あらすじ
ごめんなさいも、ありがとうも、大切な人にこそ言えなかったのは――。恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ……。後悔とその先の人生にあたたかな救済をもたらす全5編。デビュー作「カメルーンの青い魚」と同時期に書かれた幻の短編「くろい穴」収録。(解説・奥田真弓)
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Posted by ブクログ
町田そのこさんの本を読みたい!と思い、読んでみました!
全5編の短編集で、どのお話もとても読みやすかったです。
特に印象に残ったのは最初の“おつやのよる”で、家族や恋人が大切だからこその葛藤と、おばあちゃんの遺したものがすごすぎて最初のお話でしたが、印象に残りました。
あと、方言がとても可愛くていいなぁと思いました。
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全5篇、いろんな痛みに触れうまく生きられないだけで終わらず、生きていけると思わせてくれる。
特にばばあのマーチ、本当にどこかに実在していて欲しいし、そこにたどり着いた人が救われるだろうなぁ。
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ふと本屋に寄った時に表紙と帯をみて購入。自分含め周りに親族を亡くした方も多く、人に勧める前に自分でも読もうと思った。サクサク読めて、自分のその時の気分によって、刺さる話が異なる気がした。情景もリアルなんだよなー。またタイミングをかえて読み直したい。
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「あなた」がここにいないからこそ
本当の意図がわからないからこそ
色んな受け取り方ができるから
考え続ける余白があるから
心に残ってしまうのだなぁ。
思い出して心を温かくするものでも
心を苦く締め付けるものでも。
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着実に歳を重ねてきている今
「死」が空想のものでなく、現実味を帯びる
必ずしも自分のことだけではない
祖父母は他界し、両親も歳を重ねていく
まだ、その時に向き合う覚悟はないが、
やがてくるその日に対して
準備とまではいかずとも
多少なりとも意識をしたい
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短編集。最後のふたつはデビュー作とデビュー作近辺のものらしい。面白かった。町田その子はデビュー当時からうまいんだな。
第1話 省吾と付き合っている。彼の父母はすごく育ちのいい感じで、清陽は家族を紹介できないでいるところに祖母が死んだ。
第2話 香子は夜の18時から朝の3時までお菓子工場で働いている。恋人の浩明には早く転職しろと言われている。
第3話 恋人とリセットするように別れる。母から電話があり、藤江さんが死んだから葬式手伝って欲しいと。しかし帰宅してみたら、なんと藤江さんはどこの誰だかわからず、祖父の愛人だという。妹と藤江さんのおうちを探検に行く。このあたりの一人暮らしの老人は朝起きたら黄色い旗を玄関に出すのに、今日は出ていなかった。
第4話 不倫相手の奥さんのために栗の渋皮煮を作る。5年前からのつきあいだが、この半年くらいはおざなりにされている。
第5話 幼馴染の藍生が恋に落ちた。加代と絡んでいる暇はないと言っておいて行ってしまったのだ。
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どれも深いお話で、人生について考えさせられた。
自分の人生を大切に生きられているだろうか。
大切な人を大切にできているだろうか。
相手のことを考えているつもりで、自分のことだけになっていないだろうか。
私にも人間関係リセット癖があり、沢山悩んできた。
自分だけにフォーカスを当てがちだが、相手にも相手の人生がある。
これからは私なりに、相手を大切に、丁寧に、
メッセージを伝えていこうと思った。
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とっても読み応えのある短編集だった。
わたし的には、澪さんのお話がとても印象的で
澪さんに直接会って話したら涙が止まらないだろうな〜と。
元気をもらえた作品だった。
Posted by ブクログ
5つの物語ですが、どのストーリーも死の気配が感じられます。ただし、暗い雰囲気のものではありません。とても読みやすいです。
私は町田その子さんの作品の死に纏わるものは毎回読みながら泣いてしまいます。今作も例外ではありませんでした。
涙腺が弱い方は家で読むことをお勧めします。
Posted by ブクログ
大好きな町田そのこさんの短編集。
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』のように、読み返すだろうなと思える1冊です。
「おつやのよる」
→大好きだった祖母が亡くなった。恋人はお通夜に出たいと言ってくれたけど、、、。
「ばばあのマーチ」
→会社でいじめとセクハラにあい、対人恐怖症になってしまい退職した香子。現在は工場でのアルバイトをしつつ心の傷が癒えるのを待っている。それでも大学時代からの恋人はアルバイトなんかしてても職歴にならないから、早く社会復帰しろと責めてくる。そんな中出会ったのは自宅の裏庭に食器を広げ音楽を奏でるばばぁ。。。
もうね、彼氏が典型的なモラ男でイライラしながら読みました。こういう優しくて大人しい彼女を思い通りに操って、さも自分が立派な男かのように振る舞って満足してるような小者、、、ふんっけてやる!!って思っちゃった。
「入道雲が生まれるころ」
定期的に人間関係をリセットしたくなる萌子。祖父の従姉妹が亡くなり、遺品を整理していて、、。
「くろい穴」
上司と不倫してる美鈴は上司の奥様のリクエストに応えて栗の渋川煮を作る。一つだけ虫食いの栗があったけど、避けずに一緒に煮る。黒い穴が空いてるのに。ぐつぐつ煮ると灰汁でお湯は黒くなる。。。
面白かった。デビュー作と同時期に書かれた作品だなんて、そのこ先生天才。
そして渋川煮を作ってみたくなりました。栗苦手だけど、家族は好きだから秋になったら作ろうかな?
「先を生くひと」
最近幼馴染の藍生の様子がおかしい。高校までずっと一緒に登校してたのに、朝は先に登校しちゃうし、帰りも遅いみたい。こっそり尾行してみたら、、、。
どの話もとっても面白くて一気読みしちゃいました。また繰り返し読もう。主人公たちが色々な悩みを抱えてるけど、この後には良いことが待ってるんだろうなって思える、安心して送り出せるようなお話し達でした。
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いろんな作品を同時に開いてしまったせいで1ヶ月もかけてしまった。
でも、ゆっくり読んだからこそ、心にじんわりと染み込んでくるようで逆に良かったのかな。
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人生の終わりに寄り添い、生きる価値を静かに問い直す5編。町田さんの小説を読むと、失くしたものを見つけたような、前向きな微小な違和感が残る。それは、自分が許されることに気づく感覚なのかもしれない。
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いろんな形の弔いとこれから生きる先を照らしてくれてる物語。些細な思い出が自分の、そして誰かの背中を支える強さを持っている。私にもいざとなったら真夜中に自転車で爆走してくれるようなひとが現れないかなあ。
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どのお話も死や弔いについて触れられているけれど、これからを生きる私たちの背中を押してくれるような優しい気持ちになれるお話が多かった。
『先を生くひと』が印象的だった。
人生の片付けは物を全て断捨離すること。寂しい儀式のように思えるけれど物理的には手放しても、たしかにそこにあったという事実は心に残り続ける。
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5つの短編集。特に印象的だったのは親戚だと思ってた人が他人だったかもしれないという話。どんな思いでこの町にきたのだろう。何を思っていたのだろう。それを想像するだけで切なく、そして少し苦しくなりながら読み終えました。
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大切な人との別れは寂しく切ないけれど、その先が少し明るく感じるようなお話でした。
特に好きなお話は「おつやのよる」と「先を生くひと」。二つとも、長く生きた人だからこその、あたたかい発言や行動だなと感じました。いつか、穏やかに眺められる日が来る、そう思うと今直面している悩みや困難に対して、大きな気持ちになれる気がします。
「別れ」は決して辛いだけではない、辛いだけで終わらせたくない、そんなことを思った作品でした。
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町田そのこさんは、「もういないものへの悲しみ」について描くことがとても上手で、心に響いてしまうなあと改めて感じました。本当に大好きな作家さんです。
Posted by ブクログ
サラッと読めて、心がジーンと熱くなる。タイトルどうりの正しく「あなたはここに いなくとも」そんな短編が5話。一番好きなのは「おつやのよる」かな、、人の「愛」って強烈よりも、見えないけど「ふっ」感じさせられたときが良いな。ちょいと心に踏み込まれた優しいかな?ヒドイ親を見られたくないが、そんな親にも、そんな彼氏にも、、、。うん、優しさに触れました。
Posted by ブクログ
最初の数ページから胸が苦しくなった。私は祖母に育てられた時間が長く、おばあちゃんっ子だったからだと思う。祖母がいなくなる未来なんて考えたくない。それなのに、時間は永遠ではないと分かっていながら、甘えてしまい、十分に祖母孝行ができていない自分もいる。その現実を突きつけられたようで、物語の始まりだけで涙が出そうになった。
読み進めるうちに、きよいの母親の描写も印象に残った。人工透析を受けるようになってからスロットへ通い始め、その背景をきよいが知る場面では、「目に見える行動だけで人を判断してはいけない」と強く感じた。人には必ず、その人にしか分からない事情や苦しみがある。表面だけを見て理解したつもりになることの危うさを改めて考えさせられた。
この人の作品は、登場人物の不器用さや弱さがあまりにも人間らしく、まるでその世界に入り込んでしまう。
読んでいて何度も思ったのは、「この作者はどんな人生を歩めば、こんな物語を書けるのだろう」ということだった。それほど人の心の奥深くまで入り込む描写が多く、ページをめくるたびに涙があふれた。映像ではなく、小説だからこそ、自分の想像力と重なり、より深く心に刺さるのだと思う。
第二章は派手な展開というより、誰かの日常を静かに眺めているような感覚だった。不思議な世界観ではあるものの、「帰れる実家」という避難場所があることが少し羨ましくも感じられた。
第三章は「目が覚めると蜘蛛と目が合った」という一文から始まり、そのインパクトに一気に引き込まれた。この章では人間関係リセット症候群が描かれていたが、主人公の感覚に驚くほど共感した。作者は人間関係を「美しい三角形をいくつも形成しながら積み上がるトランプタワー」に例えていた。しかし私自身は、そのタワーのどこか一つでも思い通りにならなかった瞬間、「もう全部壊してゼロにしてしまいたい」という衝動に駆られることがある。綺麗に積み上げたいというより、中途半端なら最初から何もなかったことにしたい。その「どうしようもない衝動」が文章になっていたことに、自分のことを書かれているような感覚になった。
本作は全五章からなる短編集だったが、すべての物語に共通して流れているのは「死」という存在だった。ただ、人が亡くなることだけではなく、「喪失」と、それでも残される人が生きていくことが描かれている作品だったように思う。読み終えたあとに残ったのは爽快感ではなく、静かな寂しさだった。それでも、その寂しさを知ることは、人を大切にすることや、生きることを考えるきっかけになる。そんな一冊だった。
Posted by ブクログ
後悔とその先の人生を温かく照らす全5編の短編集。
同作者の長編に比べると、物足りなさは否めませんが、それぞれの物語にすぐに没入できるのは、短編ならではの作者の面目躍如といった感じでした。
どの作品も恋する女性が主人公とうことで、おじさんである私には想像できない感性に戸惑いながらも、そのギャップを楽しむこともできました。
共通して思うのは、新たな出会いや出来事に自分がどう向き合うのかということでした。
そのまま、何も感じずに流されてしまえば、楽かもしれませんが、新たな一歩は踏み出せません。
しかし、そこに意味を見出し、痛みも伴いながらも自分と対話し、見方を変えたり、視野を広くしたりすることで、自分の世界がちょっとだけ変わっていくのかもしれないと思いました。
私もこの作品と出会って、ちょっとだけおじさんの世界が広がったように感じました。
Posted by ブクログ
これは“失ったもの”の話じゃなくて、“抱えて生きていくもの”の話だと思った。
最初は、タイトルや各話の出来事から「何かを手放す話」だと思って読み進めた。
藤江さんは物を捨てる。
澪さんは家を空にする。
美鈴さんは恋を終わらせる。
加代は初恋に傷つく。
でも、読んでいくと全部逆だった。
本当に描かれているのは、
捨てても消えないもの
終わっても残るもの
叶わなくても意味があるもの
だったと思う。
同じ登場人物人物がちらっと出て来る連続短編集ではない違う類いの連続短編のように思える
Posted by ブクログ
町田そのこは上手い。「おやつのよる」は死んだ祖母が中心に綺麗に組み立てられている。不在が中心のドーナッツみたい。「くろい穴」が投稿作品だったことに驚く。完成度が高すぎる。リセット症候群というのも作者のテーマのひとつなのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
何かしら「死」にまつわる短編集。面白いのは一見暗いテーマなのに、どの話も喪失感だけで終わらず、ほっこり感というか愛のある作品だったこと。
特に「先を生く人」で終活として断捨離を進める雫さんが失恋した主人公に残した「これから先も、きっといろんなことがあるだろう。でも大丈夫。何もかも、憂うことはない。」という強力なエールは印象的だった。
個人的には、不倫相手の奥さんへ当初嫌がらせのつもりで穴の開いた栗の渋川煮を送るが、奥さんの死後聡い彼女の言動に自分の真の敵が誰だったか気付かされる話「くろい穴」が好きだった。主人公はどこまでも純粋で、最後は祖母から教わった得意料理に悪意を詰めてしまったことへの罪悪感に苛まれるところなんかが町田そのこさんらしいなと(この一冊しか傾向知らんけど)感じた。
町田そのこ作品は『52ヘルツのくじらたち』以来2冊目だったけれども、福岡関連の話が多く、特定の地域への思い入れが強い作家さんは初めてだったので新鮮だった。「あるっちゃけん」など方言バリバリなところが物語の立体感を強めていてよかった。物語のパターンとして、地方出身の女性が悪い男性から都合の良い扱いを受けるものの諸々昇華して前進する流れが多い印象。町田そのこさん自身女性であるが故に辛い経験をされてきたのかな?とか余計なお世話すぎる想像をしてしまった。
Posted by ブクログ
50年ぶりに読書にハマるきっかけになった作者の7作目。
自分の人生に折り合いをつけられず葛藤に悩む人々が、ケリを付けながら前を向いて生きていく姿や、死生観の描き方に、後を引く没入感を気に入っている。
ただ、短編では没入するには物足りなさを感じてしまったのは、5編とも主人公が女性だからなのか、俺が昭和の男だからなのか、いやいや、感性の衰えだな。。。。
頷けた一文
•ある日突然、ふとした瞬間に、これまで構築してきた人間関係が重たくなってしまう。
手足は重く、息も浅くなる。ここにいては潰されるか呼吸困難で死んでしまう。
そんな焦燥に支配されて、だから私は逃げる。
Posted by ブクログ
人はいつか必ず死が訪れる。身近な死にまつわる短編集。短編だからサクッと読めすぎちゃって、もっとゆっくり詳細に読みたかったなぁと思うほど、短編一つ一つの完成度とキャラクターも素晴らしい。
『あなたはここにいなくとも』の題名の意味を考えさせられる。いなくてもふと思い出す事って沢山あるけど、私も誰かの心に残るような言葉や優しさを残して生きていきたいなぁ。難しいけど。
Posted by ブクログ
タイトルが示すように、この短編集で描かれるのは、「その人がいなくなった後」も 生き方や言葉が 遺された人の中に生き続け、新たな一歩を踏み出す力となるお話です。
「おつやのよる」
実家の祖母が亡くなり 急ぎ通夜に向かう。祖母のお通夜の夜、家族がぶつかり合うが トラブルが解決していく。
どうかな?本当にぶつかりあったら、解決するのかなあ。無理だなあ、血縁だったらまだいけるのかな。
「ばばあのマーチ」
主人公は前職で心に傷を負い、まだ十分に立ち直れていない。そんな時に、恋人からは「将来のために」「人生設計を考えて」と転職を勧められる。恋人に悪意はないのですが 主人公にとっては「今の自分」を理解してもらえていない苦しさがあります。一度 リセットですね。
「入道雲が生まれるころ」
リセット症候群を自覚する女性
プロポーズからも逃避する
地元定着依存気味の妹
真面目すぎた生き方から逃避中
立ち止まるのもまた良し
「くろい穴」
その穴は 栗を食べた虫の穴。
不倫相手の奥さんが 彼女が作った渋皮煮を食べたいという。彼女は、穴から出るアクまで煮詰めた。
おそらくは、不倫を知っていた奥さんの最期の悪意。
これは 読んでいて一番面白かったのですが
町田さんが 黒い穴とする栗の穴は
栗虫が出た穴だと思うのですが
虫が入っていく穴となっているような気がする。
どうでもいいことか。
「先を生く人」
余命わずかな女性の元に 彼女の生き方に惹かれて 寄り添うように人が集う
幼馴染との別れが近い女子高生も 彼女の考え方に救われてー。
素敵なお婆様の話だけれど、財力は必要だなとは思った。
小説新潮掲載作品(黒い穴以外)