【感想・ネタバレ】あなたはここにいなくとも(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ごめんなさいも、ありがとうも、大切な人にこそ言えなかったのは――。恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ……。後悔とその先の人生にあたたかな救済をもたらす全5編。デビュー作「カメルーンの青い魚」と同時期に書かれた幻の短編「くろい穴」収録。(解説・奥田真弓)

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めてゆっくり町田そのこさんの作品を読んでみた。ここまで温かいおばあちゃんの話が書ける方なんだと驚き、思わず涙が出てきた。特に「先を生くひと」は1番好きで主人公よりも先人の澪さんの芯のある言葉が心に刺さった。

0
2026年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

喪ったひと、モノ、時間にまつわる、心が温かくなる短編集。

ふとした瞬間に泣かされる場面がやってくるので、娘の矯正待ち、エレベーター、出張移動中のバスなど、衆人環視の場で読んではたちまち1人泣き出す不審者と化し、後悔すること数知れず。

町田そのこさんの作品は『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』以来。
『チョコレートグラミー』を読んだときは、出だしの一文でスッと物語に引き込む著者の手腕に魅了されたけれど、今作で感じたのは、ふとした瞬間の切り取り方がとても上手だということ。
なんというか、その場面、その瞬間の「解像度」がすごく高い。

特に私が感動したのは、絶賛不倫中の既婚男性上司に頼まれて、彼の奥さんのために渋皮煮を煮る独身女性の心情を描いた「くろい穴」。

彼への気持ちが急激に冷めた瞬間を、彼が買ってきたたい焼きの袋を捨てたときの「音」で表現していたのが、とてもとても新鮮だった。

「翌日、玄関の靴箱の上でたいやきの袋が冷たくなっているのに気が付く。すっかり忘れていた私はそれをゴミ箱に落とした。くだらない音がした。」

そんな男捨てちまえって、今すぐに(倒置法)と憤りながら読んでいた私の溜飲を、こんなにも爽快な「音」で下げてくれるのかと感激しましたとさ。

そして「くろい穴」は、ここで終わらない。
その後に待っている、ちょっと驚く展開も含めて好きな一篇。

でも結局、全部好き。
たぶんこれからも、定期的に処方箋みたいな感じで読み返すと思う。

0
2026年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すべての話がぼんやり共感できて心に残るストーリーだった。特に黒い穴って言う話が印象に残ったかなぁ。自分の経験とか終わりのスカッとする感じも面白かった。

・おつやの夜
これはほぼ印象に残ってない
・ババアのマーチ
ちょうど今日、会社の1個上の男性が私のことをぼんやり狙ってきて、変な悪評たてられて、やめてって言ったら、うざいって怒られてたことがすごい染みた日だったんだけど。その時にこの女性が昔の職場で言われた、お前は実は会社の中でみんなに嫌われてるんだっていう言葉が私もそうなのかもしれないと思ったけど、そこでその言葉を真に受けるんじゃなくて、周りの人が自分にどう接してくれてるかっていうのをもう一回見直したほうがいいなと思った。

・入道雲が生まれるころ
これも共感できるんだよなぁって思った。ここまでリセット症候群が強くないけど、自分も恋愛になったら辛い思いをした瞬間手放したくなる時とかあるし、逆にここに出てくる妹さんが不倫してて無理矢理別れさせられたけど、不倫相手の奥さんのSNSをずっと毎日見続けてしまうって言うところもわかる。執着が続く時もあるしみたいな。少なくとも私にはどっちの気持ちももうわかるなぁと思った。

・くろい穴
不倫してる女性が昔職場に作った甘露煮を不倫相手の男性から奥さんに向けて作って欲しいって言われて作る話。
そこで黒い塊が1つの栗にあって、普通は甘露煮を作る過程で、脱落するのに残り続けて、最後、不倫相手の奥さんに食べさせるために渡すけど、食べたのは不倫相手で。
その不倫相手の男性が食べてるときに奥さんがあなたがつまんだものはちゃんと食べなさいって言ってたって聞いて、彼が自分で作った悪意は自分で最後食べないといけないって言う話が本当にそうだなぁと思った。
不倫してる女性の心の揺らぎとか、別の同期の男の子に好かれてるのに、そこは本気で好きになれなくて自分のことを全然大切にしてくれない 不倫相手に夢中になってしまって、奥さんを恨むとかぐちゃぐちゃとした感情がリアルですごいなぁと思った

・先を行く人
これは最後、男の子に振られて走って逃げていくときに、その女性が待ってるって言うところにすごく感動した。
この先の人生辛いことがたくさんあるけど、その先に私がいると思って欲しい。遠い先の未来で待っていてあげる。私はあなたたちのぜーんぶを受け止めて抱きしめるわよ。がんばったねって言うわよ。だから、安心して傷つきなさい。安心して 生きなさい。後悔や心残りだけはないように頑張りなさい。何もかも穏やかに眺められる日がくるし、ありのままを受け止めて、自分なりに頑張ったからいいじゃないって いう遠い未来がきっとあるから。ここまで生き抜いてきた自分を褒めたい。だから大丈夫。私が保証するっていう言葉すごく刺ささって。
今確かにちょうど辛いタイミングだからこそすごく刺さった。

0
2026年10月19日

「小説」ランキング