【感想・ネタバレ】見晴らしのいい密室のレビュー

あらすじ

核シェルターにひとり籠った男の胴体が捻り切られていた怪事、柩の中で数十カ所刺されて発見された男……。あまりにも完璧すぎる密室殺人は、本当に実行可能か!?「不可能犯罪など存在しない」と豪語する“超限探偵Σ”の華麗なる活躍を描く「見晴らしのいい密室」ほか、電子仕掛けの謎を秘めた本格ミステリ「探偵助手」などこれまで誰も見たことも聞いたこともない、精緻で巧妙な論理遊戯が導き出す唖然呆然の結末7篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

各話どれもしっかりと世界観が作り込まれていて、楽しく読みやすかった。

笑えるオチだったのは「忘却の侵略」
主人公があれこれ必死で考えて好きな相手や世界を守ってたところ、肝心の好きな相手はちゃっかり物理で殴って侵略者を倒しているのが笑えた。(これも主人公が侵略者を「地球人で倒せる相手」に確定してくれたからかもしれないけど)
見えない侵略者を観測して正体を確定出来た主人公が、好きな人の心の内は長い年月が経過しても分からないままなのも良かった。



好きな話は「囚人の両刀論法」
どうなれば利他的社会を形成できるのか、それが形成された結果どうなるのかの1つの答えとして考えさせられるものがある。
利他的とは利己的とは何かっていうことについて登場人物達の語りが面白かった。

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

QRコードだけやけに見覚えがあったけど前に読んだのか?記憶になかった、何度も楽しめてたらラッキー

タイトルに密室って入ってたからミステリ期待したけどどっちかといえばSFに軸があった。

・見晴らしのいい密室
表題作になるほど?読者視点では外の世界も二次元だからそんなに面白くなかった。夢オチは好き。
・目を擦る女
気味が悪くて好き。何周目の伝染なのか?
・探偵助手
あやこじゃなくてぶんこ!?ってなるの楽しくて可愛い。QRコードが印象的。
・忘却の侵略
切ない恋愛モノと異星人とのバトルが両方楽しめてお得。記憶喪失物うますぎる。
・未公開実験
ターイムマスィーーン
・囚人の両刀論法
他者を信じすぎても侮りすぎてもいけない……
・予め決定されている明日
意思によると思うこともこの本を読んだことも決まっていたのか??最後にふさわしくて読後感がよかった。

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2024年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

他の本と併読しようという腹づもりで読んでいたのだが、どの篇も多彩な表現やロジックで魅了してくるためそれどころではなかった。

まず、すぐに世界観を把握させるのが上手いと思う。ああ、そういうことねとその篇の世界のルールを頭から諒解させられるので、物語がすっと頭に入ってくる。
実際に話す時もそうだが物語においても掴みは肝心なのだ。
しかもその時点で重要な伏線を張っていることがあるので以前読んだ『玩具修理者』同様油断ならない。

個人的に大好きなのは「未公開実験」、
それから「忘却の侵略」「囚人の両刀論法」、「目を擦る女」
おや大体好きだな。

「未公開実験」は当人たちが真面目なのにも関わらずやりとりがユーモラスなところが面白い。
"ターイムマスィーーン(ポーズ)"はもうやめろ!と思うくらいしつこく繰り返されるが真面目に呼称がポーズ込みなので何回でも繰り返されてその度に笑ってしまうし、
丸鋸がやってみた歴史改変も渋いところを攻めているのも面白い。魏志倭人伝って。
頭がいいのか間抜けなのかわからなくなるくらいのエンタテイメント性を感じて難しい考え抜きにおもしろかった。

「忘却の侵略」は観測すること、しないことを巧みに選択し利用することで侵略者との攻防戦を展開させる。
相手が記憶に残らない、つまり観測の痕跡を残さないことを逆手に取り量子力学を戦いに応用するアイデアが非常に独創的で面白いと感じた。
本篇では古典力学的な考え方と量子力学的な考え方が分けてわかりやすく説明されており、自分は文系で理系分野にはとんと疎いのだが、それらの考え方それぞれに興味をひかれた。自分のこれまでの考え方にない考え方だったからだ。
この作品にだけ言えることではないが、もっと勉強すればもっと楽しんで読むことができるかもしれない…知識を蓄えてまた挑みたい。

「囚人の両刀論法」は規模が大きく、それだけでドキドキするテーマだ。
幸福の追求は地球とそれ以外の文明にも共通するイデオロギーだった。
やがてそれぞれの文明はその追求の手段としてまずその文明の及ぶ範囲内、つまり対内的には協調戦略をとるようになる。
ここまでは主人公の理想とする世界だったが、それぞれの文明がぶつかり合う—対外的に協調戦略をとらぬ相手と接触したとき、文明の幸福は脅かされる。利己的な文明に相対した時には文明を守るため、幸福のため、それによって蓄えられた潤沢な資源を利用して迎撃する他なくなる。利己的にならざるを得なくなる。
「囚人の両刀論法」を克服したかに思われた文明のどちらも、そのような結果に帰結してしまう。
問題の克服がさらなる問題を生み出すことについて、よく考えさせられた。

「目を擦る女」は純粋にホラー作品として面白かった。
描写としては八美の笑顔が、八美の言動そのものが不気味で恐ろしいし、舞台設定も悪夢のようだ。
これは個人的に感じることだが、自分以外の不可思議な存在が世界存続の命運を握っていることはなんとも不愉快だ。クトゥルフ神話的にいうとこれはアザトースの夢だな。
ただ、人はそれぞれ主観的にできている。これが他人の夢の世界だろうが仮想現実だろうがそれがその人の現実だ。八美は八美の夢の中の操子の現実を脅かした。だから殺された。
結果的に操子はこの夢の世界を引き継ぐ。だが夢は個々人の主観的なものであるはずなので、それを引き継ぐということはありえない。
それがありえるなら、彼女たちは同じ夢と同じ現実を共有しているということになる。この物語上ではもしかすると、二つの世界が現実として存在しているのではないだろうか。引き継ぎが可能であるということから、胡蝶の夢という言葉を強力に突きつけられたように感じる。
最後の操子の行動原理が私にはどうしてもうまく解釈できない。
どちらも現実だから、操子は八美を殺してしまったことに報いる必要を感じたのだろうか。それは、夢として語られる現実を強制的に終わらせることでしかできないことだったのだろうか?これについてはまた読み直して再考してみたいと思う。

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2020年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

”探偵助手”の行間にQRコードが仕込んであって、読まなくても支障ないんだけれど、貧乏性なのでスキャンせずにはいられなかった。速く読めなくて面倒くさーーいと思っていたら・・・。


QRコード部分は読まなくても支障ないんだけれど、オチがQRコードの中にあってひっくり返りました。
えええええっ!?なんじゃこりゃーっ!


QRコード部分読まないと、別の小説になっちゃうと思います。
支障ないけれど、二通りの読み方ができます。やられた!

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2013年04月29日

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