【感想・ネタバレ】無花果の実のなるころにのレビュー

あらすじ

お蔦さんは僕のおばあちゃんだ。もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、神楽坂・本多横町で履物店を営んでいる。気が強くて面倒くさがりなのに、何かと人に頼られる人気者のお蔦さんと、中学生の僕はふたりで暮らしている。幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、ご近所衆が振り込め詐欺に遭ったり、ふたり暮らしの日々はいつも騒がしい。神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決していく! あつい人情と神楽坂の魅力があふれる6編を収録した連作ミステリ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

202503/平積みにひかれシリーズ4作まとめて。西條奈加先生の時代小説は読むけど、こういう現代物語は初。登場人物達は個性的・魅力的で、人気シリーズなのが納得。事件パートは、都合良すぎたりリアリティがなかったり、理由や原因が納得も共感もしがたいものであったりで自分には微妙に思えたけど、ジュブナイルとしてならアリかも。子供にはヘヴィな大人の事情や人間関係等が容赦なく、きれいごとで終わらせないのは西條作品っぽい。望の彼女が親戚というのはちょっと嫌悪感。物語上では後から親戚だと知ったとはいえ、わざわざ親戚設定にしなくてもと思ってしまう…。創作につっこむのはヤボだけど、警察含め周囲の人達が頼りにしているとはいえ一般人のお蔦さんになんでもほいほい話したり、登場人物達の倫理観が自分とあわなかったり、スッキリしないとこも多いけど、面白く読めたので以降もチェックしようと思う。

お蔦さんの神楽坂日記 シリーズ
1)無花果の実のなるころに
2)いつもが消えた日
3)みやこさわぎ
4)よろずを引くもの

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もう少しひとりひとりの
人物像の輪郭が明瞭だといいのですが。

あとは神楽坂ならではの
神楽坂だからこその空気感などが
肌で感じられたらもっといいのですが。

日常ミステリーではなく
犯罪がらみが多い割には
その事件解決までが
拙速すぎるようにも思いました。

でもノゾミちゃんが作るお料理が
読む楽しみを増幅してくれたので
物語世界に入り込むことまでは
できませんでしたがそこそこ楽しめました。

西條奈加さんの作品
もう少し読んでみようと思います。

0
2018年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 元女優であり,元芸者である粋な「お蔦さん」という老女を探偵役に据えた連作ミステリ短篇集。狂言回し的な位置付けで,中学生の滝本望という少年が用意されている。物語の舞台は,東京の神楽坂。望の両親が,父の仕事の都合で北海道に転勤しており,神楽坂には望と祖母であるお蔦さんが残っているという設定である。
 滝本家は,代々男性が料理をするという家柄であり,中学生でありながら望は,かなりの料理の腕前であるという設定。設定だけ見ると,かなり特殊な作品である。日常の謎系のミステリだが,ややブラックなテイストに仕上がっているのも特徴の一つ。個々の物語は緩やかにつながっており,滝本望が恋心をいだく石井楓という少女を巡るストーリーが展開する。ブラックなテイストは好みなのだが,個々の作品のミステリとしてのデキはそれほど高水準ではない。ミステリというより,主人公の「お蔦さん」を含む,犯罪絡みの物語を楽しむという雰囲気の作品。評価としては★3かな。個々の作品の所感は以下のとおり

○ 罪かぶりの夜
 中学生が,恋愛感情を抱いている相手のために,犯罪者になろうとする話。というか,恋心を抱いている相手を利用して犯罪者にさせようとする話。ブラックなテイストの作品で読後感の悪さはなかなかのもの。

○ 蝉の赤
 学園祭で展示されていた絵画が破損するという謎を解明する作品。ダミーの解決では犯人がカラス。真相は挫折していた画家が破損させたというもの。凡作。

○ 無花果の実のなるころに
 振り込め詐欺がテーマの作品。孫だと思っていた人物が振り込め詐欺の犯人というなかなかブラックな読後感の作品。実は犯人はいい人だったのかも…という救いはあるが…。

○ 酸っぱい遺産
 お蔦さんが,芸者時代の客の遺言により,株式を相続するという作品。相続人から相続放棄をするように言われるが…。相続をめぐる人間関係のドロドロが描かれており,やはりテイストはかなりブラック。創業者のじいさんに似た相続人を同族会社から追い出し,裸一貫から会社を興すように仕向けたという話。ミステリとしての謎は皆無だが,お蔦さんの人柄がよく描かれている良作。

○ 果てしのない嘘
 滝本望が恋心をいだく石井楓という少女をめぐる話。石井楓の母が,望の同級生である小坂翠の父親と不倫をしたことがあり,小坂翠の父親を恐喝しようとしていたという話。滝本望と石井楓の父である乾蝉丸という画家が,真相を楓と翠に隠すという嘘を突き通すことを選ぶ。これもダークな話。

○ シナガワ戦争
 中学生同士の喧嘩の話。全くミステリ的な要素はない。凡作。

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2016年08月04日

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