あらすじ
ごめんなさいも、ありがとうも、大切な人にこそ言えなかったのは――。恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ……。後悔とその先の人生にあたたかな救済をもたらす全5編。デビュー作「カメルーンの青い魚」と同時期に書かれた幻の短編「くろい穴」収録。(解説・奥田真弓)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
着実に歳を重ねてきている今
「死」が空想のものでなく、現実味を帯びる
必ずしも自分のことだけではない
祖父母は他界し、両親も歳を重ねていく
まだ、その時に向き合う覚悟はないが、
やがてくるその日に対して
準備とまではいかずとも
多少なりとも意識をしたい
Posted by ブクログ
短編集。最後のふたつはデビュー作とデビュー作近辺のものらしい。面白かった。町田その子はデビュー当時からうまいんだな。
第1話 省吾と付き合っている。彼の父母はすごく育ちのいい感じで、清陽は家族を紹介できないでいるところに祖母が死んだ。
第2話 香子は夜の18時から朝の3時までお菓子工場で働いている。恋人の浩明には早く転職しろと言われている。
第3話 恋人とリセットするように別れる。母から電話があり、藤江さんが死んだから葬式手伝って欲しいと。しかし帰宅してみたら、なんと藤江さんはどこの誰だかわからず、祖父の愛人だという。妹と藤江さんのおうちを探検に行く。このあたりの一人暮らしの老人は朝起きたら黄色い旗を玄関に出すのに、今日は出ていなかった。
第4話 不倫相手の奥さんのために栗の渋皮煮を作る。5年前からのつきあいだが、この半年くらいはおざなりにされている。
第5話 幼馴染の藍生が恋に落ちた。加代と絡んでいる暇はないと言っておいて行ってしまったのだ。
Posted by ブクログ
どれも深いお話で、人生について考えさせられた。
自分の人生を大切に生きられているだろうか。
大切な人を大切にできているだろうか。
相手のことを考えているつもりで、自分のことだけになっていないだろうか。
私にも人間関係リセット癖があり、沢山悩んできた。
自分だけにフォーカスを当てがちだが、相手にも相手の人生がある。
これからは私なりに、相手を大切に、丁寧に、
メッセージを伝えていこうと思った。
Posted by ブクログ
とっても読み応えのある短編集だった。
わたし的には、澪さんのお話がとても印象的で
澪さんに直接会って話したら涙が止まらないだろうな〜と。
元気をもらえた作品だった。
Posted by ブクログ
5つの物語ですが、どのストーリーも死の気配が感じられます。ただし、暗い雰囲気のものではありません。とても読みやすいです。
私は町田その子さんの作品の死に纏わるものは毎回読みながら泣いてしまいます。今作も例外ではありませんでした。
涙腺が弱い方は家で読むことをお勧めします。
Posted by ブクログ
大好きな町田そのこさんの短編集。
『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』のように、読み返すだろうなと思える1冊です。
「おつやのよる」
→大好きだった祖母が亡くなった。恋人はお通夜に出たいと言ってくれたけど、、、。
「ばばあのマーチ」
→会社でいじめとセクハラにあい、対人恐怖症になってしまい退職した香子。現在は工場でのアルバイトをしつつ心の傷が癒えるのを待っている。それでも大学時代からの恋人はアルバイトなんかしてても職歴にならないから、早く社会復帰しろと責めてくる。そんな中出会ったのは自宅の裏庭に食器を広げ音楽を奏でるばばぁ。。。
もうね、彼氏が典型的なモラ男でイライラしながら読みました。こういう優しくて大人しい彼女を思い通りに操って、さも自分が立派な男かのように振る舞って満足してるような小者、、、ふんっけてやる!!って思っちゃった。
「入道雲が生まれるころ」
定期的に人間関係をリセットしたくなる萌子。祖父の従姉妹が亡くなり、遺品を整理していて、、。
「くろい穴」
上司と不倫してる美鈴は上司の奥様のリクエストに応えて栗の渋川煮を作る。一つだけ虫食いの栗があったけど、避けずに一緒に煮る。黒い穴が空いてるのに。ぐつぐつ煮ると灰汁でお湯は黒くなる。。。
面白かった。デビュー作と同時期に書かれた作品だなんて、そのこ先生天才。
そして渋川煮を作ってみたくなりました。栗苦手だけど、家族は好きだから秋になったら作ろうかな?
「先を生くひと」
最近幼馴染の藍生の様子がおかしい。高校までずっと一緒に登校してたのに、朝は先に登校しちゃうし、帰りも遅いみたい。こっそり尾行してみたら、、、。
どの話もとっても面白くて一気読みしちゃいました。また繰り返し読もう。主人公たちが色々な悩みを抱えてるけど、この後には良いことが待ってるんだろうなって思える、安心して送り出せるようなお話し達でした。
Posted by ブクログ
大好きな町田そのこさんの新作
短編集で、全部素敵な話だった
星を掬うでも出てきたけど、かっこいいおばちゃん出てきがち笑
主人公と一緒に、その言葉に読者(わたし)は感銘を受けちゃいがち
どの話も良かったけど、「おつやのよる」の話が引き込まれたかも
彼氏とゆっくり休日を過ごそうとした途端に、おばあちゃんの死を知る主人公
おばあちゃんが繋げてくれた縁が素敵でした。
つくづく、町田そのこさんの作品に出てくる男はクズで、不倫しても平気でいる男ばっか……
でもその中で「おつやのよる」清陽の父のように、大好きな娘のためなら心を入れ替えて酒をやめたり、章吾のように実家にまで来て態度で愛を示してくれるかっこいいヤツもいるなあと、思った。
「くろい穴」の上司は奥さんが病気なのに、不倫して、不倫相手の子に奥さんが食べたがってるからと言って渋皮栗を作らせる、しかも娘がいる。
カス過ぎて驚くけど、責任持ってほんと虫食いの栗ずっと食ってろ、という感じだ。
Posted by ブクログ
たとえ大切な人がいなくなったとしても、物や記憶、色々な形で自分の中に残ってくれている。
あなたはここにいなくとも、私の中で存在してくれている。
会いたくなったら、記憶を辿ったり写真を眺めたりしながら、また会いに行こう。
Posted by ブクログ
「あなたはここにいなくとも」
この題名のように、出会いと別れの短編集。
その一つ一つから別れのあり方や、向き合い方がまるでドラマを見ているかのように繊細に描かれており、情景や主人公の心理を想像しやすく、どっぷりと物語に引き込まれたような感覚がありました。
町田その子らしい、温かな言葉の数々に心が温まり、別れを描いているはずなのに、どこか前向きな気持ちにさせてくれるとても良い作品でした。
Posted by ブクログ
1話目:号泣(実際には泣いてないが)手が震えた。
2話目:さわやかなお話しでした。ばばあの挙動がちょっとファンタジーっぽい、児童文学チック?こういうのも良いねぇ。
3話目:リセット症候群、分かる私もそうかも。
からの構築することって出来るのかなぁ。。
私も頑張ってみるかなぁ。。
4話目: 純文学チック。多才だなぁ町そのさん。
5話目:自分の、人生の後始末は自分で。誰かに乱雑に処分されたら嫌。激しく共感。
Posted by ブクログ
町田そのこは上手い。「おやつのよる」は死んだ祖母が中心に綺麗に組み立てられている。不在が中心のドーナッツみたい。「くろい穴」が投稿作品だったことに驚く。完成度が高すぎる。リセット症候群というのも作者のテーマのひとつなのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
「おつやのよる」
僕の涙腺は、特にこのような作品にはめっぽう弱い。
自分の幼い頃も、共働きの両親に代わって、優しい祖母がよく面倒をみてくれていた。
祖母はこの世で1番優しいひとだと思っていた。
主人公、清陽は、おばあちゃんに恋人の省吾を紹介できないでいた。
立派な両親をもつ省吾に、自分のだらしない両親をみせたら、呆れられるんじゃないかと。
おばあちゃんは事あるごと、清陽に「自分が結婚したいと思うひとに会わせなさい」といっていた。
おばあちゃんは全てわかっていた、愛する孫が選んだ人が、そんな小さなことで呆れるわけがないと。
孫の清陽だけじゃなく、家族みんなを見守り、幸せに導きてきた、祖母を見送る最後の日のお話でした。
「ばばあのマーチ」
~お互いの求めていた助け合いができなかった。助け合いのための会話も、きっと足りていなかった。それだけ~
世の中の恋人や夫婦の関係でも、お互いが補完しあえる関係が理想なんだけど。。
最初はうまくいってても、転職したり子供が産まれたりしたら、求めている「助け」も変わる。
嫌なことでも受け入れられる寛容さ、器のデカさが試されるんだなー。ロジカルに言えば、そのガソリンは愛なんだろうな。。
Posted by ブクログ
「おつやのよる」と「先を生くひと」が特にお気に入り。
春陽ばあちゃんの人柄が素敵でこんな人になりたいと思った。
先を生きてきたひとっていう表現がすごく良かった。生き様でいろんなことを教えてくれる。私もそんな人になれるかな。
人生の締め方みたいなのをすこし考えてしまった。
Posted by ブクログ
大切な人や物を喪失しても、それを自分の中にしまい込むことで、前を向いて生きていくことができるのだと感じた。生きていく中で挫折することもある。しかし周りの人に助けられながら、なんとか前を向く。「あなたはここにいなくとも」懸命に進もうとする女性たちの姿がとても素敵だった。
Posted by ブクログ
共感できる部分は少ないのに印象に残る場面が多かったなと思います。
それぞれの話の濃さがそのようなことを思わせてくれるのかもしれません。
人との繋がりの濃さをこの小説を通して感じました。
Posted by ブクログ
『52ヘルツのクジラたち』に続き、本作でも見事に打ちのめされてしまった。
読み終えた瞬間、優しく語りかけてくれるような文章がボディブローのようにじわじわと心に響いてきて、完全にノックアウトされました。
全5篇に共通して登場するのは、個性あふれるおばあちゃんたち。なかでも「オーケストラばばぁ」や「死神ばあさん」の存在感は強烈で最高だ。自分の人生をしっかり生き抜いてきた彼女たちの言葉は、格好良くて重みがあり、深く心に染み渡る。
特に私は『おつやのよる』がお気に入り。
作中のおばあちゃんの深い愛に、いつも私の味方をしてくれた亡き祖母の姿が重なり、鼻の奥がつんとしてしまった。主人公・清陽のように、私も祖母孝行ができなかったことを今も後悔している。
けれど、祖母との楽しい思い出や優しい笑顔を胸に、いま「ありがとう」
と何度も心の中で囁きたくなる。そんな優しさに満ち溢れた、宝物のような一冊だった。
Posted by ブクログ
次のステージに踏み出すための、様々な別れを描いた5編の短編集
デビュー作の『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』と比べると、少しパンチが無くて物足りなさを感じる部分があるかも知れませんが、あとからジワジワ感情が押し寄せてくる不思議な作品でした❗️
個人的に、『ばばあのマーチ』、『入道雲が生まれるころ』、『先を生く人』の3編が気に入っています❗️
正直、余り解説は読まない方なのですが、書店員さんの解説が少し珍しく、自分の身近な経験をもとに書かれた内容に好感が持てました❗️
Posted by ブクログ
人はいつか必ず死が訪れる。身近な死にまつわる短編集。短編だからサクッと読めすぎちゃって、もっとゆっくり詳細に読みたかったなぁと思うほど、短編一つ一つの完成度とキャラクターも素晴らしい。
『あなたはここにいなくとも』の題名の意味を考えさせられる。いなくてもふと思い出す事って沢山あるけど、私も誰かの心に残るような言葉や優しさを残して生きていきたいなぁ。難しいけど。
Posted by ブクログ
タイトルが示すように、この短編集で描かれるのは、「その人がいなくなった後」も 生き方や言葉が 遺された人の中に生き続け、新たな一歩を踏み出す力となるお話です。
「おつやのよる」
実家の祖母が亡くなり 急ぎ通夜に向かう。祖母のお通夜の夜、家族がぶつかり合うが トラブルが解決していく。
どうかな?本当にぶつかりあったら、解決するのかなあ。無理だなあ、血縁だったらまだいけるのかな。
「ばばあのマーチ」
主人公は前職で心に傷を負い、まだ十分に立ち直れていない。そんな時に、恋人からは「将来のために」「人生設計を考えて」と転職を勧められる。恋人に悪意はないのですが 主人公にとっては「今の自分」を理解してもらえていない苦しさがあります。一度 リセットですね。
「入道雲が生まれるころ」
リセット症候群を自覚する女性
プロポーズからも逃避する
地元定着依存気味の妹
真面目すぎた生き方から逃避中
立ち止まるのもまた良し
「くろい穴」
その穴は 栗を食べた虫の穴。
不倫相手の奥さんが 彼女が作った渋皮煮を食べたいという。彼女は、穴から出るアクまで煮詰めた。
おそらくは、不倫を知っていた奥さんの最期の悪意。
これは 読んでいて一番面白かったのですが
町田さんが 黒い穴とする栗の穴は
栗虫が出た穴だと思うのですが
虫が入っていく穴となっているような気がする。
どうでもいいことか。
「先を生く人」
余命わずかな女性の元に 彼女の生き方に惹かれて 寄り添うように人が集う
幼馴染との別れが近い女子高生も 彼女の考え方に救われてー。
素敵なお婆様の話だけれど、財力は必要だなとは思った。
小説新潮掲載作品(黒い穴以外)
Posted by ブクログ
様々な意味における「別れ」をテーマにした作品。一番印象に残ったのは、庭先で拾ったような食器で演奏会を開くオーケストラばばあの話。奇行に思えるその裏に隠された真実と、精神的に追い詰められていた主人公の変わっていこうとするさまに読みながら応援したくなる。テーマがテーマだけに重めの話も多いが、気に入る作品は必ずあると思う。