あらすじ
日本推理史上空前の奇想!
『獄門島』『点と線』と並ぶ「日本推理小説ベストスリー」(大内茂男)と称された伝奇超大作。
わたし(高木彬光)が入手した「鈴木文書」。
そこには大戦中に欧州で秘匿された闇資金の手がかりが……。
長年、著者の「裏ベストワン」として復刊を待望された代表作が、スピンオフ短篇「日本人とユダヤ人」を初めて併録した〈完全版〉としてついに登場。
〈解説〉中島河太郎
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Posted by ブクログ
高木彬光『帝国の死角 第一部 天皇の密使』中公文庫。
何十年振りかで読む高木彬光。
『獄門島』『点と線』と並ぶ日本推理小説ベストスリーと称された伝奇超大作というからには読まずにはいられない。
本作はスピンオフ短編『日本人とユダヤ人』を併録した完全版として復刊。
高木彬光が、元海軍少将の鈴木高徳の手記という『鈴木文書』を入手し、自決した一介の海軍少将の受けた誤解を解こうと、小説の形で手記を世に公開するといった形式の作品である。
読んで欲しいみれば、推理小説でも、戦争小説でもなく、戦時中のヨーロッパを舞台にした壮大なスケールの冒険小説であった。かつて、胡桃沢耕史が何作かこのような冒険小説を書いているが、その類いの冒険小説なのだ。この第一部で物語の主人公で『鈴木文書』の執筆者である鈴木高徳は生命を落とすのだが、果たして第二部ではどんな物語が待ち受けているのだろうか。
第二次世界大戦への突入は不可避というきな臭い雰囲気が漂う中、病み上がりの鈴木高徳少将は海軍の山本五十六中将から直々に呼び出され、ヨーロッパで重要軍需物資の調達を命ぜられる。調達にあたり、資金に不足が生ずれば、スイス銀行に預けてある皇室の秘密財産を流用しても良いという陛下の御言葉もあったと言う。そして、鈴木に任された秘密財産の額は二億ドルという途方もない金額だった。
鈴木は外務省一等書記官の水島直樹と大蔵省事務官の岡雄吉の2人を伴い、ベルリンへと向かう。さっそく、鈴木は軍需物資を入手するために各方面に働き掛けるが、戦争への突入が確実視される状況では困難を極めた。そんな時、鈴木はロシア人と日本人のハーフだが、生粋の日本人である山戸小太郎と出会う。鈴木が山戸に自分の任務を明かしたところ、大量の白金を始めとする軍需物資の買付けに成功する。
ドイツと日本は揃って戦争に突入し、次第に戦況が悪化していく中、鈴木はドイツ人未亡人のレマンと恋に落ちる。二人の間に男の子が産まれる。
鈴木は、何とか日本に白金を輸送しようとするが、激しい戦争が続く中では安全な輸送ルートを確保することが出来なかった。そんな中、鈴木が保有する白金に目を付けたナチスのクライスト大佐は白金をドイツに売却するよう働き掛ける。鈴木はそれを拒否すると、クライストは卑劣な手を使い、白金を奪おうとする。
本体価格1,300円
★★★★★