あらすじ
「あなたの人生を円グラフで表現してください」大学院生の僕は、エントリーシートを書くのをやめて、小説というフィクションを書き始める。青山の占い師、80億円を運用する自称凄腕トレーダー、偽ロレックスを腕に巻く漫画家。小説家・小川哲が遭遇する怪しげな人物たちの末路……。成功への渇望と満たされぬ承認欲求の果ての嘘と真実を描いた、傑作連作短編集。後日譚「革命前夜」を収録。(解説・大森時生)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
語り手が作者の小川哲さんの短編小説。作者本人の視点から周囲の友人で起こった珍事を語る体裁をとっており、一人称視点のように描かれながらも三人称小説であるような容赦の無さも感じる。SNSでよく見るようなうっすら嫌悪感を抱くような人達が断罪される話も含まれており、カタルシスを得られつつも読後感としてスッキリしない話が多かったです。読み終わった後は微妙にスッキリしないモヤモヤ感がいいスパイスになっていると思いました。
Posted by ブクログ
最近見始めたゆる言語学ラジオに出演されていたことをきっかけに手を伸ばしてみました。
僕もかなり忘れっぽいので共感することが多かった笑
世の中いろんなタイプの人間がいて、別に誰も嫌いにはならない感じに共感しました。
Posted by ブクログ
面白すぎた〜!
主人公の名前が「小川哲」で職業が「小説家」でノンフィクションかと思わせるような見せ方面白すぎる
承認欲求の成れの果てって怖いな〜〜
小説の内容までいかなくとも、なんとなく感じたことのあるような違和感というか気持ち悪さ、居心地の悪さを小説から感じて何とも言えない気持ちになった
また読み返したいな
Posted by ブクログ
日常でかかわる周囲の人間を自分の視点で細かく分析・評価をしているところや、自分が評価される側になって悶々としている様子も共感しやすかったです。
最後の「ホメホメカード」に似たような制度が職場(他部署)にあるので、主人公に大共感したし、同じように思う人がいて安心しました。
中学時代の外部コーチも須磨先生みたいで気持ち悪くてうんざりしつつも適当に合わせていた自分を思い出してゾワゾワしました。
Posted by ブクログ
何か大きな事件が起きているわけではないのに、日常をこんなに面白く書けるのは本当にすごいなぁと思う。
漫画や映像ではなく、小説だからこその面白みがたっぷり詰まっているんじゃないかな。
Posted by ブクログ
黄金律と銀色律の話が印象的だった
自分がして欲しいことと自分がして欲しくないこと
私小説なのかな、小川哲好きになった
あとがきの大森時生の文章もおもしろい
Posted by ブクログ
プロローグからの構成を含めて非常に良く出来ている作品。描かれる一貫したテーマやその解釈には非常に納得。また、随所に見られる言葉選びに卓抜したセンスを感じる。
Posted by ブクログ
『君が手にするはずだった黄金』を読んで、個人的に最も感情を揺さぶられたのはプロローグだった。
本来はサラリーマンに向いていないであろう主人公が、必死に就職活動に取り組み、ふと「なぜ自分はこんなことをしているのか」と我に返る。そしてそれが彼女との約束のためだったと気付き、泣きそうになる場面が一番胸に迫った。なぜここまで心に響くのか、作中の主人公自身も明確な理由を掴めていないが、自分の生き方や将来を曲げてまで誰かのために一生懸命になれる、その想いの尊さに強く打たれたのだと思う。
収録されている他の短編では、等身大の自分以上に大きく見せようと見栄を張る人物たちが次々と登場する。そうした虚栄心が剥がれ落ち、没落していく様にはどこかすっきりするような感覚を覚えたのも正直なところだ。また、主人公ほどの該博な知識はないにしても、古典や哲学的な名著へ憧れを抱くような、誰もが少なからず持っている俗っぽさや意外性が描かれている点も非常に興味深かった。
作中の主人公は自分と年齢が近いこともあり、小学生時代の友人と今もなお密に連絡を取り合っている姿が印象に残った。自分自身を振り返ると、小学校はおろか高校の同級生ともほとんど連絡を取っていない。人間関係にはメンテナンスが必要だと頭では分かっていても、自分から動くことはできずにいる。ちょうど今日、高校の同窓会の誘いがLINEで届き、なんとも言えないもやもやした気持ちを抱えていたこともあって、人間関係のあり方についても深く考えさせられる読書体験となった。
Posted by ブクログ
生きていくうちで傍観者でありたいのに、当事者になってしまうような物事に触れる小説でした。
読んでいる間、心の奥にしまって忘れてしまった深く触れたくないものをそっと見返すような時間を過ごした気がします。丁寧で人間味ある部分を表現されていてとても好きです。
もっと読みたいようなでも、見たくないようなそんな感覚でした。
Posted by ブクログ
著者と同名の小説家・小川哲を主人公とした短編小説。
プロローグで取り扱われていた可能世界の僕のノンフィクション話なのか、もしくは本人の話なのか錯覚が生じてくる。
途中で出てくる主人公が考える小説家についての考えは著者の経験からなる話なのかと思うと、エッセイっぽくも思えてくる。
しかし、あくまで誰しもあるはずの手に入れることができなかった無数の可能世界の話であると再度考え直させられる。
こんなように考えが行ったり来たりさせられるほど面白かった。
朝井リョウのPodcastなどで著者の話が出てきて気になっていた作家の話が読めて良かった。
SF小説はほとんど読んだことがないが、次は長編を読んでみたい。
Posted by ブクログ
途中まで小川さんの実体験かと思って読んでいました。
後半に出てくるババリュージなる漫画家さんは果たして現実ではどのような方なのか調べたところウルトラマンに出てくるばばりゅうじというキャラクターがひっかかりました。
今作は小川哲という作者と同名の語り手によるフィクションでした。
小川哲が思い出を振り返っていくと、そこには嘘で塗り固められた人たちによる、自分の身近にもありそうな体験がリアルに描かれていました。
特に印象に残ったのが、あの3月11日の出来事は思い出せるけれど、前日は何をしていたのか思い出せない話。確かに存在していたし、何もしていないなんてことはない1日。印象に残るか残らないかで同じ記憶でも引き出しやすさが違う。
こんなことを伝えたいはずではないけれど、1日をもう少し丁寧に、大事に生きようと思いました。
Posted by ブクログ
新潮文庫の100冊で購入。主人公が著者と同名の私小説風フィクション連作短編集。プロローグから哲学的な内容が盛り込まれていて、各篇も分かりやすい明確なオチみたいなものがなくて、小説ではなく評論を読んでいるような感覚。表題作や後日譚は特に面白くて、でもこういう読み方/捉え方でいいのかな…みたいな不安を抱きながらの不思議な読書体験だった。私の足りない頭では上手く処理できなかったことを、解説が気持ち良く言語化してくれていてスッキリした。『君のクイズ』でも感じたが、より著者の賢さが透けていた一冊だった。
Posted by ブクログ
最近は、この小川哲という作家に注目している。『君のクイズ』がなかなか面白かったからのと、理詰めの叙述が、たぶん今の僕には気持ちよく感じるからかもしれない。
この短編集は、私小説あるいはエッセイを装いつつ、認識という行為の不安定さや、人の虚飾の心裡をテーマに、キャリアを踏み出したばかりの若い層の自意識や共感心理に訴えて的確に刺さるように、小説家としての技巧を凝らした作品のように感じた。
Posted by ブクログ
短編集
なんか、幼い自分の知らない大人の世界を知れた気がする。怖い女子の世界的な。
大学に合格した日のことは覚えてる.,でもその前の日何したかなんて覚えてない。特に特定の日付で言われでもしたら。でも、合格発表の前日という言われ方をしたらある程度の推察(都合のいい)が可能であるか、、おもしろいな
こういう本好きだ
Posted by ブクログ
あまりこれまで短編集を読んだことがなくて、なんというか、書ける分量が短い分、身近な内容が多く掲載されていた。
『地図と拳』は満州を主な舞台にロシアや日本も視野に入れながら、大きなスケールで物語が進んだけど、『君が手にするはず〜』はほとんどが主人公の身の回りの出来事を扱っていて、その意味で日常的だった。
個人的には長編の方が好きで、その一方で短編の方が集中して読まないと面白さを掬いきれない感覚を抱いた。日常を扱うなら尚更で、すらすらと読んでそのまま終わってしまう場合もあるのが短編だと思っていて、ただそれだと小説を十分に楽しんだことにはならないと思う。
ここまで『君が手にするはず〜』の感想は述べてないけど、この小説はわりと文章にメリハリを持たせているから、注目ポイントとそこでの主人公の視点や考えがしっかりと記述されていて、それまでの流れを経た上でそこの部分をじっくりと味わえばいいことがわかる。扱う場面自体は日常的だけど、主題がわかりやすいためそこから得られる旨みも感じやすいと思った。
そのうえで、それを楽しいと思うか思わないかは読者次第で、各個人の独自性が左右する。
・追加
「革命前夜」読んだけど、個人的には一番面白かった。ちょっとディストピア的な物語で、その意味で村田沙耶香さんを連想させた内容だった。
須磨先生から急にあんな電報が届いたら、流石に怖いだろうなと。まず、何で自分のことを覚えているのかと思ってしまう。クラスで存在感がなかったのだから、普通は覚えてないだろう。なのに覚えていたということは、須磨先生は自分に懐く大多数の児童よりも、そうでない少数の児童の方に意識を向けていたことになり、その捩れに恐怖感を抱く。
次に、なぜ1年の付き合いしかないのに、お祝いのメッセージをわざわざ送ろうと思ったのかと考えてしまう。まして、小学校の頃の教師-児童関係なのだから、よっぽど関係性が深くない限り(それこそ、作中の唐沢みたいな)、連絡を取るなんてことにはならないでしょう。なのに、連絡を送ってきたこと、そこに潜在する打算的な意図を読み取ってしまい、恐怖を覚える。
Posted by ブクログ
作者自身の名前と職業を作中に持ち込み、ノンフィクションと思わせる仕掛けも面白い、“承認欲求のなれの果て”連作短編集。本物と偽物、現実と虚構のバランスが絶妙でした。
「プロローグ」
まず「プロローグ」では、作家の道へ入るきっかけともいえる、就職活動中のエピソードが描かれます。
朝井リョウの『何者』当時就職活動をする若者たちを思い出しました。
ただ、こちらはもう少し哲学的というか。
目の前の出来事をそのまま受け取らず「考える若者」たち
「三月十日」
初出は2019年、『小説新潮』。
東日本大震災から8年目に書かれた、震災前日の記憶の物語です。
震災について、かなりぎりぎりのところを攻めている文章で、その前の日の「日常」だったはずの記憶との齟齬を追求していく。
3月11日の記憶は、誰もが鮮明に覚えている。
けれど、その前日は、なぜかほとんど覚えていない。
重要ではなさそうに思える前日の記憶が、彼にとっては決して「なんでもない日常」ではなかった。
そこを掘り起こしていく過程がとても面白かったです。
「小説家の鏡」
小説家が、嘘に対して誠実に向き合う、という心理を得た物語。
オーラリーディングの占い師の虚像を暴いていくという、これもまた、かなりぎりぎりを攻めた話です。
でも最後に、その占い師を小説家と同類のように収めてしまうところが、また良い。
嘘をつくことと、小説を書くこと。
「君が手にするはずだった黄金について」
高校時代の同級生だった友人が、投資詐欺事件の当事者となっていく。
この友人のブログのタイトルが「ギリギリ先生」。
小川さん自身も、この短編集で「ギリギリ」を狙っていることを、どこか肯定しているようで面白かった。
自分の才能を創作するために黄金律を目指しながら、いつの間にか銀色律を侵食してしまった友人。
崩壊していく友人の虚構の中に、小説家である自分との同類性を見つめているようにも思えた。
「偽物」
正真正銘の偽物は、侮れない。
「受賞エッセイ」
これは、山本周五郎賞受賞のエッセイなんでしょうか。
最終選考に残った日の、金融機関とのもう一つの思い出を楽しく読みました。
そして、私も最近あった銀行でのトラブルを披露いたします。
日本で大きな銀行の一つから、電話がかかってきました。
家人宛ての電話で、この時代に珍しく振込相違が起きて、うちの口座に入る予定のない振込みが入ってしまった。
返金に同意してほしい。ついては、組み戻し伝票を郵送するので、記入して返送してほしい。
了解して、郵便物を待ちました。
届いた伝票には、届出印の押印が必要でした。
10年近く押印した記憶がなく、印鑑に自信がなかったので、近くの支店に向かい、そちらからの郵便物を見せて、印鑑の確認をしたいと申し出ました。
すると、
「ご本人様確認ができないと、印鑑確認はできません」それは 夫の口座。
そやな、それはそやな。
だけど私は、返金しなくても別に構わんぜよ。
わざわざ早く返してあげようと思って、店まで来たんよ。
その気持ちは、どこへ持っていけばいいんや?
知ったこっちゃないと思って、適当に押印して郵送することにしました。
そして、近くの信用金庫に口座開設しました。
「革命前夜」
何を、どうする革命の前夜なのよ?
このタイトルのセンス。
これは、作者が直木賞作家・小川哲となるずっと前、小学生だった頃の本当の思い出なのだと思いたい。
Posted by ブクログ
このタイトルで彼女と別れる話がいきなり二つ続いたので、まさか「黄金」って“直木賞作家である自分”のことでもあるとか言わんよね、なんて思ってしまったり、恋人と片耳ずつ分け合いながら聞いていたのがバンプオブチキンなのは藤原基央の発言を知ってる人へのサービスだとしたらやかましいわと思ってしまったりと、余計なことが頭を過ぎりつつも面白かったです
Posted by ブクログ
例えとしてサラッと書かれる表現が面白くてじわじわきた。
エピソードがリアルすぎるあまり、ノンフィクションだと思い込み作中の議員の名前を調べてしまった。
(この小説は難関中学の試験に利用されたようで、検索結果には試験問題だけが表示された。)
解説として書かれていたプロデューサーの文章はなんだか気持ち悪くて苦手だった。私の読んだ本書の印象とは少し違う解釈をされていたが、受け取り方は読み手次第なのでなんとも言えない。
Posted by ブクログ
人の本質というか、生きていれば誰しもあるような経験を、包み隠さず書いている。
感想は難しいが、投資家の話と、デイトナ、学校の先生の話が印象に残った。
この作者は、とても頭がいいんだろうと思う。
Posted by ブクログ
久々に早いペースで読み切った。
この内容だからあのバンド名が出てきたのか。
あのバンドが好きだからこんな内容になるのか。
読んでると、こう言う考え方、わかるなと思いながら。こんな頭よくはないけど。やっぱり惹かれるものは一緒なのかも。
Posted by ブクログ
主人公(自分)と接する怪しげな人たちについての連作。主人公も思いを巡らすが結構怪しげである。成功したいという欲求が少しおかしみを混じらすフィクション。2026.10.6
Posted by ブクログ
ミステリーではなく恋愛モノではなく
悲しくなく勉強のためでもなくSFでもない
でもちゃんと展開がある、
そんな小説が読みたくて
本屋さんをぐるぐる回っていたときに
手に取った1冊。
なかなかそのとおりの本を
手に取ったな、我ながら。
本当に個人的に、言葉を選ばずに感想書くと、
えーこの人なんか面倒くさくて
うるさいな、、笑 という
感想を抱きつつ、なぜか、なぜだか
最後まですっと読んでしまった。
不思議な感覚。
一つの出来事に対して
こんなに多角的に物を考えられる賢さが
羨ましくもありつつ
生きるの大変そう。
だけどそんな大変さを共有してもらえて
おもしろいなと感じた。
主人公の名前と筆者の名前が同じだから
エッセイなのかな?どこまでが本当で
どこまでがフィクションなんだろうなと
思いを巡らせなら読むのも楽しかった。
けどやっぱ
ちょっとうるさいなー笑 っていう気持ちはあるので、
再読は数年先にしようかな!笑
と。ここまで書いて、
他の人の感想を読んでみた。
この小説から感じ取るものや受け取るものが
人によって全然違う…!
だけど何かしら受け取ってる。
すごいな。感想まで含めて、おもしろいと思った!
そしてこの本を読んだあと、
いまの自分の語彙力の無さに
がっかりしながらこれを書いてる。笑
本を読んだ後にこんな感覚になったのは
初めてかもしれない!
Posted by ブクログ
難しい言葉は多くあるし思考を語る部分が多いにも関わらず、読みやすい文体でスラスラ読めた。
すっと頭に入ってくるため良い意味でフィクションということを忘れていた。
最初の二つが特に面白かった。
「次第に、僕はテストとは2位を取るものだと考えるようになった。」このセリフが個人的にとても良かった。
だが,期待をし過ぎていたせいか思ってたより承認欲求についての話があまりしっくり来なかった印象。(あったけど触れて欲しいとこに触れてなかった)
Posted by ブクログ
なるほど〜。思ってたのとは正直違ったけどそれはそれで面白かった。自分を大きく見せたくて見栄を張ってしまうことって過去に自分も経験があって、それを客観的に見た時の痛々しさとか同情とかに結構喰らった。見栄っぱりって大体バレてるよね。
Posted by ブクログ
語り手が小川哲さんなので フィクションなのにどうしても頭の中にご本人のイメージが
人物描写はとてもリアルで 本当にあったことなのかと思わせるほどでした
Posted by ブクログ
なんか読みづらかったけど、自分の周りのちょっといたい人たちを冷笑してる感じがしつつ、そのいたい人たちが本当に嫌な感じでリアルだった。ロレックスの偽物の話が印象的だった。
Posted by ブクログ
誰かに認めてもらいたい。この感情って誰しも思ったことはあるはず。
だからといってその行動が、周りを騙してまで認めてもらいたいのかな。
もっと方法はなかったんだろうか、とおもってしまった。
Posted by ブクログ
頭がこんがらがるような不思議な読み心地。
「プロローグ」
別れる理由がひどい。
「小説家の鏡」
ハマる人の気持ちが分かる。
こんなに疑い深い人でも委ねてしまいたくなった瞬間があるんだもの。
「君が手にするはずだった黄金について」
愚かな人っているよねー、位の感想だったのに「みんな本物だよ」の一言でちょっとだけ詐欺師の彼に同情心がわいた。
Posted by ブクログ
これは私小説なのかエッセイなのか、そんな虚構と現実の境界が曖昧な世界観がクセになるメタフィクション。
哲学的な要素もあって深みのある作品。
連作短篇集であり、どのストーリーも印象的だった。