と人との距離感を見つめ直し、同質性だけに頼るのではなく異質性に向き合い「信頼できる他者」を見つけることが「生のあじわい」につながるのだと考える。
そのためには自分たちの情緒や論理の深度を深める「言葉」を用いて、自分と他者、自分と社会との関係を見つめ直していくことが必要である。
Posted by ブクログ
友だち幻想 菅野仁(かんのひとし)
・人が幸福を感じる2パターン
自己実現
→テストで良い成果、技術向上
他者との交流
→他者とのコミュニケーション
・学校で教えてくれないこと
私たちは異質の仲間とともに並存していかなければならないこと
→友達100人できるかなは幻想
→みんな仲良くは難しい
君たちには無限の可能性がある
→いくら頑張っても限界がある
Posted by ブクログ
100%分かり合える人はいない。
大人になったら気が合わない人とも関わらないといけない。
でも一定のルールを守った上で価値観の合わない人には踏み込まないことも大事。先生だからと言って生徒の人格に影響を与える必要はない。生徒の記憶に残る必要もない。
Posted by ブクログ
今、生きてうえで人との繋がり、交流は避けられないと思っている。だからこそ、悩みが尽きないと思い、読んでみた。
私自身、大学に入ってから人間関係が楽になったなと思ったのだが、それは”「同調圧力」からの解放"が理由だったのだと気づけた。
教員側もみんな仲良くを実現させようと努力しているからだと思う。
大人になるってどうなれば大人なのだろうか、年齢を重ねるだけで大人になれていないという気持ちがあった。
ここでは、一般的に言われる経済的自立と精神的自立のほかに人間関係の引き受け方の成熟度をあげていた。
親しさか敵意かという2択ではなく、態度保留という距離を置くのも選択肢として入れるの大切だなと。
樺沢先生も同じようなことを言っていたな。
人は自分を丸ごと100%受け入れてくれる人を求めがちな気がする。私も含めて。特に恋愛関係においては。
でも、あくまで他者でしかないからそんな人はいないってことに改めて気付かされた。
どうしても100%自分の価値観が共有できることを求めがちだけど、自分と違う価値観も楽しめるようになりたいと思った。
関係性の作り方のポイントとして、異質性の先にある種の親しさを味わっていくトレーニングが大切と書いてあって、私が意識したいと思っていたことが言語化されてて感動した。難しいけどね。
コミュニケーション阻害語って使いがちだなぁと感じた。ムカつくとか、ウザいとか…
細かいニュアンスの表現を阻害してしまいがちな言葉は使うのを慎もうと思う。あとは、ヤバいもそうかな。
ちょっと苦しい思いをして、本当の楽しさを実感することも大切って言っていた。
Posted by ブクログ
「自分をぜんぶ丸ごと受け入れてくれる」ということを、「絶対受容」という言葉で表したりしますが、絶対受容性を、人間はついつい求めがちなのです。
たとえば女の子なら、それは「王子様願望」のような形で現れますね。自分をすべて受け入れてくれて、どんなわがままでもニコニコ聞いてくれる王子様。でも王子様なんていないわけです。「だったら私は恋愛から降りる」ではなくて、王子様なんていないんだというところから、人を好きになることを始めるのが大切なのです。
男の子だったらやっぱり優しい母親のような存在でしょうか。子どもの頃のお母さんはやさしく何でも受け入れてくれて、自分のことを第一に配慮してくれる存在であることが多い。「自分がこうしたい」と思うことは、いつも先回りして準備してくれる。でも、そういうものを同世代の異性に求めても、「キモイ」の一言で片付けられてしまいそうだ。だから「二次元」の世界に逃げてしまう、ということなのでしょうか。
阻害語の代表的なものが、「ムカツク」と「うざい」という二つの言葉です。
この言葉は、このところ若者を中心にあっという間に定着してしまった感のある言葉です。「ムカツク」とか「うざい」というのはどういう言葉かというと、自分の中に少しでも不快感が生じたときに、そうした感情がすぐに言語化できる、非常に便利な言語的ツールなのです。
つまり、自分にとって少しでも異質だと感じたり、これは苦い感じだなと思ったときに、すぐさま「おれは不快だ」と表現して、異質なものと折り合おうとする意欲を即座に遮断してしまう言葉です。しかもそれは、他者に対しての攻撃の言葉としても使えます。「おれはこいつが気に入らない、嫌いだ」ということを根拠もなく感情のままに言えるということです。ふつうは「嫌いだ」と言うときには、「こう言う理由で」という根拠を添えなければなりませんが、「うざい」の一言で済んでしまうわけです。自分にとって異質なものに対して端的な拒否をすぐ表明できる、安易で便利な言語的ツールなわけですね。