あらすじ
定員割れ5割超、相次ぐ募集停止。
少子化の先に待つ「2035年の崖」は、
日本そのものを揺るがす。
大学は、地方から若者が消えるのを防ぐ「最後のダム」だった。
ダムが消えれば、街から若者と「未来」が消えていく。
だが――。
知られざる大学にこそ、若者を変える「学び」があった。
消えてはいけない大学はどこか。
そこでは諦めかけた学生たちが、
どのように自分の可能性を取り戻していくのか。
10年、200校以上を歩いた記者が、
現場取材とデータで描き出す、大学淘汰のリアルと日本の未来。
(目次)
第1章 2035年の崖―少子化で限界を迎える大学
第2章 何が大学を追い詰めているのか
第3章 潰してはいけない大学
第4章 大学がつなぐ地域の未来
第5章 学力以外の力を重視 変わる入試
第6章 偏差値神話を超えて―社会がつくる「成長できる大学」
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Posted by ブクログ
さすが朝日と言うべき高い眼線の大学論。現在の教育事情をこれだけ体系的かつコンパクトにまとめた本はない。ただしかっての朝日の重厚さや迫力はもう一つと思う。問題の本質に切り込めていない。
地方の大学の存続は、個々の大学の問題ではなく「地域の生き残り」に直結する。
それは大学に限らず、病院・交通・小売店などあらゆる所に通じる問題であり、
人口減少の中で日本が問われているものである。「人口減少に応じて社会を再設計する」痛みが伴うが故にこの問題に直視出来ないでいる。「撤退ルール」を決めないで、個別対応に任せていると社会全体は劣化し、自壊する。
1.大学入学者数は微増 減っていない
18歳人口は減少しているが、大学進学率のアップにより大学入学者数は減少していない。
特に、女性と地方の進学率には伸び代がある。
18歳人口 1990年200万人を超える 2010年120万人 2025年110万人 2035年100万人割れ「崖」
大学入学者 1990年49万人 2000年60万人 2025年65万人
女性短大→大学へ 15%→57% 男性33%→60%
大学数の増加 507校→812校 入学定員1.5倍へ
2.修学支援新制度「低所得世帯向け」2020年度より 予算8000億円
17年10月衆院選安倍政権が政策化 消費税増税5兆円の還元(8%→10%)
①給付型奨学金 年91万円支給
②授業料最大70万円肩代わり
⇨機関要件「制度の適用除外」運用により「定員割れ大学への死刑判決」
「短大廃止」続出 保育士などの教育機関が喪失 地方活性化に逆行
3.中教審「知の総和答申」2025年2月
「集中改革期間2024-2028」①チャレンジ②連携・統合③縮小・撤退
設置審の壁 「理系重視」といえど「実務家」は不可 「理系博士号と論文実績」
→確かに、デジタル知識の変化は早く、実務知識は陳腐化する
大学で学ぶべきは普遍的知識 リベラルアーツも含め「古典」が重要と確かに思う
[感想・所見]
人口減少の中で「1人当たり知をアップさせる」ことで全体の知の総量を維持する
もっともらしいが当たり前すぎ陳腐
「人口減少でも、生産性を高めてGDPを維持する」と同じく、単なる同義反復に過ぎない
まだ経済の方は、女性・高齢者の雇用拡大という伏線がある分まし
3-2 「2040年私立大学への提言」2026年02月 =「私学助成の拡充」
一律配分ではなく、メリハリ・重点化をはかる「5つの視点」
①地域とともに 地域ニーズ 地域人材の供給
②エッセンシャルワーカーの養成 教師・保育士・看護師
③国際競争力の強化
④理工農分野の人材育成
⑤大学の質の向上 教育・研究
→文部科学省地域大学振興室を新設25年04月
3-3 東京23区大学の定員増を認めない(2018年)→2028年3月まで⇧
2023年度収容定員110%の緩和 入学定員→収容定員へ変更
4.設置審のスタンスは相変わらず「学位・論文数の重視」vs「実務家教員の否定」
実務家は現実の現場・技術を熟知しているが、それは流行り・廃りに晒される。
大学生に大事なのは「リベラルアーツのような古典」長期的に価値がぶれない。
この考えも一理ある。
Posted by ブクログ
【高等教育政策と私立大学の現状・支援策】
2020年度に開始された「高等教育の修学支援新制度」では、消費税率引き上げ(8%から10%)分を財源とし、給付型奨学金(最大年91万円)および授業料減免(最大年70万円)を国が支援している。本制度の対象校となるには、「理事の2名以上が外部人材であること」「実務経験のある教員による授業科目が13単位以上あること」などの機関要件を満たす必要がある。なお、大学が対象校から外れた場合であっても、在学中の学生は継続して支援を受けることが可能である。
一方、私立大学等経常費補助金については、収容定員充足率が9割未満で減額され、5割以下となると不交付(ゼロ)となる。
2018年の「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」以降、「私立大学の在り方検討会議」等を通じて構造改革が進められている。特に2024-28年度の5年間は私立大学の「集中改革期間」と位置付けられ、レジリエントな私立大学等への転換支援パッケージとして「チャレンジ」「連携・統合」「縮小・撤退」に対する財政支援が行われている(2025年には「知の総和」答申が出された)。
定員厳格化やコロナ禍における三密回避の影響から、2020年度には「地方小規模私大の春」と呼ばれる一時的な志願者増が見られたものの、その後は定員割れとなる私立大学が再び増加傾向にある。
【各大学の独自取り組みと今後の展望】
こうした厳しい環境下において、各大学では以下のような先進的な取り組みが行われている。
・金沢工業大学:保護者向けポータルサイトを構築し、学生の出席状況・成績・インターンシップ情報などをリアルタイムで共有。
・武蔵大学:「1年生からのゼミ」を導入し、入学初期から少人数教育を実施。学生の居場所づくりとともに、教員や他学生との交流を通じた発表・議論能力の向上を図る。
・昭和女子大学:キャンパス内にテンプル大学を誘致、同居させる取り組みを実施。
また、学修効果を高める施策として、韓国や台湾の同分野を持つ大学とのオンライン国際交流(人手不足対策の側面も期待できる)や、国内留学(豊岡市の芸術文化観光専門職大学、酪農学園大学、宝塚歌劇団等との連携)なども有益な選択肢となる。
さらに、志願者減少への対応策として、オンラインを活用した総合型選抜(書類審査および職員・教員によるオンライン面接)、あるいは個別訪問型の入試スタイルなども検討の余地がある。
現在、大学には「デジタル化や世界規模の産業構造の変化に対応できる人材育成」が強く求められている。情報メディア系の教員を中心に、出前授業や総合型選抜入試の設計・実施を積極的に進めていくことが望まれる。
Posted by ブクログ
大学選びの基準を考えさせてくれる一冊。
大学の在り方だけではなく、これからの日本における教育についても考えさせられる内容でした。
地方の私立学校関係者は、自分ごととして読める内容である。
本書に「面倒見の良い大学」という言葉が出てくる。確かに面倒見が良いのは嬉しい。そのことが主体的に動ける人材育成につながっていればよいのだが…。
Posted by ブクログ
大学全入時代、と言われ、大学入学自体は私の頃(就職氷河期世代)と比べて比較にならないほど難易度が下がっている。でも、有名大学の人気は高いまま。地方の私立大学がたくさん紹介されている本書を読んで、「日本にはこんなにいい大学がたくさんあるんだ」と目からウロコだった。そもそも「いい大学」の定義って何だ!?と改めて考えさせられた。
私もまた大学に行きたくなった。
Posted by ブクログ
高校の教員であるため、どの大学に生徒を導いたら良いかを常に念頭に置いている。しかし、従来のような、偏差値で輪切りをした進路指導を行なっているのが現実で、大学における教育について知ろうとしなかった。この本を通じて、大学選びには様々な視点が必要であり、筆記試験だけで大学を選ばせるような指導はいけないのだと痛感した。高校の教員こそ、大学教育について勉強すべきであると感じた。
Posted by ブクログ
2026.08.30 興味深く内容で、あって言う間に読めてしまった。難しい問題が山積みの大学経営に、どんな解決のアプローチがあるのか。考えてみたいと思った。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 2035年の崖~少子化で限界を迎える大学
第2章 何が大学を追い詰めているのか
第3章 潰してはいけない大学
第4章 大学がつなぐ地域の未来
第5章 学力以外の力を重視 変わる入試
第6章 偏差値神話を超えて~社会がつくる「成長できる大学」
<内容>
朝日新聞の担当編集が、今までの取材を踏まえてまとめたもの。教育界の外から見れば驚きだと思う。第3章では具体例が挙がるが、高校の進路関係者ではもう有名な話。これ以外にも努力している大学は多い。まあ、地方の小規模大学は、地域経済の核の一つなのだと感じた。ただ公立化してもなあ…。