あらすじ
ごめんなさいも、ありがとうも、大切な人にこそ言えなかったのは――。恋人に紹介できない家族、会社でのいじめによる対人恐怖、人間関係をリセットしたくなる衝動、わきまえていたはずだった不倫、ずっと側にいると思っていた幼馴染との別れ……。後悔とその先の人生にあたたかな救済をもたらす全5編。デビュー作「カメルーンの青い魚」と同時期に書かれた幻の短編「くろい穴」収録。(解説・奥田真弓)
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Posted by ブクログ
喪ったひと、モノ、時間にまつわる、心が温かくなる短編集。
ふとした瞬間に泣かされる場面がやってくるので、娘の矯正待ち、エレベーター、出張移動中のバスなど、衆人環視の場で読んではたちまち1人泣き出す不審者と化し、後悔すること数知れず。
町田そのこさんの作品は『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』以来。
『チョコレートグラミー』を読んだときは、出だしの一文でスッと物語に引き込む著者の手腕に魅了されたけれど、今作で感じたのは、ふとした瞬間の切り取り方がとても上手だということ。
なんというか、その場面、その瞬間の「解像度」がすごく高い。
特に私が感動したのは、絶賛不倫中の既婚男性上司に頼まれて、彼の奥さんのために渋皮煮を煮る独身女性の心情を描いた「くろい穴」。
彼への気持ちが急激に冷めた瞬間を、彼が買ってきたたい焼きの袋を捨てたときの「音」で表現していたのが、とてもとても新鮮だった。
「翌日、玄関の靴箱の上でたいやきの袋が冷たくなっているのに気が付く。すっかり忘れていた私はそれをゴミ箱に落とした。くだらない音がした。」
そんな男捨てちまえって、今すぐに(倒置法)と憤りながら読んでいた私の溜飲を、こんなにも爽快な「音」で下げてくれるのかと感激しましたとさ。
そして「くろい穴」は、ここで終わらない。
その後に待っている、ちょっと驚く展開も含めて好きな一篇。
でも結局、全部好き。
たぶんこれからも、定期的に処方箋みたいな感じで読み返すと思う。
Posted by ブクログ
年齢的に見送る側と見送られる側のハザマにいる僕には凄く刺さりました。目に見えるモノではなくココロの中におもいでを残す心境にはまだまだ辿り着かないけどいつかなれるのかな…と、クヨクヨ考える日々がちょっと続きそうな一冊でした
Posted by ブクログ
プレゼントで町田その子さんの作品が気になり読みました。
はっきりとした結論は出ないけど、なんだか後味はすっきりしている作品ばかりでした。
また町田その子さんの作品を読んでみたいな。
Posted by ブクログ
全部泣いてしまった。オーマイガッシュ
「入道雲が生まれるころ」の、何もかもをリセットしたくなる主人公にはいちばん親近感を覚えた。
背負えないものは重りになる。
「先を生くひと」も好きだった。やらない後悔より、やる後悔。頑張らなければ、「自分なりに頑張ったからいいじゃん」と自分に言うこともできない。
私も澪さんに会いたい。菜摘さんにも会いたい。きっと彼女たちを好きにならずにはいられない。
どの話にも、何かを手放すことが描かれていたように思う。
手放して楽になる気持ちも、何も残らなくなることが怖い気持ちもわかるから、とりあえず残してしまう。連絡先も、写真も、服も、雑貨も。でも、ある日ふと、それらの重みに窒息しそうになる。
そうやって抱えているものは、きっと大切だったから残しているのに、いつの間にか自分の手には余るものになっている。
手放していいものだったのだ。
何も残らなくなるわけではないのだから。
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軽く手に取ったけど、とんでもない。「入道雲が生まれるころ」の、リセット症候群の藤江さんの言葉を小さい頃の自分に言ってあげたい。「あなたは、どう思うん?」「あなたが、そうしたいん?」
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時々こみ上げるような思いや涙が湧いてきました。命にまつわる話の短編集で、いわゆる今を生きる真っ只中の人間らしい説明のつかない感情や思うようにいかない現実と、命を失っていく人のどこか静謐な感じの対比が際立って見えて、正直なところこういうふうに周りの人に意味を残す消え方ってそうそうできないだろうなと(少し羨ましくもある)思いました。現実を生きることは大変だけど、どこかに救いも感じられる物語が多く、登場人物たちの思うようにいかないこともありますが、スッキリした気分になりました。こだわっていたり、すがっていたものに気づき、それを手放せているからなのかな。
この人の文章は、スルスルと私の中に入ってきて、これは読みやすいうまさがあるということなのか、自分にただ合っているということなのか分からないけど、どちらにしても心地よい。
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読み終わって閉じるときに、フワッと爽やかな感じがする本が好きです。この本はまさにそんな感じ!
歳をとるのが、少し怖くなくなったかも。
歳をとるのが怖くなったら、また開いてみよう。
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一部作品を除いて、物語の根底にある優しさが好きだ。
苦境に立たされている主人公達を追い込むでもなく、更生させるわけでもなく、今よりちょっといい未来を示して送り出すラストがすごく良い。
お気に入りは、ばばあのマーチ。
外で食器を叩いてオーケストラを開催している、危ない人にしか見えないばばあの真意は温かさに満ち満ちていた。
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タイトルと店頭POPに惹かれて購入。
素敵な短編集です。
人は1人では生きていけないけど、それは誰かとずっと一緒にいなければ生きられないということじゃない。
人生のどこかで大切な言葉や気持ちを誰かに教えてもらえたら、たとえその人がそばに居なくても生きていける。
じんわりと温かく、色んな寂しさを乗りこなしてきた自分をちょっと好きになれる、そんな作品でした。
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死がそこにある、短編集。それぞれキャラの違うおばあちゃんが色々な観点で想いが心に刺さる。喪失感のなかにも見い出せる明るい未来。ひとつひとつの物語が心に沁みる。
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「ぎょらん」からいっきにファンになった町田そのこさん。今回も死がテーマ?父の事、母の事を重ねながら読んだ。
例え亡くなったとしても私の中で生き続ける。。そう頭じゃなく心で分かった本でした
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解説を読んで初めて、タイトルの意味をしみじみと感じた。「あなた」が指すものはどれだったんだろうな、と特定の人物を探そうとしていたけれど、解説に気付かされ、この本が完成したようにも感じた。
あなたはここにいなくとも、私の人生にはあなたがいた記憶があり、これからもあなたは居続ける。
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“人の死”に関連するお話が5つあった。
“死”と聞くとすごく重いものを連想するが、とても前向きな話でよかった。
自分が死ぬ時も、誰かを悲しませるだけでなく、その人の未来が広がるような何かを与えられる人間になりたいな、と思った。
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生きていける。
あなたが、この痛みに気付いてくれたから。
ままならない人間関係に傷つき、自分を見失った時には気付けなかった想い。
後悔とその先の人生をあたたかく照らす全5編の短編集。
破局や死などさまざまな形で訪れる別れが、悲しみと優しさを共存させながら書かれています。
姿形がなくなっても、一緒に生きた時間は消えずに
ふとした瞬間にふわりと思い出させてくれる。
そんな温かい思い出が私の中にもちゃんと存在しているんだと実感し、いつか悲しくなった時に思い出せる引き出しを与えてもらえました。
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どのお話も読み始めから引き込まれる面白さで、どれも長編で読みたいな〜と思いました。
解説も書店員さんというのは珍しく、身近に感じて楽しめました。
Posted by ブクログ
誰かの死によって人生の転換期を迎える短編集5編
泣ける。『おつやのよる』が大変よかった。田舎の描き方が秀逸で、それを恥ずかしく思う都会の女とそれでも切ることは出来ない家族の縁がどうしようもなくリアルだった。章吾のような男と結婚したい
何だか不倫と失踪の話が多いなと思いつつ笑。町田さん色々読んだけれどもこの本の雰囲気が一番好きかもしれない。飾らないキャラクターがとてもいい
Posted by ブクログ
好きとか思い出とか、大事な感情は、これまではいつでも手に取れるように物に託して置いていたけど、自分の奥に収納する。しまい込む。それが自分の人生の片付け‥
心の中に、ストンと落ちた。
Posted by ブクログ
大切な人との別れや後悔と再生をテーマにした短編集
その先にある一筋の光によって、読後は重くない。
こちらもどこか救われた気持ちになる作品が多かった。
『おつやのよる』と『先を生くひと』が良かった。
Posted by ブクログ
「おつやのよる」
僕の涙腺は、特にこのような作品にはめっぽう弱い。
自分の幼い頃も、共働きの両親に代わって、優しい祖母がよく面倒をみてくれていた。
祖母はこの世で1番優しいひとだと思っていた。
主人公、清陽は、おばあちゃんに恋人の省吾を紹介できないでいた。
立派な両親をもつ省吾に、自分のだらしない両親をみせたら、呆れられるんじゃないかと。
おばあちゃんは事あるごと、清陽に「自分が結婚したいと思うひとに会わせなさい」といっていた。
おばあちゃんは全てわかっていた。愛する孫の選んだ人が、そんな小さなことで呆れるわけがないと。
孫の清陽だけじゃなく、家族みんなを見守り、幸せに導いてきた祖母を見送る、最後の日のお話でした。
「ばばあのマーチ」
~お互いの求めていた助け合いができなかった。助け合いのための会話も、きっと足りていなかった。それだけ~
世の中の恋人や夫婦の関係でも、お互いが補完しあえる関係が理想なんだけど。。
最初はうまくいってても、転職したり子供が産まれたりしたら、求めている「助け」も変わる。
嫌なことでも受け入れられる寛容さ、器のデカさが試されるんだなー。ロジカルに言えば、そのガソリンは愛なんだろうな。。
Posted by ブクログ
いつまでも続くと思っていた人間関係に、ある日突然終わりがやってくる。
その時何を想うのか。
亡くなってしまった人には、もう聞きたいことは聞けない。聞いておけばよかった。話しておけばよかった。言わなければよかった。言ったらなんて言ってくれたのだろうか。
見たくない、見ないふりをしている自分の心といつか向き合える時がくるのだろうか。
大切なあなたはここにいなくとも
私のことを見ていてくれるのかもしれないと、
ここにいないあなたに話しかけてみる。
がんばれるかな、大丈夫かな、これでいいのかな。
答えはわからない。
でもいつでもあなたは私の心の中にいてくれる。
Posted by ブクログ
星3(のめり込み度)
期待して読んだけど
正直思っていたほどはのめり込めなかった。
5つの短編、それぞれに「死」や「喪失」が描かれていて、残された人たちのその後を考えさせられる作品。
その中でも「先をいく人」が一番好き!ところどころで涙が出た。
5編すべてが刺さったわけではないけれど、この一編に出会えたのは特によかった!
Posted by ブクログ
マウントレーニア✖️新潮文庫コラボ限定ブックカバーが欲しかったので、町田そのこさんの本を選んでみました。
「別れ」をテーマにした短編集。
死を扱った話が多いですが、悲壮感は感じず、優しく前向きな気持ちになりました。
個人的には『ばばあのマーチ』が一番好きな話。自分の手では手放せない大切な物を、他人に託すことで前に進む。「捨てる」のではなく「託す」。そんな気持ちの切り替え方も良いかもしれないと思いました。
Posted by ブクログ
Xで流れてきて気になり購入
読みやすくはあったけど涙が止まらなかったという感想は大袈裟かなぁとも思った
本に合う合わないがあるとしたらこちらは私には合わなかったのかな
Posted by ブクログ
短編集。今までの話が割とずっしりと重いテイストのものだったりも多かったから、ちょっと軽く感じてしまった。町田さんは短編というより長編向きな気がするぞ。
Posted by ブクログ
「人は1人じゃない。人は誰かに支えて生きている」——そう優しく思い出させてくれる、心が疲れたときのとっておきの1冊。
印象に残ったポイント
*リアルすぎる人間関係の描写
登場人物それぞれの葛藤や感情の表現がリアルすぎ…!人間関係に悩みやモヤモヤを抱えている人なら、きっとどれかのエピソード・どれかの登場人物に深く共感できるはず。
*心に染みる温かなメッセージ
孤独を感じたときや心が疲れてしまったときに、そっと寄り添い支えてくれるような温かさに満ちた作品です。
個人的ハイライト
大好きな町田先生の作品!
作中に北九州市が登場するシーンがあって、思わず『コンビニ兄弟』を懐かしく思い出してニヤリとしてしまいました(笑)。