あらすじ
第二次大戦後の世界は、かつてない急激な変化を経験した。この六〇年を考える際、民主制と市場経済が重要なキーワードとなることは誰もが認めるところであろう。本書では、「市場化」を軸にこの半世紀を概観する。経済の政治化、グローバリゼーションの進行、所得分配の変容、世界的な統治機構の関与、そして「自由」と「平等」の相剋-市場システムがもたらした歴史的変化の本質とは何かを明らかにする。
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Posted by ブクログ
-20090731
自由と平等の視点から、と副題。第2次大戦後の60年はかつてない急激な変化を経験した。そのKeywordは民主制と市場経済。本書では「市場化」を軸にこの半世紀を概観、経済の政治化、Globalizationの進行、所得分配の変容、世界的な統治機構の関与、そして自由と平等の相剋―市場Systemがもたらした歴史的変化の本質とは何か。
Posted by ブクログ
問題を未然に防ぐことが出来ない、発生してしまった問題を解決できないという点において、経済学には大きな疑念がある。
前者はバブル、後者は氷河期問題やアベノミクスのトリクルダウンが代表的である。
起こってしまったことを説明できても、解決することはできない学問を実学として扱ってよいのか。説明は後知恵なので、無責任になんとでもいえる。解釈次第で変わる。文学となにが違うというのか。
本書は経済学が経済史になしえたことを語っていない。失敗例としてマルクスとケインズを少し取り上げるのみ。
1929年の世界恐慌と2007年のサブプライム問題を比較して、経済学は成長したなどと著者は評しているが、発生を防ぐことは出来なかったし、派生した問題を根本的に解決することも出来なかった。評する態度としても、自らが取り扱う経済という題材に対して他人事すぎる。
経済学がやっていることは自然の観察と変わらず、唱える説は非常に限定的かつ根本的な誤りが含まれているモデルによるものだ。実社会に適用するにはあまりにも幼い理論だという印象が拭い得ない。
本書は戦後の世界経済史を語るもので、俯瞰して読める点はありがたい。世界経済を知ると、開国以降の日本はなんだかんだいってもうまくやってきたのだと思わざるを得ない。世界に散見される独裁者国家や社会主義国家の様をみればなおさらに。WW2の見方も変わった。
しかし、前述のように語られていないと感じられるものがあり、その理由が不明のため、鵜呑みには出来ないという懸念がある。
環境問題に対して慎重な態度を取っていることは好ましいとしても、経済学というものに抱かされてしまった不信感を払拭できるほどのものではない。
p.72 第二章第1節 新しい秩序の模索
IMFの設立理由と役割を果たしたという論とその根拠が示されている。
p.207 "第二次世界大戦中、アフリカをはじめ列強の統治下にあった国々では、多くの人々が海外の戦争に徴兵され兵器産業をはじめとする戦争関連の工業労働者として徴用されていた。戦争が終わるとこうしたアフリカ兵たちは帰還して失業したにもかかわらず、社会保障制度の保護を受けることができなかった。この不満とナショナリズムが結び付いた。"
ブリカスの罪、とどまるところをしらず。世界史を知れば知るほど。
p.309 "(ベネズエラ)政府が一九七六年に石油産業を国有化して以来、石油産業の雇用と所得は急増したが、原油産出量は大きく低下した。"
現象は書かれているが、因果関係が書かれていない。過去の事例を分析しているのだから、そこを書かないと話にならないのでは。
p.321 " 一九六〇年代初頭、オランダの経済学者ヤン・ティンベルゲンは、「共産主義経済と自由経済は収斂パターンを示すか」という論文を書き、その肯定的な結論は広く専門家たちの注目を集めた。ティンベルゲンは後にノーベル経済学賞を受けるほどの立派な業績を残した経済学者であったが、彼の「収斂理論」に対して歴史は一応、逆の裁断を下したといえる。"
この発言は「ノーベル経済学賞」の素性を知っていてのことだろうか。一読して素かアイロニーかと疑ったが、写経してみるとジェラシーの匂いがする。してみれば、素性を疑っていなかったか、疑うことを許されなかったか。権威がそれしかないがゆえに。
Posted by ブクログ
この1年で出た経済本の中ではかなり新自由主義に寛容な立場と受け止めた。「貪欲を批判するだけでは始まらない」と。それはそうかもしれないが、だからといって、貪欲を批判しなくてよいことにはならないだろう。それにしても、の貪欲さを見せ付けられるとどうにも説得力が無い。