あらすじ
禍々しくも美しい、絶望的世界が凝縮された本格恐怖短篇集。土地の因縁、呪いの伝播、怪異との邂逅……現実が崩れ落ち昏い狂気が立ち上がる。残酷、耽美、暗黒の限りを尽くした現代ゴシックホラーの極致!
◎解説=米光一成
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読んだことのある短編が多かった気がするが、それもちょうどよく内容を忘れかけて読みごろになっていた。
非常に猟奇的で陰惨な内容ばかりなのだけれど、同時に現実から遊離してどこかなつかしく、文章が素晴らしく読み心地が良い。
結果、グロテスクな内容なのに読んでいると気分がくつろいでくるという不思議なことになる。「出勤」は初めて読んだ気がするが、中央線沿線の感じがあって特に懐かしく感じられた。「影女抄」はとにかく官能的。「呪い田」と「緋の間」は、集合体恐怖でゾワゾワしながら読んだ。
Posted by ブクログ
こんなにタイプの文体でタイプの物語を紡ぐ作家を今まで知らなかったのが悔やまれると思うほど面白かった。「出勤」「影女抄」が特に好きだったかな。グロテスクで官能的。小学生くらいの頃に出会っていたらいろいろと歪められていたかもしれない。
Posted by ブクログ
抒情的って使わないし、あまり見ない。対して叙情的も同じ意味合いで、現代ではこちらが一般的に使われているようだ。
抒情的恐怖ってなんだろう、内面的な感情を詩的・芸術的に表現する・・・
難しく言われても分からないので読んでみる。
7篇あったが、怖いという感じではないけど、猟奇的だったり、惨殺だったりするのはやはりおぞましいという感覚。
「町の底」は話に引き込まれ、「呪い田」は元のおじいちゃんの呪いってなんでそんなに・・?
「樹下譚」は“夢こそまこと”これが抒情的美しさというのだろう。
「影女抄」はまるで官能小説を読んでいる感じ。残虐ではあるが。
結局のところ、それほど怖くはなかったが、おどろおどろしい場面があったりで不快になったりもしたが、恐怖を愉しんだ。
★ 3.8
Posted by ブクログ
研ぎ澄まされ、同時に底なし沼のような語り口。装飾を排して正面から描かれる不可知なものに対する恐れ、或いは憧れ。中毒性のある文体や構成の巧さ、その美学に嵌る。『町の底』『呪い田』『帰省録』と、収録作七篇はどれも魅力的だが、中でも『出勤』の豊かさと完成度に唸る。暖かな狂気、静謐な残酷、日常に佇む異界。余韻。嘆息するしかない。