【感想・ネタバレ】白痴 青鬼の褌を洗う女のレビュー

あらすじ

戯作者の精神を激しく新たに生き直し、俗世の贋の価値観に痛烈な風穴をあける坂口安吾の世界。「堕落論」と通底する「白痴」「青鬼の褌を洗う女」等を収録。奔放不羈な精神と鋭い透視に析出された"肉体"の共存――可能性を探る時代の補助線――感性の贅肉をとる力業。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

坂口安吾の、戦前から戦後すぐに発表された作品の短編集。
『ラムネ氏のこと』と『故郷に寄する讃歌』以外の作品は、男女の恋愛(肉体の、または観念の)を描いている。

そこに描かれているのは、男を翻弄する女。
そして、女に翻弄されながらもしがみつくわけではない、けれどもふわふわと離れがたくそこにいる男との対比。
男の視点で、時に女の視点で語られるそれらは、安吾の人生のテーマなのかもしれない。

女性の経済的自立が難しかった時代、芸術だったり歌舞音曲を好み、コツコツ働くことの不得手だった女性は、「オメカケ」になるしかなかったのかもしれない。
親の遺産はもらえないなか、まずは食べること、そして終日を気ままに暮らす手段。
高等遊民の女性の話は聞いたことがない。

戦前の作品では、女性は「死」をほのめかす。
時に自ら死を選ぶ。

しかし、負け戦濃厚のなか空襲から逃げ惑い、家に水をかけ、穴を掘り、空を見上げながら夜を明かすような戦争の日々を体験した後の戦後の作品には、特に人生の目標があるわけではなくても、とにかく生き延びるというしたたかさが現れる。

でも、私が好きなのは『ラムネ氏のこと』だな。
これは時代性を問わず、最近の話としても通用するような、ちょっとした小話。
今後大きな辞書を見かけたら、ラムネ氏のことを調べてしまいそうだ。

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2025年11月28日

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