あらすじ
もしも自由に記憶を取り出すことに出来る社会だったら…
覚えておきたい想い出、忘れ去りたい記憶、あなたにはありますか?
「メモリーセーブキャンディー」…通称「MSC」と呼ばれるキャンディーのようなメディア。お値段、一つ10万円。
トラウマになった記憶を取り出したり、大事な想い出を保存できるこのサービスを取り扱うMSC社のミオの元に、今日も新しい顧客が尋ねてくる。
…たとえば、高校生の時、好きだった彼女に「童貞なの?」とバカにされたトラウマに苦しめられている大学生。
…たとえば、死を間近に控え、遺言をMSCにこめてドラ息子たちにいじわるをするおじいさん。
――彼らは、その果てに何を想い、何を見つめるのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
記憶を取り出すあめ玉の話で、それによって人の人生が動いていくお話。オムニバス形式で読みやすいし、いろいろ考えさせられる。どんなにつらい思い出でも、記憶を取り出さずに、それを乗り越えようとすることが人を強くするんだなと思える。そう書くと記憶の切り取りには意味がないように思えるが、他人の記憶を見て人が変わっていく描写もあり、これも面白い。黒いMSCの存在によって、これからどう変わるかが見物。