あらすじ
あるウイルスの抗体を持つ者が、絶望を感じることで死に至る「HBD」。日本政府はこの現象を利用した殺人を取り締まる法律制定を目指していた。新人の一ノ瀬美羽は、国の委託でHBDと疑われる事件を追う調査鑑別室に配属される。嬉しいニュースの発表中に倒れた女性。ショッピングモールで急死した独居老人。いじめを受けていた男子中学生――死の謎を巡り、人の尊厳を守るために働く人々を活写した傑作エンタメ、誕生!
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Posted by ブクログ
「絶望で、人は死ぬ。」
この言葉が、決して絵空事には思えなくなる1冊。
あるウイルスの抗体を持つ人は、深い絶望を感じると死に至る――。
“HBD”という衝撃的な現象が引き起こされるという設定に惹き込まれ、ページをめくる手が止まらなかった。
亡くなった人は、何に絶望したのか。
その死は事件なのか。
それとも避けられないものだったのか。
調査鑑別室は、亡くなった人の”最後の絶望”を追い、犯罪性の有無を見極めていく部署だ。
読み進めるほどに感じたのは、
「悲しみで人は死ぬ」という言葉は、決して大げさではないということ。
それでも、誰かの心を100%理解することなんてできない。
理解したつもりになることこそ、いちばんの傲慢なのかもしれない。
ミステリーとして面白いのはもちろん、人の心の脆さや尊厳についても深く考えさせられる作品だった。
ぜひシリーズ化してほしい。
もっとこの世界を、この調査鑑別室の人たちを見届けたいと思える作品でした。
Posted by ブクログ
人間関係がより複雑になっていって、自分の言動が相手にどのような影響を与えるか、わかりづらくなる世の中において、いかに人と関わるかということがきっとテーマなんだろうと思う。
それをよりくっきりとうかびあがらせるための設定として、「絶望するとショック死させるウィルス」をおくというのは面白いアイディアでした。
ただひとつひとつのお話自体は、それほど目新しくなくて、こういう感じだろうなあと予想されてしまう。
悪く深読みすると、一作一作まったく新しい新作を書くよりも、連作のミステリーにしておけば、書くのも楽だし、売れ行きも安定するし、みたいな出版社のアドバイスはあったかもしれないとは思ってしまう。最近はまって読んでいる岩井圭也にもそんな感じがあるし。