あらすじ
鈴木高徳少将の息子・二郎は戦後、日本の出版社に勤めていた。
スイス銀行に秘匿されているという父の遺産20億ドルをめぐり、彼に次々と事件が……。
怪しい新興宗教!
零落した博覧強記の作家!
遺産狙いつきまとう男たち!
そしてすべての事件が解決した後、明らかになるのは……。
戦後ミステリ界の鬼才がワーグナー『ニーベルングの指環』に材をとった、
破格の構成が一読忘れがたい日本推理史上に残る大・怪・作!
〈解説〉新保博久
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Posted by ブクログ
第1部「天皇の密使」、第2部「神々の黄昏」。第1部は山本五十六の密命で、天皇家がスイス銀行に預けた資金をもとに、ドイツを拠点として秘密裡に軍事戦略物資を集める海軍軍人のインテリジェンスと、その物資と資金を横取りしようとするSS将校との対決が主旋律となる物語。第2部は、その軍人が残したとされる遺産と新興宗教教団内部の跡目争いが絡んでいく、という展開。最後の「エピローグ」で、第1部が作中の小説家による創作だったことが明かされて、2部にわたる物語世界自体が蜃気楼のように消え去っていくという展開は、三島の『豊饒の海』4部作を想起させる。
第2部はややまだるい感じがするが、第1部のSSとのインテリジェンス対決の物語は読みごたえがあった。山戸という謎めいたスパイのキャラクターも魅力的。ヨーロッパに於ける「8・15」を描いた小説という点でも記録しておきたい(それが作中作で「捏造」と語られてしまうので、これ単独で論じにくくなってしまったのが何とも残念だが)。