あらすじ
2024年、月の裏側で発見された頭部のない数十体の遺体。
それは、人類に大いなる変革をもたらす――
月の裏側で見つかった、首のない数十体の遺体〈ルナ・ボディ〉。各国の思惑渦巻くなか、中国のスパイ・楊張敏、タイの脳科学者ジャム、IT黎明期の実業家アレクサンダー・コーツ、車椅子の少女ミントの人生をも巻き込み、人類文明の運命は大きく変わっていく
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Posted by ブクログ
「星を継ぐもの」と「三体」に比肩する…という触れ込みだったので、両方読んだ身としてはこれは読んでおかねば…と書店で手に取って、うっ分厚い…!となる。
上は501ページ、下は558ページ。でも読みだすと早かった。
プロローグは2017年。チェンマイの寺でAIを使って株のトレードをする僧侶。もうこの時点でおもしろそうじゃないですか。そこに国立天文台から届く“門が開いた”というメッセージ。最期まで読んで戻ってくるとなかなかに深い言葉。
4人の登場人物まわりをメインに、それぞれの背景が丁寧に描かれる。4者4様のパートが、その先をもうちょっと読みたい!と思うようなところで切り替わるので、脳が刺激される感じ。うん。ドーパミンコントロールだね。
4者4様の魅力とは…
・ヂャンミン(NASA職員で中国共産党のスパイ) … 妻のイザベラはNASA職員で実はCIAのエージェント、娘はエルモに夢中の幼児エヴリン(能力は未知数)というスパイファミリーのパパ。いつエヴリンからパパと呼んでもらえるのか、それが本書の駆動力のひとつでもある(本当に) 二重スパイとして中国とアメリカの両方から、月でみつかった〈ルナボディ〉について問いただされる。その後も家族一緒だったり別行動したりしながらルナボディの真相に迫り、他の登場人物らに関わっていく糊のような存在。
・ジャム(タイの脳神経科学者でダイビングが趣味) … 2004年のスマトラ沖地震の津波で母を亡くしたことによるサバイバーズ・ギルトを抱え「死」の観察に魅せられた女性。日本のK大学の研究員として出会ったALSを発症した死刑囚の南井真一へ惹かれていく様子などは、社会派小説のようなほの暗い趣があって、スパイファミリーとの差に風邪ひきそうだった。でも好き。
・ミント(電動車椅子ユーザーのタイの少女でVTuberに夢中) … メタバース内のゲーム〈ディオマタス〉の実況をする人気VTuber〈地獄のベティちゃん〉に入れ込む少女。小6の課題をしているので12歳くらいかな。左側の手足が短く生まれたが、仮想空間のアバターを操作することで幻肢を感じるようになる。タイの少数民族モーケン族の少年ハルキという素敵なボーイフレンドがいて、彼はアメリカと中国の対立とルナボディの秘密に巻き込まれていく。ミントちゃんのパートはカラフルでポップで恋の甘酸っぱさでジューシーだ。
・コーツ(シカゴの成り上がり実業家で時の旅人) … 80年代のアメリカで頭角をあらわした実業家のひとり。顧問弁護士を従え、やり手の実業家らしい振る舞いが描かれるが、いまひとつどんな人間かつかめなかった。出生の逸話とか、アバターで入る電脳空間ではだれもがみな平等になれるとの考えや、高いところに上ると人はその位置エネルギーを開放したくなるとか、意識とは静止したデータではなく0から1との狭間に存在するとか、興味深い話をたくさんする。コーツのパートは海外SF的な雰囲気。言及のあるサイバーパンクの名作「ニューロマンサー」は読みたいと思ったまま未読なんだ…
この作品における「星を継ぐもの」的な部分の最大はもちろん「月で見つかるヒト的な何か」を解析するところ…だよね。中国の探査機が月面で発見した神秘小屋と名付けられた施設のなかに、透明なドームに入れられた数十体の座禅する人体的なものがあった。そのルナボディには頭部がない。なんて魅力的な謎!
「星を継ぐもの」と違うのは、この世界はあの、戦争を放棄した人類の世界ではなく、ほんの数年前のわたしの現実から分かれた世界なんだという事。スペースXもあるし、アルテミス計画もある。マインクラフトもあるし、コロナ渦も経ている。ロシアはウクライナに侵攻しているし、中国とアメリカは牽制しあっている。そんなところに、ルナボディが発見されるのだ。月面での対立で、すわ戦争か?みたいな危機もあったけど、そこはなんとかこらえて、ともかくルナボディとは何か…というところに注力される。2017年のオウムアムア(話題になっていたのに忘れてた…)とか、小学生の時に学級文庫で散々読んだキャトルミューテーションとか、ワクワクするネタが散りばめられていて、読むのが楽しかった。
それにしてもなぜルナボディには頭がないのか。……って、そんなこと考える???そして、やってしまうの???????!!!というところで前半が終わるのであった。思い返せばちゃんとヒントは散りばめられているのに、めちゃめちゃびっくりしたね。
後半は怒涛の展開が待っている。
Posted by ブクログ
プロローグ
中国の月面探査機が月の裏側で、ある構造物を発見する
その構造物の中には数十体の頭のない遺体が、坐禅を組んだような姿で配置されていた
果たして、これを造ったのはどこの国なのか!?
はたまた未知の生物が創り出したものなのか!?
今、空前絶後の扉が開かれようとしている
これは、SFなのかミステリーなのか!?
そして4人の登場人物の行方は!?
果たして人間のいや、地球の未来はどうなってしまうのか!!!
レビューは怒涛の下巻のその後で……
Posted by ブクログ
「星を継ぐもの」の系譜を感じて手に取りました。
4人の主人公の視点で進むので話のボリュームは大きくなるが、群像劇ものが好きなので「時代も国も違う人たちの話がどう繋がっていくんだろう」というワクワク感をもって読み進められた。あと「人の意識はどこにあるのか」みたいな哲学的なテーマがそれぞれの話の中に散りばめられてているところは好き。最後の展開は、割とテンション上がりました。下巻が楽しみ。
Posted by ブクログ
鳴り物入りの評判本を読み始めた。最初は3~4つのパートが好き勝手に動き出し、とっつきにくさを感じたが、それもわずかな間で、上巻の大半を占める第1部の半ばころからは有機的な繋がりのなか、こうくるかって感じの驚きだった。主に2030年の近未来設定で、ウクライナやトランプ政権の横暴が描かれるなど、現実の固有名詞が出てくるのでその点は好みが分かれそうだけど、なかなかのパワーを感じた。下巻でシェリー的なガジェットがどのような展開になるのか気になる。急がず読みます。
Posted by ブクログ
上巻は登場人物や状況を知っていく巻という感じで、ゆっくり話が進んでいる印象。時系列も多少前後するので、読んでいるこっちもゆっくり咀嚼していくような。
Posted by ブクログ
期待値を上げすぎたが故の評価になってしまって、粗探しをしてしまう人が多いのかと思う。
出版業界が衰退しているせいで過剰な帯書きの謳い文句に、実際の内容とのギャップを感じてしまい非常に勿体ないと思う作品です。
実際内容はとても良く出来ている上に、それなりの知識に基づいて書かれていたり、SFっぽさが十分に感じられる作品で私自身は楽しんで読めました。
月で見つかった首のない遺体、ルナボディが何者で一体何なのかという話自体はワクワクする。
4つの視点から展開される物語が、その真相にどう繋がるのかが興味深く、バックボーンを丁寧すぎるくらい説明している。
悪くいうとバックボーンの説明の長さがとてつもなくテンポ感を損ねているわけだが。
もう少し絞って、書きすぎない良さがあればなあと。
つまりは散らかりすぎて、まとまりがなく下巻にいくまでに諦める人が続出しそうだと感じた。
世界紛争やAIに加えて、人体実験に移植。
世界情勢のテーマ性もあるだけに、そこに特化して書けば良かったのでは?
Vtuberのくだりはそんなに深掘りしなくても良い気がしたのだが…
下巻も読んで最終的に判断したいのでひとまず期待値残して星3です。