あらすじ
会社役員刺殺事件を追う姫川玲子に、ガンテツこと勝俣警部補が15年前の事件を語り始める。刺された会社役員は薬害を蔓延させた元厚生官僚で、その息子もかつて殺害されていたというのだ。さらに、元刑事の倉田と姫川の元部下・葉山が関わった事案も、被害者は官僚――。バラバラに見えた事件が一つに繋がるとき、戦慄の真相が立ち現れる! シリーズ最大の問題作。
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Posted by ブクログ
勝俣ことガンテツがややメインの今作。
姫川玲子の登場が少なめなのでやや物足りない。
『シンメトリー』の倉田や部下の葉山も物語に関わっていて本当にパズルのピースがハマっていく感じ。
ネットが発展している今なら有り得ない話ではないなと思う。
特命班の西島、竹内、武田はキャストの西島秀俊、竹内結子、武田鉄矢から来てるのかな?
⚪登場人物
・未希
勝俣の一人娘。
・長塚淳
大手製薬会社「濱中薬品」の社員。何者かに襲われ失血死。
・長塚利一
淳の父。厚生省保健医療局長。後に労災施設事業団に天下る。
・ケイコ、森尾敬子
淳の彼女。淳と同じ東大卒。22歳。
・鈴木良江
家政婦。
・岩田
警部補。
・篠木忠晴、菊地憲二、住吉明
非加熱製剤が原因で死去。
・大友麻由
非加熱製剤による感染症をきっかけに自殺。
・大友慎治
57歳。一人娘の麻由を亡くす。淳殺害の容疑者。その後くも膜下出血で獄中死。
・志村晴彦
非加熱製剤によるウイルス感染に関わっていたため逮捕される。
・倉田修二
『シンメトリー』のすぎた正義で登場。息子の英樹が嶋田彩香を殺したあと嶋田彩香の父親に妻を殺される。吾妻照夫、大場武志を殺す。
・英樹
修二の息子。18歳。嶋田彩香を殺害した容疑で逮捕される。出所後自殺する。
・嶋田彩香
英樹の交際相手。
・嶋田勝也
彩香の父。修二の妻を殺害する。
・石澤琢斗
勝也が務める会社の社長の息子。
・野中紗枝子
34歳。旅行代理店勤務。松井の愛人。
・松井武弘
45歳。外務省経済局勤務。川上の痴漢騒動を計画する。
・井原基樹
37歳。争う声を聞き付けた通行人。
・タナカイチロウ
紗枝子への送金主。
・川上紀之
36歳。元新聞記者。痴漢を行い依願退職。野中紗枝子に強制わいせつで訴えられる。後に修二に松井の入院している病室を教えてもらい滅多刺しにして殺す。
・谷川千尋
大学生。
・谷川正継
千尋の祖父。辰夫に殴られる。一時期『年金のゴッドファーザー』などと呼ばれていた。厚生省の年金局年金課長を務めていた。今は社会福祉医療機構の理事長。後に自殺。
・堀井辰夫
三軒茶屋将棋サロンで正継と顔見知りになる。妻をてんかんの発作による溺死で亡くす、
・堀井隆仁
辰夫の息子。
・杉村
辰夫が当時務めていた工場の社長。
・ケンジ
・水島三郎
強行犯捜査係統括係長警部補。
・加納裕道
25歳。公平を刃物で切り付ける。
・中谷公平
70歳。元郵政省の官僚。
・岡田芳巳
元農林省。
・岡田晃一
芳巳の息子。妻に貴子。
・増谷
総務経理課。
・辰巳圭一
コンピュータ絡みの違法捜査を行う。
・高島平
圭一を殺す。
・安藤斗真 「新野」
辰巳圭一の代わり。
・イーリン
・志田昌之
長塚利一殺害の容疑者。
・辻内眞人
サイト管理者。
学習塾の講師。
Posted by ブクログ
”がんてつ”のスピンオフ小説かと思って読んだら第一話しか出てこない。相変わらず心の声が酷すぎるのが好きなキャラクターだけに残念だ、と思っていたら最終話でまた出てくる、刑事ものの人情短編集かと思いきや、ああ、これ一連の話だったんだってようやく気付く。
これら仕込みを終えて本編(最終話)に入る作り方はさすがだ、しっかり姫川もちょろちょろ出てくるし笑
日本の官僚の酷さは今に始まったことじゃないし、それを言い出すと太古から天皇、将軍の臣下なんて魑魅魍魎の世界だったんだから今更潔白執行なんてできるはずもないし、親から子へ、子から孫へ悪銭は受け継がれるし、神も仏もいないんだから悪行で罰が当たることもない、むしろ善人のほうが苦行を負わされ早死にするのが常なんだから。そんな憂いの中、国民のヒーローなるべく官僚殺し、ここでは天誅と言っておこうか笑、が登場したんじゃ国民も沸くわな、しかもそれが掲示板にターゲットとなるべく官僚の情報が克明に晒されているんだから殺りたい奴にとってはまさに神の啓示よろしくだ。そんな薄寒い情報社会を相手に刑事が奔走する様はかっこよくもあり滑稽でもある。そう、警察は常にヒーローではないからだ。地方公務員の警察官にはささやかな恩恵しか当たらないが、国家公務員の警察官は天下り、渡りが約束されている、そう官僚と同じだからむしろ守らねばならない、自分の未来のポストのためにも。そんな上司の下で働く警察官にいかほどの力があろうか?それを姫川、がんてつが活躍するからこのシリーズは痛快で面白い。しばらく姫川シリーズを寝かしていたけどまた読みたくなったな。
Posted by ブクログ
「ヴィンチェンツォ」っていう韓ドラで、悪は強力で正義は弱すぎる。だからこっちも悪で対抗するしかない、っていうのがあったけど、正にそんな世界線だった。でも恨みや憎しみは伝染する。やっぱりどこかで止めないと、っていう気もする。難しいね。倉田がどんどん深みにはまっていく様はなんだか哀しい。息子の英樹の話も哀しすぎた。◇この本で外務省のイメージがすごく悪くなった。真由が外務省勤めと聞いて、もしや他の人に感染させられたのでは...と勘違いしてしまった
Posted by ブクログ
姫川シリーズ
短編だけど、ガンテツ中心に繋がっていく。
倉田元刑事の描写、前作に軽く出てたね。
読み返すと、あ~そう言うことかぁ、ってなるね。
Posted by ブクログ
姫川シリーズのスピンオフ
一息つくのにちょうどいい作品
ただ登場人物が多く、貴方は何を抱えて…?となる
ガンテツ中心のストーリー
彼の傲慢な捜査態度はいかがなものかと思いつつも、本質を見抜くセンスや経験値は群を抜いていて面白い
薬にまつわる役所・会社の重要人物が被害者となる短編集
短編一つ一つで加害者・被害者の関係はしっかりと描かれていて、各被害者の個人情報の出処を最終章で解いている
恨み憎しみなんてものではなく、その時にとった行動の1つ。
本当に深い意味を持った行動ではなく、そうしてしまった程度のことが始まりだった。
報われるとは…。という気持ちになった
Posted by ブクログ
薬害問題・年金問題など現実の世界でも問題になっていることが軸になっており、ネットを用いて犯罪を誘発する所も現実的な展開。10年以上前の設定だが、ネットでの個人情報流出は今でも問題になることがあるので全く違和感なく入っていけた。各短編との繋がり方も申し分なく、どのような形の結末になるのか予想できすに進むのも良かった。
生活していると行政や役人が机上で決めたことに右往左往させられる。それが時に自分の人生をも変えてしまう可能性は誰しも持っている。その切り口が絶妙なバランスで1つのストーリーになっていたと思う。
最後に事件に疲れた勝俣に姫川が電話してくる行のやりとりで初めて勝俣に好感を持った。彼らは似た者同士なのですね。