【感想・ネタバレ】自選 谷川俊太郎詩集のレビュー

あらすじ

デビュー以来、半世紀を超えて人々に喜びと感動をあたえてきた谷川俊太郎(1931─)の二千数百篇におよぶ全詩から、作者自身が厳選した173篇を収録。子どもが読んで楽しめることばあそびから引用文だけで構成された実験的な長編詩まで、さまざまな文体で書き分けられたリズム感あふれることばの宇宙を俯瞰する。(解説=山田馨)

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朗読会に参加し、代わりばんこに声に出して気になった部分を朗読し合った。

元祖言語化が集まった詩集で、人に読んでもらっている時は沁み、自分が読んでいるときは平仮名だけ、漢字混在と読みやすさ読みにくさに苦労しながら谷川俊太郎さんが見た世界観を体感できた。

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2025年08月17日

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戦後日本を代表する詩人は誰かと問われたならば、多くの人がこの人の名を挙げるであろう。1952年に最初の詩集『二十億光年の孤独』が出てから、昨年(2024年)11月に92歳で亡くなるまで、谷川俊太郎は常に第一線で表現活動に携わってきた。その言葉は、わかりやすく直接的であり、老若男女すべての人に訴えかける魅力にあふれている。庶民的と言っていいのかもしれない。音と戯れる心を大切にし、いたずらに深刻にならず、ひらがなで子供向けの詩をたくさん書いた。それは「大人」にとっても素晴らしく楽しい作品であった。

ありとあらゆる相当な数の作品を残しているが、この詩集は作者自身がその全キャリアを振り返って選び、岩波文庫という「殿堂」から出版された(2013年刊)。おそらく今後末永く読まれ続ける本となるだろう。今年(2025年)5月にはNHKの番組「100分で名著」でも取り上げられている。

「いろは練習」より

い 今も一生のうち
ろ 碌でなし老子を語る
は 刷毛で禿をぬる
に 似てるが憎い
ほ 佛は放っとけ
へ 屁は減らぬ
と 時計に時を盗まれる
……


「ごちそうさま」

おとうさんをたべちゃった
はなのさきっちょ
こりこりかじって
めんたまを
つるってすって
ほっぺたも
むしゃむしゃたべて
あしのほねはごりごりかんで
おとうさんおいしかったよ
おとうさんあした
わたしのうんちになるの
うれしい?


「そして」

夏になれば
また
蝉が鳴く

花火が
記憶の中で
フリーズしている

遠い国は
おぼろだが
宇宙は鼻の先

なんという恩寵
人は
死ねる

そしてという
接続詞だけを
残して

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2025年08月01日

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詩の一編一編を、速度を変えて3回ずつ読み返してみた。詩の中に紡がれる言葉に、心地良さを感じたり、深い闇を感じる言葉に共感したりと、まるで自分の生きてきた、人生そのものを言葉となって表された、言葉の自分史の宝庫のような錯覚を覚えた。独り孤島で暮らすとなったら、持っていきたい1冊の本を選ぶとすれば、今の自分には、間違いなく、この詩集を選ぶだろう。また数年後に、読み返した時に感じる、今とは別な自分の感情に出会えるのを楽しみにとっておきたいと思う。

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2025年07月18日

購入済み

言わずもがな谷川俊太郎さんの詩集です。現代詩の分野に大きな足跡を残されている方です。
子供のころ学校で読んだ谷川俊太郎の詩、当時は当時なりの理解の仕方をして、それなりに記憶に残っていたけれど大人になってから読み直すとまた違った目で読める。人生経験を積んだゆえに視野が広くなったのか、あるいは狭くなったのか。
日本語の音の面白さを活用しながら書かれているなと、思います。

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2024年08月17日

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ネタバレ

一気に読むのはあまりにももったいないので、毎日ちょっとずつちょっとずつ、ゆっくり読んでいった。
好きな詩がいっぱいありすぎる。とにかく詩から広がる世界が豊かで、胸も頭もからだも全部いっぱいになってしまう。こんな風に日本語を使えるなんてすごすぎる。いったいどうやったら「万有引力とはひき合う孤独の力である」なんて出てくるんだろうな。代名詞みたいな詩だけど、やっぱり一番好きかも。でもあれも、これもとなってどうしようもない。好き。

世界に、人にそそぐ眼差しが温かいというよりは、つめたく澄んでいる。みじかい言葉に、まるごとの世界への想起を引き出す強い力がある。

「生きようとするものを岸の方へいざないながら
ひとの中に潮が満ちる ひとの中に海がある
月の呼び 月のめぐるまま ひとの中に終らない暦がある」

読んでいるといつの間にか大きな宇宙に独りで浮かんでいるような気持ちになる。身がちぎれそうな孤独と、世界の美しさがしみてくる。

また折々に読んでいきたいと思う。

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2020年09月19日

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ネタバレ

日本の現代の詩人で、一番有名な方(たぶん)の自選の選集だけあって、言葉の宝石箱のようなすばらしい詩集でした。(こんな使い古された表現しかできないのが、もどかしいです)
もう、おなかがいっぱいで、たいへんでした。
全部読んでしまうのが、とてももったいなかったです。
特に気に入った詩に、付箋をつけていったら、付箋でいっぱいになってしまったので、その中から、かなり減らして、今の私が好きな詩だけを数編だけ選びました。
私の感想なんて、とてもつけられないほど、すばらしい詩ばかりでした。
好きだったもの。
「悲しみは」
「くりかえす」
「ほほえみの意味」
「そっとうた」
「あなた」
「陽炎」
「ぱん」
「足し算と引き算」
「十二月」
「願い」
「できたら」
次に読み返すときは、また違うものがよいと思うかもしれませんが。

巻末の山田馨さんの解説も、谷川さんの私生活などが、垣間見られて、興味深い内容でした。

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2018年12月13日

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谷川俊太郎さんの詩は日常の景色を特別な素晴らしいものに変えて、わたしを退屈という監獄から解放してくれました。

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2016年09月25日

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初めて、詩集というものを購入した。詩は小学生の時にそこに書かれている真意が読み込めなくて苦手だった。そのイメージが拭えなくて今まで手に取らなかった。前回、マーシャル・ブラウンの本を読んでみて、年を重ねて、文章に対する解釈や感覚が変わっていたことに気づき、読んでみると面白い。そして、何より自由だった。

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2015年11月28日

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駅前の書店で購入しました。
(2014年3月14日)

読み始めました。
(2014年3月16日)

ああ、これは親しくしていた詩だ、
というのに、再会します。
(2014年3月27日)

1985年以降の作品が好きです。
2000年以降のは、もっと好きです。
(2015年2月10日)

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2015年02月10日

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谷川俊太郎の詩集の中から作者自身がベストを選んだもの。この年になって読む詩はなかなか味わいがある。気がする。

「僕は創る」

「空」

「二十億年の孤独」

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2014年01月01日

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買ってよかった。マイバイブル!
谷川氏の朝関連の詩が大好き。美しい。
文字を書くことを仕事とする人のなかで一番好き。小1の時から、ずっと!

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2016年01月28日

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「さよならは仮のことば」
さよならは仮のことば 思い出よりも記憶よりも深く
ぼくらをむすんでいるものがある それを探さなくてもいい信じさえすれば

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2025年11月27日

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某所読書会課題図書: あまりにも多くの作品があるので、自分の人生の中での節目の年にどのような詩が作られていたかを辿ってみて次の作品を選んだ.小学1年生・1954年『生きる』1956年、中学1年生・1960年『悲しみは』1960年、高校1年生・1963年『除名』1964年、大学1年生・1966年『乞食』1968年、社会人1年生・1970年『平和』1971年、結婚・1977年、長男誕生1978年『帰郷』1979年、長女誕生・1981年『ほっとけ』1981年、次女誕生・1985年『たんぽぽのはなのさくたびに』1985年、退職・2010年『生まれたよぼく』2009年.特に『ほっとけ』の言葉の選択とリズムが面白かった.『ほっとけ」
いけはほっとけ こけははっとけ たけはきっとけ おけはおいとけ
つけはほっとけ ふけはとっとけ はけはほしとけ かけはまけとけ
ごけはほっとけ みけはかっとけ さけはさけとけ やけはやめとけ

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2025年04月23日

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谷川俊太郎さんの詩でお勧めを各自持ち寄り紹介するという、次回の読書会。

谷川俊太郎さんの詩はいくつか有名なものをちらりほらりと知ってるぐらいで、もちろん詩集も持っていない。

と、いうことで先日、最近お気に入りの本屋さんで購入したこちら、
「自選 谷川俊太郎詩集」から吟味する。

2013年刊行のこちら、デビュー作から2012年までの詩集から、谷川さんご自身が選んだ詩が173篇入っている。

古いものから新しいものへ順番に掲載されているのだが、驚いたのは作品がまとう雰囲気や質感のバリエーション。

どちらかと言えば、
子ども向けの優しい眼差しで、
ちょっと笑ってしまうような、
もしくはきらきら瞬い明日へと前を向けるような、
カラリと晴れ渡る清々しさのあるような…、そんな明るい雰囲気の詩人だと思っていたんだが、
得体の知れないゾワゾワさせる怖い面、じめっとした陰気な雰囲気や問答無用の理不尽さを感じさせる作品もたくさんあって、その振れ幅の大きさにクラクラする。

そうは言っても、わたしの感受性では、

意味が全然わからない…。
目が滑って内容が入ってこない…。

っていう作品も正直たくさんあった。

読書会で紹介するんだから、エッジの効いたやつ選びたい!

…なんて、しょうもないモチベーションで読んでいると、やはりなかなか入ってこないのかもしれない。
とりあえず、読書会までにもう一周しよ。

さて、これを本として読んだ時、通読して一番面白かったのは、山田馨さんの解説と、1931年から2013年までの谷川俊太郎年譜。

その詩は知っていても、谷川俊太郎さんご本人のことは昨年の訃報を聞いてからもちゃんと調べたことがなかった。

戦前生まれの方だし、やはりご本人にドラマがあるので、ここを読んだ上でもう一度、その時々の詩に戻るのは絶対に面白いだろう。

周辺知識のフレームワークありきでしか芸術を解せないのはわたしの弱点だけど、そもそも、詩にせよ絵画にせよ音楽にせよ、いや、小説や映画でさえ、作品そのものだけから何かを感じ取るということは稀なのではないか?
周辺知識がなくとも作品そのものから圧倒されるなんてこともあるだろうが、最終的にはその作品を創り上げた人に興味がわいてしまうのは、ホモサピエンスの性なのでは?

そんなことを考えつつ、次こそ素直にお気に入りの詩、好きな詩を見つけようともくろむ2周目。
初読よりもっと楽しい読書になりそうだ。

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2025年02月20日

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なんだかわからない詩もありましたが、
「歩く」という詩は、滲みました。私が散歩が好きなせいかもしれませんが。
谷川さんは、スヌーピーのコミックの翻訳でよく知ってましたが、お亡くなりになり、とても残念でなりませんが、偉大な方でしたね。

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2025年01月21日

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ゆっくり読む。自分のペースでゆっくり読む本。
分からなくても先を急がない。分かろうとはしないことが大切だということを教えてくれる本。

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2023年06月01日

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【1回目】一般的に、「詩集」とはどのようにつき合えばいいのだろうか。ひとまず、気に入った部分に傍線を引いたり、ブログやノートに転記したりしていた。できれば、それらは身について、日常の糧としたいところではあるが、ちょっとむずかしそうである。折に触れて開きたい一冊ではある。

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2021年07月23日

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全く詩に明るいわけでもない自分がレビューもおこがましい気もしますが。。。
言葉や世界の捕まえ方でハッとさせられることがたくさんある本でした。
歳を取るに従ってだんだんとそういう世界の眺め方が一定方向だけに固定されたり狭まっていってしまう感覚があり、そんな中でとても刺激になりました。
願わくばいつも世界を新しい目で眺められたらです!

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2020年07月11日

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ネタバレ

強い。
すんなりイミが入ってこなくても、繰り返し繰り返し読むと何かが入ってくる。
研ぎ澄まされた言葉たち。

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2018年07月17日

Posted by ブクログ

谷川俊太郎さんの詩は読んできたが、実を言うともう一つの感があった。「自選」ということで、期待を込めて手にしたこの本。今回、この本を読んで初めて、谷川さんを「感じ」た。
30篇ほど気に入ったのがあったが、長いものは避けて、短いものだけをアップ。

〈詩集から〉

なんにもいらない ばあさま

なんにもいらない ばあさまがいた
いえはいらぬと ちかどうぐらし
きものはいらぬと ふゆでもはだか
かねもいらぬと まんびきばかり
じぶんもいらぬと あっさりしんで
しぬのもいらぬと またいきかえる



にじ

わたしは めをつむる
なのに あめのおとがする
わたしは みみをふさぐ
なのに ばらがにおう

わたしはいきをとめる
なのに ときはすぎてゆく
わたしはじっとうごかない
なのに ちきゅうはまわってる

わたしが いなくなっても
もうひとりのこが あそんでる
わたしが いなくなっても
きっとそらににじがたつ



ごちそうさま

おとうさんをたべちゃった
はなのさきっちょ
こりこりかじって
めんたまを
つるってすって
ほっぺも
むしゃむしゃたべて
あしのほねは
ごりごりかんで
おとうさんおいしかったよ
おとうさんあした
わたしのうんちになるの
うれしい?




ひこうき

ひこうきの つばさ
ナイフみたいだ
ごめんね そら
いたいだろう

でも がまんして
おとさないで
あかちゃんも
のっているから




おばあちゃんとひろこ

しんだらもうどこにもいかない
いつもひろこのそばにいるよ
と おばあちゃんがいいました
しんだらもうこしもいたくないし
めだっていまよりよくみえる

やめてよえんぎでもない
と おかあさんがいいました
こどもがこわがりますよ
と おとうさんがいいました
でもわたしはこわくはありません
わたしはおばあちゃんがだいすき
そらやくもやおひさまとおなじくらい
おばあちゃん てんごくにいかないで
しんでもこのうちにいて
ときどきわたしのゆめにでてきて

おっけーとおばあちゃんはいいました
そしてわたしとゆびきりしました
きょうはすごくいいてんき
とおくにうみがきらきらかがやいて
わたしはおばあちゃんがだいすき

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2017年07月17日

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昨日、家内とゆめタウン広島店に買い物に行った際、
岩波文庫の新刊を買いもとめました。
私の大好きな谷川俊太郎が自選した詩集で、
この1月16日発刊となっています。
この岩波文庫といえば物故者がほとんどで、
現在活躍されている方の作品の発行は
珍しいのではないでしょうか?

おばあちゃんとひろこ

んだらもうどこにもいかない
いつもひろこのそばにいるよ
と おばあちゃんはいいました
しんだらもうこしもいたくないし
めだっていまよりよくみえる

やめてよえんぎでもない
と おかあさんがいいました
こどもがこわがりますよ
と おとうさんがいいました
でもわたしはこわくありません

わたしはおばあちゃんがだいすき
そらやくもやひさまとおなじくらい
おばあちゃん てんごくにいかないで
しんでもこのうちにいて
ときどきわたしのゆめにでてきて

おっけーとおばあちゃんはいいました
そしてわたしとゆびきりしました
きょうはすごくいいてんき
とおくにうみがきらきらかがやいて
わたしはおばあちゃんがだいすき

見晴らしの良い縁側で家族四人が暖かい日差しを
あびながらくつろいでいる。
目に見えるようですね~
(※横書きで申し訳ございません)

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2024年09月29日

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多作の詩人。
これだけの詩を紡ぎだす、その才能が、とても素晴らしい。
なかなか、選もよくて、谷川俊太郎を知るには、
とても良い仕上がりだと感じた。

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2013年09月15日

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本当にいろいろな詩がある。自然に対する態度、ものの存在を見る目がすごいと思わされる。谷川俊太郎の詩集がもっと欲しくなった。

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2013年08月20日

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谷川さんの訃報を聞いた日に購入。
詩集って難しい。もちろん全部をわかる必要はないんだろうけど半分以上は???。でも一冊通して心に沁みるようなものが一つでもあればきっとそれでいいんだろうね。
付箋だらけになりました。

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2024年11月26日

Posted by ブクログ

谷川俊太郎さんの翻訳している絵本は当たりだらけなので、価値観に共感できると信じていました。しかし、私の詩への感度が低すぎて正直どれもよくわかりませんでした。
全体的に「死」を扱った詩が多いなという印象と、時々印象に残る表現がでてくるな、と思う。
初心者だとこんなところでしょうか。

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2024年08月25日

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心に残った詩は、只。
お金のかかるものと、ただで手に入るものを列挙しています。
ただで手に入れられるものこそ、本当に大事にしたいと思いました。真の愛。本当の友人。深い思想。
ただだけれど、手にするのはとても難しいと思っています。

最後のことば「のはずだけど」に作者の思いが読み取れました。

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2018年11月18日

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心の詩D、が印象に残りました。

「私は心の手で触れることができる
魂のマチエールを求める」

マチエールは仏語でmatière, 材質や質感のことなのですが、詩作には直接魂が震えるような体験が必要,
ということなのでしょうか。

それはおそらく特別な体験ということではなく、詩人の感じ方、自身の心の膜を通して見たときの世界の在り方、ということなのかもしれません。

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2018年11月11日

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初読。唐突に何となく詩を読みたいと思ったので買った。読むまですっかり忘れてたけど「かっぱ」は昔読んでた。あの響きで思い出した。「空」「色」「にじ」「ポラロイドカメラ」「ケトルドラム奏者」「ひも また」このあたりが個人的にはすき。

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2015年06月18日

Posted by ブクログ

情景が心に浮かぶような、
柔らかな、時に鋭い言葉の数々が紹介されています。
子どもの頃のやわらかな気持ちを、空気の匂いを思い出すような、感じです。

たいへん読み応えのある詩集でした。

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2014年06月09日

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