【感想・ネタバレ】言壺のレビュー

あらすじ

『私を生んだのは姉だった』小説家の解良(けら)は、万能著述支援用マシン“ワーカム”から、言語空間を揺るがす文章の支援を拒否される。友人の古屋は、解良の文章が世界を崩壊させる危険性を指摘するが・・・・・「綺文」ほか、地上800階の階層社会で太古の“小説”を夢見る家族の物語「没文」、個人が所有するポットで言葉を育てる世界を描いた「栽培文」など9篇の連作集にして、神林言語SFの極北。第16回日本SF大賞受賞作

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Posted by ブクログ

ネタバレ

落ち着いたラノベみたいな感じの台詞が行き交う。台詞は正直余り上手じゃないと思う。
しかし、題材がすごい。短編小説って大体長編にはできない物語の残滓みたいなのを無理矢理昇華させてる気がするけど、これは短編小説にはもったいないくらいの密度がある。なぜ長編にしなかったんだろう?もう少し短編同士の繋がりを強めて長編っぽくまとめれば、もっとすごいものが生まれたんじゃないかって思う。
言葉の機能や役割を、小説という枠を超えた深さで掘り下げようとしている。めちゃくちゃ面白かった。

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2016年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私を生んだのは姉だった。
この言葉から始まる、最初の収録話「綺文」で何処か新しい世界に連れて行ってもらえるような予感を感じた。
結果として、難しくてよくわからなかったというのが正直なところ。
ただ、物語の流れに沿いながら、初めて言葉に対して考える機会を持つことが出来た。

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2012年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解説にもあるが、これが1994年に書かれたことを考えると、小説家の想像力の射程の長さには舌を巻くばかりである。

小説家の想像力の射程というアングルに限って言えば、「リトルピープルの時代」で宇野氏が、村上春樹のそれに触れている。


言壺の、神林氏の射程は近づく先から逃げて行くような、遠い遠い先を見据えているように感じられる。
人間と、その他の動物との生きる世界の違いを、言葉(と、それによって作られた想像上の社会)の有無という視点から、一刀両断している件が好き。


最後の「碑文」にある一人称「我」は、いつでも私たちの隙をつかんと覗いている。

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2011年11月14日

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