あらすじ
東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。あの子さえいなければ。私さえいなければ…。凄みある筆致であぶりだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。衝撃の母子小説。
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Posted by ブクログ
面白かった〜!!徐々に5人の関係性が壊れていく感じがとてもゾクゾクしました。そのゾクゾクが朝比奈さんの解説で的確に言語化されていたのがすごくよかったです。
最終章の手前の章は、読み始めた時は特定の誰かを指しているのかと思っていましたが読み進めるうちにそうでないことに気づいてうわ〜〜ってなりました^^
解説の『描かれなさこそがこの世界における「母親」の存在の仕方であり』の部分が特に印象に残りました。
Posted by ブクログ
何故自分の夫を頼らない?とか。
子供のお受験で家庭崩壊させてどうすんの?とか。
いろいろ思うことはあるけど……めっちゃ面白かったんだよね。
ママ友同士でここまで拗れるかってくらい悪い方へ転がっていく。
最初らへんは微笑ましい気持ちで読めたのに、中盤以降の展開は本当に怖い。
「ああもうこれは絶対にマズイ展開になるぞ…」という心のざわつき具合が半端じゃない。
嫌な汗が出そうなのに、彼女達の今後が気になって頁を捲る手も止まらなかった。
フィクションだと分かっていてもゾッとした。
それなのに、面白いと思ってしまうから戸惑う。
Posted by ブクログ
再読。1度目は怖すぎて細部まで読めなかった。角田光代さんはすごい作家。
最初はどんどん仲良くなっていく幼稚園のママ友達。みんなそれぞれ違っていて、それを楽しんでいたはずなのに後半堰を切ったように全て悪い方に転がっていく。
第6章の終わりの、「彼女は」で語られる部分は、モチーフの1999年の文京区幼女殺人事件を描いているのか。真っ先に浮かんだのは容子だが、瞳も千花も繭子もかおりも、みんな危うい。章の終わりに、「彼女」が手をかけようとした子どもと、「彼女」は森の中の真夏の公衆便所らしき場所で声を限りに泣き続ける。印象的なシーン。ものすごく怖い。
最終章で、それぞれの「その後」が描かれる。強迫性障害を発症し学校に行かなくなった衿香や、受験当日に嘔吐し受験に失敗した雄太が痛々しい。かおりと千花がそれぞれ子ども達に寄り添って歩こうとしているのが良かった。合格したのに瞳が一番危うい。容子も危うい。繭子は、まあ順当なところに落ち着いた。
Posted by ブクログ
1990年代の話で、少し今とは違うなと思うところがあったけど 根本的には同じで母親達の抱えているものは変わらないと思う。
私は所謂お受験 みたいな環境に身を置いていなかったので実感としてはないけれど、ママさん達の関わりだとか関係性みたいなところは、よくわかる。
学校のクラスメイトだったら、仲良くしてないグループの人でも母親になると 子供達との関わりでグループとして活動しなくてはならない なんて場面はよくあるし合わない人だって、そりゃいる。
いつだって人間関係は心を擦り減らす。
今の人たちはもう少しドライに関係性を築いているんだろうか。