【感想・ネタバレ】聖書男(バイブルマン) 現代NYで「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記のレビュー

あらすじ

現代のニューヨークで「聖書の教え」を“文字通り”実践してみたら……

突飛な試みを1年間実践してみた非宗教的ユダヤ人の爆笑(?)体験日記。

聖書の本当の意味を捜し求めるため、
可能なかぎり聖書の言葉どおりに1年間暮らしてみた「不可知論者」の日記。
モーセの十戒のような有名な戒律だけでなく、
「罪人には石を投げよ」「生理中の女性に触れてはならない」「月の初めには角笛を吹きなさい」
といった教えをなんとか実行していく著者の1年間がおかしくも真摯に綴られる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

母上が以前読んでいて面白いわよ~と言っていたのを思い出して読んだ(母上は原書だったけど)。「未成年」の次にこれかよ、というのはあるけれど。
アメリカンなノリのネタ本かと思いきや、かなり勉強して真面目に真剣に聖書と向き合っているので非常に勉強にもなったし楽しめた。ベストセラー作家の牧師が自分の言葉を商標登録するのにむかついて「イエスやモーセがそんなことしただろうか。『もう一方のほおをも向けなさい』®とか、『わたしの民を去らせよ』™とか」と言うのは笑った。
月日が過ぎるにつれて精神的にも影響を受けているのがはっきりしてきてますます引き込まれる。引用されている書籍も面白そうなのが多くて、読みたい本が増えてしまって困るな。

いろんな信仰・信条を持つ団体に実際会った上に議論してくるのがすごい。ゲイの福音派とか、サマリア人とか、混紡を見分けるサービスとかそんな人たちもいるのか!という驚き。
「殴り合いの最中、相手の妻に大事なところをつかまれたら、その手を切り落とさなきゃいけない」あったな、そんな律法……などと懐かしくなる。今回の実験にはあまり関わりない内容だけど、雅歌が好きなので言及されてて嬉しかった。乳房は小鹿とかぶどうの房とか塔のようだとか言ったり、訳分からないけどおっぱい星人で素敵なのよね。
頭の中に「世俗的ジャーナリストのぼく」と「聖書的分身ヤコブ」がいるというの、なんかわかるな~と思ってしまう。きっとこの本に出てくる信仰者の人たちだってそのはずだ。主導権争いをする二つの頭、二組の目、二つの倫理基準。
創造論の受け取り方とか、「神を信じる」スタンスの話とか、同性愛への姿勢とか、
この本の中でもいろいろな考え方があって、いろんな人たちがいろんな聖書の読み方をしていろんなことを言うしやってる。ゲイのラビ(!)、グリーンバーグの話がとてもいいなと思った。聖書全体が神と人との関係を築くもの。当事者二人がつねに、相互に働きかけるもの。自分の行動を絶対、聖書のせいにしてはいけない。
それを受けて著者も「信仰心を理由に、選ぶ責任を放棄していいわけじゃない。聖書とがっぷり四つに組まなくちゃならない」と言うわけだけど、聖書を自分がどう受け取るか、どう現実に処理するか、それを神との相互コミュニケーションと位置付けるのは非常に面白い。確かに、そうなんだよな。私はこう読んで、こうします、という意思表示。
素直にもっと勉強しなくちゃと思った一冊。

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2019年12月07日

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