あらすじ
「あなたの人生を円グラフで表現してください」大学院生の僕は、エントリーシートを書くのをやめて、小説というフィクションを書き始める。青山の占い師、80億円を運用する自称凄腕トレーダー、偽ロレックスを腕に巻く漫画家。小説家・小川哲が遭遇する怪しげな人物たちの末路……。成功への渇望と満たされぬ承認欲求の果ての嘘と真実を描いた、傑作連作短編集。後日譚「革命前夜」を収録。(解説・大森時生)
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Posted by ブクログ
エッセイのように見える小川哲が主人公の
フィクション作品。常に見えるものと見えないもの、見える記憶と見えない記憶の話をしていたように感じる。
常に記憶は曖昧で、自身の記憶を知らぬ間に改竄していたり、日常と非日常で記憶の残り方に濃淡が生まれる。非日常な日の前日、同じ24時間が均等に配分されているにもかかわらず、忘れたではなくなかった記憶としてすっぽり抜けてしまう。
プルーストでいう二つの意味の忘却の話も出てた
あとは人の見栄の話とかかな、自身を大きく見える虚栄や承認欲から吐く嘘に自分が飲み込まれたり、中立に立とうとするこちら側が飲み込まれたりする。
小説を書く上で、小説家は自身が手に入れるはずだった可能世界に馳せる。それは他者の記憶や経験からリンクするものだったり、もちろん自身の生活の中で見つかるものだったりもする。どこまでが実際でどこからが可能世界なのかはわからないが、そうして紡ぐ物語には真実味がより生まれるのかもなあと思ったり。